医療・福祉

看護師

かんごし

病院や診療所、訪問看護などで、患者の体調を観察し、療養生活を支え、医師の診療を補助する仕事。薬や医療機器を安全に扱い、本人や家族への説明、ほかの職種との連携も担う。

病棟で、30代の男性看護師が、ベッドに座る中年の女性患者の腕に血圧計を巻いている。患者に声をかけながら、腕の位置を確かめている。
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はじめに

熱が出たりけがをしたりした人を助け、安心して治療を受けられるように支える仕事です。体温や血圧を測ったり、薬や点滴を確かめたり、つらい気持ちに耳を傾けたりします。病院だけでなく、自宅で療養する人を訪ねる看護師もいます。人の命と生活に関わるため、勉強と安全確認が大切です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約525万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜上がる
収入
厚生労働省は看護職員の確保や勤務環境の改善を検討しており、人材不足は待遇改善の圧力になり得る。一方、診療報酬による収入制約や病院の財政、夜勤手当の変化があるため、需要増が実質賃金の上昇に直結するとは言えず、中心は横ばいと見立てる。
需要
厚生労働省は2040年に向けて看護職員の需要・供給と地域偏在を検討している。高齢化と在宅医療の広がりはサービス需要を押し上げると考えられるが、人口減少、医療提供体制の再編、機器による省力化で地域ごとの必要人数は変わる。

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今の看護師の仕事

今
  • 患者の状態の観察呼吸、意識、痛み、血圧などを確認し、変化を記録して必要に応じて医師に報告する。
  • 療養生活の支援清潔、食事、移動、排せつなどを支え、患者の体力や希望に合わせて援助する。
  • 診療の補助医師の指示や制度に従い、採血、点滴の管理、処置の介助などを安全に行う。
  • 薬剤・医療機器の確認薬の内容や投与経路、機器の設定を確認し、事故を防ぐ。
  • 患者・家族との対話治療や退院後の生活について説明し、不安や疑問を受け止める。
  • 多職種・地域との連携医師、薬剤師、リハビリ職、介護職などと情報を共有し、退院や在宅療養につなげる。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 観察記録の下書きと情報整理 確からしさ:高 現在も看護記録の入力や測定値の整理が必要で、電子カルテや機器からの情報をまとめる作業は自動化しやすい。記載内容の最終確認は人が担うと見立てる。
  • シフト・物品の配置案の作成 確からしさ:中 現在も人員配置や物品管理が行われており、勤務条件と必要量の照合はソフトウェアに適する。ただし現場の急変には人が判断する。

AIと協働

  • 症状の変化を示す警告の確認 確からしさ:中 生体情報を監視する機器は既に用いられているが、警告には誤検知や患者固有の事情がある。看護師が診察や観察と照らして判断する可能性がある。
  • 投薬・処置の安全確認 確からしさ:高 確認システムは取り違え防止を支援できるが、実際の患者や投与経路を確認する責任がある。医療安全上、人とシステムの二重確認が重要になる。

人が中心

  • 身の回りの援助と苦痛の緩和 確からしさ:中 体位変換、清潔ケアや不安への対応は患者ごとに異なる身体的・対人的な仕事である。補助機器が広がっても人の関与が続くと考える。
  • 退院後や在宅療養の調整 確からしさ:中 高齢化に伴い医療と介護の連携が必要になる。患者の生活環境や家族の意向を理解した相談は一律には処理しにくい。
  • 患者と家族への説明・意思決定支援 確からしさ:高 本人の希望や生活上の事情を受け止め、信頼関係の中で説明する必要がある。制度上の説明責任や対話は引き続き重要と考えられる。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、看護師の一日

午前7時20分。看護師の千尋は、地域の病院で夜勤の同僚から引き継ぎを受ける。端末には患者ごとの体温や血圧の変化が整理され、注意が必要な人が表示されている。だが、数字が落ち着いていても、昨日から食事が進まない患者がいる。千尋はまず、その人の部屋を訪ねた。

