医療・福祉

助産師

じょさんし

看護師の仕事の一つです

妊娠中の健康相談から出産の介助、産後の授乳や育児の支援まで、母親と赤ちゃんを継続して支える専門職。正常な出産を自らの判断で介助し、異常の兆しがあれば産科医と連携する。

助産院で、女性の助産師が練習用の赤ちゃん人形の頭と体を支え、母親に安全な抱き方を示している。
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はじめに

赤ちゃんが生まれる前から生まれたあとまで、お母さんと赤ちゃんを支える仕事です。妊娠中の体調を確かめ、出産のときは呼吸や赤ちゃんの様子を見ながら手助けします。生まれたあとは授乳や赤ちゃんの抱き方を伝え、不安なことを話せる相手にもなります。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約567万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜少し上がる
収入
出生数の減少は分娩件数を抑えるが、夜勤と専門的な介助を担う人材の確保には費用がかかる。産後ケアの制度拡充が賃金を押し上げる可能性がある一方、診療・ケアの価格や施設経営の制約があり、実質年収は横ばいを中心に見た。
需要
分娩介助の件数は出生数に左右されるため、少子化が進むと全体の配置需要は縮小し得る。産後ケアや地域支援が充実する場合には、従事分野を変えながら需要が保たれる可能性もある。
人による差
人による差が広がる

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今の助産師の仕事

今
  • 妊婦健診と保健指導血圧や体重、胎児心拍などを確認し、妊娠経過に応じた生活上の注意や受診の目安を伝える。
  • 正常分娩の介助陣痛の進み方と母子の状態を観察し、正常な分娩では呼吸や体勢を支えながら赤ちゃんを迎える。
  • 産科医への異常兆候の連絡母体の状態や胎児心拍に気になる変化があれば経過を整理し、必要な医療につなげる。
  • 新生児の観察と初期ケア出生後の呼吸、体温、全身状態などを確かめ、保温や授乳開始を手助けする。
  • 産後の授乳・育児相談授乳姿勢や乳房の状態、産後の心身の回復を一緒に確かめ、家庭での育児につながる方法を考える。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 妊娠経過の記録と変化の抽出 確からしさ:高 家庭で計測した血圧や健診データを時系列で並べ、確認が必要な変化を知らせる作業は機械に向く。

AIと協働

  • 分娩監視情報の補助判定 確からしさ:中 胎児心拍などの波形を解析する道具が発達しても、母親の表情や分娩の進み方を含めた判断には現場の観察が要る。
  • 産後ケア計画のたたき台作成 確からしさ:高 授乳記録や家庭環境を整理して候補を示すことはできるが、母子に無理のない方法は対話で調整する必要がある。

人が中心

  • 正常分娩での身体的な介助 確からしさ:中 体勢の調整やその場での声かけは、本人の希望とわずかな変化に応じて行うため、完全な機械化には制約が大きい。
  • 出産前後の不安への寄り添いと意思確認 確からしさ:高 医療の選択や赤ちゃんとの暮らしについて、本人の言葉にならない迷いを受け止める役割は人が中心になる。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、助産師の一日(架空)

「今日は、赤ちゃんに会う前に一つ聞いておきたいことがあります」。午前六時、産科病棟の面談室で、四十三歳の助産師・紗英は出産を控えた女性と向き合っていた。女性は、できれば分娩中も自分で体勢を選びたいと言う。紗英は希望を書き留め、病棟で安全に試せる姿勢を一緒に確かめた。記録端末には、昨夜からの血圧と胎児心拍の変化がすでに整理されている。

午前九時過ぎ、分娩室では女性が横向きになり、陣痛の波をやり過ごしていた。装置は次の波の予測を表示するが、紗英が見ているのは呼吸の速さと握った手の力だ。「いまは、ゆっくり吐くことだけ考えましょう」。助産師はモニターの数字だけでなく、本人がどう感じているかを何度も尋ねる。やがて女性が自分で姿勢を変えたいと言い、紗英はスタッフと相談して体を支えた。

午後、赤ちゃんと母親は落ち着いて過ごしていた。紗英は新生児の体温と呼吸を確認し、母親には授乳の姿勢を二通り試してもらった。端末は授乳回数から標準的な助言を示す。しかし腕の痛みを訴える母親には、一般的な手順より、楽に抱ける形を探す方が先だった。紗英はクッションの位置を少しずつ変え、母親の肩が下がるのを待った。

帰る前、紗英は夜勤の助産師へ申し送りをする。記録の数字に加えて、「右腕で抱くと疲れやすい」「質問は遠慮がちだが、話し始めると詳しく相談してくれる」と伝えた。予測の道具がどれほど正確になっても、その人らしい出産と育児を支える仕事は、画面の外に残っている。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約567万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「助産師」に対応する職業分類の雇用労働者。独立して助産所を経営する人の事業所得を含まない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 厚生労働省job tag「助産師」の全国年収566.7万円(2025年)を円に換算した。
  • 勤務先の病院規模、夜勤の有無、地域や勤続年数で給与に差があり、個人の将来収入を示すものではない。
  • 出産の介助だけでなく産前相談・産後ケアに従事する助産師も含まれるため、担当業務別の年収ではない。
  • 助産所の開設者など、自営業の売上や経費控除後の所得と同一視できない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 出生数と分娩施設の地域集約下がる方向

