医療・福祉

視能訓練士

しのうくんれんし

眼科で視力や視野、眼球運動などを検査し、医師の診療に必要なデータを集める専門職。斜視・弱視の子どもへの視能訓練、見えにくさのある人が残された視力を生かすロービジョンケアも担当する。

眼科の検査室で、男性の視能訓練士が卓上の視機能検査装置を調整し、女性の患者の目の検査を進めている。
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はじめに

目がどのくらい見えるか、左右の目が一緒に動くかなどを専門の機械で調べる仕事です。眼科の先生が診断するための検査を行い、目の使い方を練習する子どもを手助けすることもあります。年を取って見えにくくなった人には、拡大鏡などを試し、生活で困ることを減らす方法を一緒に考えます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約444万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜少し上がる
収入
高齢者の眼科診療を支える技術が評価されても、病院・診療所の給与は診療報酬や機器更新費用の制約を受ける。定型検査の省力化が専門職の賃金へ全て還元されるわけではないため実質横ばいを中心とする。
需要
高齢者への眼科検査とロービジョンケアの役割が続く一方、少子化で小児対象者が減り、検査装置の自動化で一人あたりの処理件数が増える可能性がある。前者がやや上回ると見込むが、不確実性は大きい。
人による差
人による差は今と同じくらい

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今の視能訓練士の仕事

今
  • 視力・屈折検査視力表や屈折検査装置で、近視・遠視・乱視などの状態を調べ、眼科医に測定結果を伝える。
  • 視野・眼球運動の検査視野計で見える範囲を測り、両眼の向きや動きを検査して病気の診療に役立てる。
  • 小児の斜視・弱視の視能検査年齢に合わせた絵や視標を使って左右の目の見え方と両眼視機能を評価する。
  • 医師と組む視能矯正訓練眼科医と相談して立てた計画に沿い、子どもが継続できる方法で視能訓練を進める。
  • ロービジョンケアの補助具選び見え方が低下した人に拡大鏡や読みやすい環境を試してもらい、使い方を練習する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 屈折や視野の標準測定 確からしさ:中 測定装置が検査手順を自動化し、異常の候補を表示できるが、結果の信頼性を確認する作業は残る。

AIと協働

  • 眼底・視野データの変化の検出 確からしさ:高 画像や数値の差の提示は機械が得意だが、測定条件の違いや本人の反応を考慮して再検査を決める必要がある。
  • 斜視・弱視の訓練計画の調整 確からしさ:中 検査記録から候補を整理しても、本人が続けられる練習に組み直すには家族との相談や医師の判断が要る。

人が中心

  • 乳幼児の視能検査での反応確認 確からしさ:中 幼い子の集中力や言葉の理解に合わせて検査の見せ方を変え、測れなかった理由まで評価する必要がある。
  • 見えにくい人への生活上の補助具相談 確からしさ:高 同じ視力でも読書、調理、外出など困る場面は異なり、実際に道具を試した感想と生活環境を聞く必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、視能訓練士の一日(架空)

午前の眼科外来で、五十代の視能訓練士・修一は検査室の照明を少し落とした。今日は四歳の男の子が視力の再検査に来る。前回は視力表の前で緊張してしまい、ほとんど答えられなかった。付き添う母親が『家では遠くのものも見えているようなのですが』と話すと、修一はまず絵のついた小さなカードを机に並べた。

男の子は遊びのようにカードを指さした。修一は同じ絵を少しずつ遠くに置き、左右の目を分けて確認した。検査装置は視線の動きから推定値を表示したが、男の子が顔ごと動いたときのデータには印がついている。修一はその数値を確定値にはせず、角度を変えてもう一度試した。母親には『答えられないことと、見えないことは同じではありません』と説明した。

午後は、新聞の小さな文字が読みにくくなった高齢の女性の相談だった。修一は拡大鏡の倍率をいくつか試してもらい、手元の明るさを変えると文字の追いやすさがどう変わるか確かめた。自動音声で読み上げる機器も紹介したが、女性は紙の手紙を自分で読みたいと言う。修一は、その希望に合わせて机に置ける拡大器と照明の組み合わせを選んだ。

診療の終わりに、修一は二人の検査結果を眼科医と確認した。男の子の記録には、数値だけでなく集中できた時間と検査に使った絵の種類を残した。次に別の人が検査するときにも、何が測れて何が測れなかったかが分かるようにするためだ。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約444万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag『視能訓練士』に対応する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の複数職種を含む雇用労働者の職業分類。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag『視能訓練士』の2025年全国年収443.6万円を円に換算した。
  • 賃金構造基本統計調査の職業区分は複数のリハビリ・視能分野をまとめており、視能訓練士だけの平均年収ではない。
  • 主に雇用されて働く人の給与であり、業務委託など独立した人の事業所得を含まない。
  • 勤務先の病院や眼科診療所、地域、経験、検査部門の体制によって実際の給与には差がある。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 高齢化と眼科疾患の検査上がる方向