「昨夜は眠れましたか」。患者は少し迷ってから、退院後の一人暮らしが心配なのだと話す。機器には現れない不安だった。千尋は話を聞き、午後に相談員と一緒に退院後の支援を考える約束をする。

午前10時。薬の準備を進める。照合システムが処方内容と患者情報を見比べ、確認事項を知らせてくれる。千尋は端末の表示だけに頼らず、本人と薬剤を確かめた。隣の病室では高齢の患者が起き上がれずにいたため、移乗を支援する器具を同僚と使う。器具は体への負担を軽くするが、痛がる場所や怖がる様子は声を掛けながら確かめる必要がある。

昼過ぎ、呼吸状態が変わった患者について機器から警告が届く。千尋はすぐに病室へ向かい、表情や息づかいを観察する。測定機器を付け直して数値を確認し、医師へ状況を伝える。記録の下書きは自動で作られるが、本人の訴えと対応の順番を読み直して修正した。

午後3時。朝の患者と家族、相談員で退院後の生活を話し合う。自宅での服薬や通院、困ったときの連絡先を確認する。遠くの家族も画面越しに参加した。患者が「一人でも暮らしていけそう」と笑うと、千尋も少し肩の力が抜けた。

夕方、次の勤務の人へ引き継ぐ。技術で減った書類仕事の分だけ、患者の話を聞く時間が少し増えた。それでも急な処置や人手のやりくりは簡単ではない。千尋は明日の勤務表を確認し、病院を出た。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約525万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
賃金構造基本統計調査の対象事業所で働く看護師等の雇用労働者に対応する全国統計。職業分類の対応によって、看護師だけを完全に切り分けた集計とは限らない。
税・賞与
税・社会保険料控除前、賞与・時間外手当等を含む年収
  • job tag看護師の全国掲載値524.7万円。平均値であり、個々人の給与や手取り額を示すものではない。
  • 賃金構造基本統計調査は一定規模以上の民営事業所に加え、公営事業所も対象とする。したがって公立病院の看護師が全員対象外とは言えないが、すべての公立病院や公務員看護師を網羅するわけではない。
  • 夜勤回数、勤務先、地域、経験年数、短時間勤務の有無により収入が異なる。
  • 独立して活動する人の事業所得はこの雇用者賃金と同じではない。
  • job tagの求人賃金(月額)と賃金構造基本統計調査の年収は、対象と算定方法が異なるため単純比較できない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 診療報酬と病院経営どちらにも動きうる

    病院が受け取るお金の仕組みで給料も変わる。

    大人向けの詳しい説明

    診療報酬は公的に定められ、需要が高いだけでは価格を自由に上げられない。病院の経営収支と人件費への配分、補助制度が賃金を左右する。

  • 高齢化と在宅医療上がる方向

    家や施設で看護を受けたい人が増えるかもしれない。

    大人向けの詳しい説明

    厚生労働省は2040年の看護人材確保と需要を検討している。病院だけでなく訪問看護や介護施設での必要性は高まる可能性があるが、需要増と賃金増は別である。

  • 夜勤・専門技能・負担どちらにも動きうる

    夜に働くか、どんな技術を持つかでも変わる。

    大人向けの詳しい説明

    夜勤手当や専門分野の技能が収入に関わる一方、過重な勤務は働き続けにくさにもつながる。勤務環境改善によって労働時間や手当の構成が変わり得る。

  • 地域・勤務先の違いどちらにも動きうる

    住む地域や病院で働き方も給料も違う。

    大人向けの詳しい説明

    病院の規模や開設主体、都市部と地方の求人状況、通勤負担によって待遇が異なる。人口減少地域では医療機関の再編も予想される。

  • AIや機器の省力化どちらにも動きうる

    書類が楽になっても給料が増えるとは限らない。

    大人向けの詳しい説明

    記録補助や見守り機器は生産性を上げ得るが、節約できた費用が賃金、設備投資、医療費のどこへ配分されるかで実質所得が変わる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 待遇改善が進む