    生まれる赤ちゃんの数が減ると、お産を助ける仕事の数も変わります。

    大人向けの詳しい説明

    長期的な少子化は分娩介助の件数を押し下げる。ただし産科施設の集約で拠点ごとの人員需要は異なる。

  • 産後ケアと継続的な母子支援上がる方向

    出産のあとも相談できる場所が増えれば、助産師の活躍の場が広がります。

    大人向けの詳しい説明

    授乳支援、育児相談、家庭訪問など、分娩以外の業務が制度と財源次第で拡大する。

  • 分娩の安全を支える夜勤と熟練上がる方向

    夜でも安心して赤ちゃんを迎えるには、経験のある人が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    正常分娩の介助と異常の早期発見には現場配置が必要で、経験と勤務負担が報酬交渉の材料になり得る。

  • 健診記録と周産期モニタリングの自動化どちらにも動きうる

    機械が記録や見守りを手伝っても、お母さんへの声かけは大切です。

    大人向けの詳しい説明

    データ整理を減らす効果と設備投資負担が共存し、生産性向上が直接賃金に結びつくとは限らない。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 出産数が減って分娩部門が集約する

    条件出生数の減少が続き、分娩を取り扱う施設が地域の拠点に集まる。

    起きそうなこと分娩介助の総件数は減り、地方では通勤距離や夜勤の負担が増える一方、拠点施設では経験ある助産師の必要性が保たれる。

  2. 産後ケアと地域訪問の支援が広がる

    条件自治体の産後ケア事業や妊娠期からの継続支援が拡充し、必要な費用が確保される。

    起きそうなこと病棟以外で授乳相談や家庭訪問を担う助産師の仕事が広がり、専門性が報酬に反映されやすくなる。

  3. 見守り機器が普及して夜間体制を再編する

    条件遠隔モニタリングが安全に使えるようになり、施設間連携と責任分担の制度が整う。

    起きそうなこと計測と記録の負担は減るが、出産に立ち会う人員は必要で、効率化の利益が給与に回るかは医療機関の経営による。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

少子化が進めば、分娩を介助する件数そのものは減ると考えられる。産科施設が地域の拠点へ集まると、従来の病棟で働く助産師の配置は変わる。必要人数は出生数だけでなく、夜間の配置基準や移動距離、地域の医療体制にも左右される。

一方、産後の授乳相談や心身の回復を支える仕事には、出産一件当たりの支援を手厚くする余地がある。遠隔の計測や記録の自動化が進んでも、分娩介助と対面の支援は残るとみる。全体の需要はやや縮小する可能性を中心に置きつつ、地域と担当分野による差は大きい。

働き方

主な勤務先は病院の産科病棟、診療所、助産所で、妊産婦の健診から正常分娩、産後のケアまでを担う。分娩は予定どおりに進むとは限らず、病院では夜勤や交代勤務がある。助産師は看護師の資格を土台としつつ、出産の介助を独自の専門職務として担う。

産後ケア施設、自治体の相談窓口、家庭訪問など、病棟外の仕事もある。助産所を開いて働く場合は、利用者への対応だけでなく施設運営や医療機関との連携も必要になる。都市と地方では分娩施設の数も勤務条件も違い、働き続けやすさは夜勤体制や育児との両立支援に左右される。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 看護師の国家試験を目指す高校卒業後、看護系大学(一般に4年)または看護師養成の専門学校など(一般に3年)で学び、看護師国家試験に合格して免許を取得する。
  2. 助産師養成課程で専門の教育を受ける大学の助産師選択課程で必要科目を履修する方法のほか、看護師の養成課程を終えてから助産師養成所・大学専攻科などで1年以上、大学院で2年などの経路がある。
  3. 助産師国家試験に合格し臨床経験を積む助産師国家試験合格後に免許を受け、分娩介助、妊婦健診、産後ケアなどを現場で学ぶ。現行法では助産師資格は女性が対象である。

今から伸ばしたい力

  • 陣痛の進行と胎児心拍を合わせて読み取る観察力
  • 正常な経過と医師への連絡が必要な兆候を見分ける判断力
  • 分娩時の呼吸と姿勢を母親に合わせて支える技能
  • 乳房や授乳姿勢を観察し、母子に合う方法を探す力
  • 妊産婦の希望を聞き、産科医と安全な分娩方針を共有する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月30日

出典

予測の前提

  • 2050年も正常分娩の介助には資格を持つ専門職の対面での関与が必要とされる。
  • 出産件数の減少が続く一方、産後ケア制度は地域によって普及の程度が異なる。
  • 妊娠経過のデータ処理は自動化が進むが、施設の配置基準と費用負担は別途調整される。

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