    目が見えにくくなる人の検査や相談をする仕事が必要になります。

    大人向けの詳しい説明

    白内障・緑内障などの検査とロービジョンケアは視能訓練士の重要な領域で、高齢者人口の推移が患者構成に影響する。

  • 検査装置の自動化どちらにも動きうる

    機械が視力などを測りやすくなっても、測り直す判断は必要です。

    大人向けの詳しい説明

    標準的な測定の省力化で一人当たりの検査件数が増え得る反面、測定値の信頼性を見極める能力の比重が上がる。

  • 小児の弱視・斜視の早期検査どちらにも動きうる

    小さな子どもの目を調べるときには、遊びながら答えられる工夫が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    検診で早期発見が進めば視能矯正を始める機会を増やすが、少子化で対象となる子どもの総数が減る面もある。

  • 病院・眼科診療所の人員配置と診療報酬下がる方向

    目の検査が大切でも、病院の予算によって働く人数や給料は変わります。

    大人向けの詳しい説明

    多くの職場は医療機関の雇用であり、機器更新費用と診療報酬によって専門職の採用や給与が制約される。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 高齢者の眼科検査と見え方支援が増える

    条件加齢による眼の病気への対応と、残された視力を生かす支援の需要が伸びる。

    起きそうなことロービジョンケアや再検査の調整に専門職の役割が広がり、人員確保への圧力になる。

  2. 定型検査が高度に自動化される

    条件視力・屈折・視野の検査装置が本人に合わせて手順を調整し、数値を診療記録へ送る。

    起きそうなこと測定の人手が減る一方、検査がうまくできない小児や高齢者、結果の矛盾を確認する業務に人が集中する。

  3. 医療機関の予算が伸びない

    条件眼科検査の効率が高くなっても、診療報酬や病院の人件費予算が抑制される。

    起きそうなこと必要とされる人数が増えても、職員の実質賃金は横ばいか弱含みになり得る。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

眼科では視力・視野・眼球運動など複数の検査を組み合わせ、医師が診療するための資料を集める。高齢者の目の病気への対応や、残っている視力を生活に生かすロービジョンケアは今後も必要だろう。幼児の弱視や斜視についても、検査を本人の年齢と反応に合わせる専門性がある。

一方、機械が定型的な測定と記録を担う場面は増え、検査の件数が伸びても必要人数が同じ割合で増えるとは限らない。少子化で子どもの訓練対象は減る可能性があり、医療機関の採用予算も制約となる。高齢者の診療を支える需要が上回るとみてやや増加を中心にするが、幅を持たせる。

働き方

主な勤務先は病院の眼科や眼科診療所で、眼科医の指示のもと視力・視野・眼球運動、屈折などの検査を行う。小児では弱視・斜視の検査と訓練、成人や高齢者では見えにくさを補う道具の選択と使用練習にも携わる。検査が正しくできたかを見極め、医師へ結果を報告する。

外来の診療時間に合わせて働くことが多く、土曜診療のある眼科では週末勤務もある。検査機器を整え、乳幼児への声かけを工夫し、検査記録の品質を保つ。新しい機械が導入された際は検査条件と従来の結果の違いを学ぶ必要がある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 指定の養成施設で視能検査と訓練を学ぶ高校卒業後に指定の専門学校などで原則3年以上、大学では4年の課程で医学・眼科学・視能検査・視能矯正を学ぶ。所定の大学等で必要科目を履修した人向けの1年以上の課程もある。
  2. 視能訓練士国家試験に合格する指定養成課程を修了して年1回の国家試験に合格し、厚生労働大臣免許を受ける。視力検査だけでなく眼科疾患や斜視・弱視、訓練方法などが試験範囲になる。
  3. 眼科で検査と視能矯正の実務を積む眼科医と協力し、成人の視野検査、小児の視能矯正訓練、ロービジョンケアなど、それぞれの検査機器と患者対応を経験する。

今から伸ばしたい力

  • 視力・屈折・視野・眼球運動の測定原理を理解する力
  • 乳幼児の集中力に合わせて検査の進め方を変える工夫
  • 検査値の誤差や再検査が必要な場面を見極める判断
  • 弱視や斜視の訓練を医師と相談して組み立てる技術
  • 拡大鏡や照明などを生活場面で試しながら選ぶ力

出典と前提

最終確認日
2026年10月30日

出典

予測の前提

  • 高齢者の眼科疾患の検査とロービジョンケアの需要が一定程度続く。
  • 検査装置の自動化が進む一方、小児の検査と補助具の相談では人の対応が求められる。
  • 眼科診療を支える人員は診療報酬と医療機関の採用予算の影響を受け続ける。

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