    条件地域の看護人材不足が続き、診療報酬や病院経営に人件費を確保できる仕組みが整う。夜勤や専門技能への評価が進む。

    起きそうなこと実質賃金が上がる可能性がある。ただし施設の収支や財源の条件に左右される。

  2. 需要は続くが賃金は伸び悩む

    条件高齢者医療や在宅支援の需要は続く一方、診療報酬や病院の収支が厳しく、人員配置の効率化が進む。

    起きそうなこと仕事の量が多くても所得が大きく伸びるとは限らない。夜勤負担や地域差が残り得る。

  3. 地域差と省力化が強まる

    条件人口減少地域で病床再編が進み、機器による記録や搬送支援が普及する。勤務先の統廃合や職務分担が変わる。

    起きそうなこと就業先の選択肢や実質所得に地域差が生まれる可能性がある。患者ケアや在宅医療で別の働き方が広がることも考えられる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

厚生労働省は2026年に「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催し、地域ごとの確保策、需要・供給、勤務環境を検討している。高齢化に伴う慢性疾患や在宅療養への支援が続く一方、人口減少と病床再編で病院内の必要人数は地域ごとに変わり得る。

編集部の見立てでは、看護は対人ケア、急変への対応、治療の安全確認が必要なため、記録や見守りの自動化だけで仕事の需要が大幅に減るとは考えにくい。むしろ在宅や地域を含めた看護サービスの必要性が高まる可能性がある。ただし2040年までの推計を2050年の確定した職業人数とみなすことはできず、医療制度・養成者数・外国人材・地域医療の配置で需要と求人の状況は変わる。

働き方

看護師は病院の病棟、外来、診療所、訪問看護ステーション、介護施設など、さまざまな場所で働く。病棟では交代制や夜勤があり、夜勤手当が収入に影響する。日勤中心の職場もあるが、担当する患者の状態や人数によって忙しさが異なる。

患者を支えたり移動させたりするための体力、感染対策、緊急時の判断も必要だ。電子カルテやAIによる記録支援が進むと書類作業は変わるかもしれないが、患者の意思を聞いて家族や他職種と相談する役割は残りそうだ。都市部と地方で医療機関の分布や求人条件が異なり、今後は地域で暮らす人を支える訪問看護などの働き方も重要になる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校までに基礎を学ぶ理科・国語・数学に加え、人との対話やボランティア経験も役立つ。
  2. 看護系大学(原則4年)大学の看護学科などで必要な科目・実習を学び、国家試験の受験資格を得る。
  3. 短期大学・専門学校など(原則3年以上)指定された養成課程で看護の基礎と臨地実習を修めて国家試験受験資格を得る。
  4. 看護師国家試験と免許国家試験に合格し、看護師免許の交付を受けて働く。
  5. 准看護師との違い准看護師は都道府県知事の免許で、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う。看護師は厚生労働大臣の免許で、制度上の資格が異なる。
  6. 就職後の学び病棟や在宅などの経験を積み、専門分野の研修や資格取得に取り組む道がある。

今から伸ばしたい力

  • 人体や病気のしくみを学ぶ力
  • 相手の言葉と表情の変化に気づく力
  • 数値と現場の様子を照合して安全を確かめる力
  • 緊急時に優先順位を考える力
  • 家族や医師・介護職と連携する対話力
  • デジタル記録や医療機器の情報をうのみにせず確認する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月29日

出典

予測の前提

  • 2050年も医療と在宅療養の場で患者の状態観察と援助が必要になる。
  • 看護師免許と安全責任の制度は改正され得るが、一定の専門性が求められる。
  • 情報処理は自動化が進むが、患者の身体的ケアと意思決定の支援には人が関わる。
  • 人口、医療費、報酬制度、養成者数によって地域別の人材需要が変化する。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。