医療・福祉

福祉用具専門相談員

ふくしようぐせんもんそうだんいん

車いす、歩行器、介護ベッドなどを使う人の身体状況と住まいを確かめ、適切な福祉用具の選定、使い方の説明、利用後の点検を行う。介護保険の貸与・販売事業所で働く。

福祉用具の相談スペースで、女性の専門相談員が持ち手の太いスプーンを示し、利用者と握りやすさや使い方を確認している。
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はじめに

歩くことやベッドから起きることが難しい人には、車いすや歩行器などの道具が役立ちます。福祉用具専門相談員は、その人の体と家の広さを調べ、使いやすい道具を一緒に選びます。届けて終わりではなく、安全な使い方を説明し、道具が合っているかを後から確かめる仕事です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約403万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜少し上がる
収入
在宅介護需要は増えても福祉用具の貸与価格や事業者の競争が賃金を制約する。訪問調整の専門性が評価される場合もあり横ばいを中心とした。
需要
高齢者の自宅生活を支える用具の必要性が高まる一方、標準的な製品選定の自動化と制度見直しが採用数を抑える可能性がある。
人による差
人による差は今と同じくらい

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今の福祉用具専門相談員の仕事

今
  • 住環境と身体状況の確認利用者の歩き方、立ち上がりやすさ、室内の段差・廊下幅などを測り福祉用具に必要な条件を調べる。
  • 福祉用具の選定と貸与計画作成歩行器、車いす、特殊寝台などから候補を選び、利用目的と使用方法を計画書にまとめる。
  • 搬入・高さ調整と使い方の説明器具を家へ届け、手すりやベッドの高さを合わせ、本人と家族に安全な操作を実演する。
  • 福祉用具の点検・モニタリング貸与した用具に故障や不適合がないか定期的に確かめ、身体の変化に応じて見直す。
  • ケアマネジャーとの情報共有介護支援専門員と利用目的・使用状況を相談し、福祉用具の適切な利用につなぐ。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 住居の寸法と道具の適合候補検索 確からしさ:高 廊下幅、段差、製品寸法を照合して候補を出す処理は規則化できる。

AIと協働

  • 福祉用具貸与計画の作成支援 確からしさ:中 定型書類を機械が下書きしても身体状況と生活目標の確認が必要になる。
  • 器具の状態をセンサーで点検 確からしさ:中 部品の摩耗を知らせる機能が増えても実物のがたつきや住居での使い勝手は現場で確認する。

人が中心

  • 本人の動作に合わせた用具の試用 確からしさ:高 立ち上がるときの癖や怖さを確かめ、使う本人が納得できる調整は現場の試用が欠かせない。
  • 家族への使い方説明と再調整 確からしさ:中 操作に慣れない家族の不安や日々の動作を聞き、無理のない使い方を一緒に考える。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、福祉用具専門相談員の一日(架空)

四十代の咲子は、初めて歩行器を借りる人の家に着くと、玄関から居間までの道をゆっくり歩いた。事前に送られた住宅の立体図では通れそうだったが、廊下には小さな敷物と低い棚がある。歩行器の幅だけでなく、曲がるときに手を動かす場所が足りない。咲子はメジャーで幅を測り、持参した二種類の歩行器を実際に置いてみた。

利用者は一つ目の機種を押すと「少し前へ進みすぎる」と話した。機械は身長からハンドルの高さを提案していたが、腕の力や歩く速度には個人差がある。咲子は高さを調整し、家の中を数歩試してもらった。止まる位置と方向転換を確かめ、本人が安心できるものを選んだ。家族には、段差で無理に押さないことや点検の時期を説明した。

午後は介護ベッドの貸与計画を見直す。利用者の体の状態が変わったため、ベッドから車いすへ移るときの高さが合わなくなっていた。咲子はケアマネジャーから生活の様子を聞き、必要な機能を確かめた。自動提案には高価な機種が並ぶが、必要ない機能まで選ばない。介護保険の対象になる範囲と本人の負担を説明した上で、最適な機種を探した。

夕方、朝の家から連絡があり、「今度は廊下を通りやすくなった」と聞いた。咲子は次回の点検日と注意点を記録する。用具を売ることが目的ではない。道具を使う人が、行きたい場所へ自分の力で近づけるようにする。それが咲子にとっての仕事の手応えだった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約403万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「福祉用具専門相談員」に対応づけられた関連販売・相談等の職業分類の雇用者
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 2025年全国年収402.7万円はjob tagに対応する広い職業分類の平均で、福祉用具専門相談員だけの給与ではない。
  • 貸与事業者と販売事業者、法人の規模、営業職との兼務で賃金は異なる。
  • 関連する国家資格を持つ人と指定講習の修了者が混在する。
  • 商品販売・レンタルの売上と、相談員本人の給与を混同してはならない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 在宅で暮らす高齢者の増加上がる方向

    家で安全に暮らすための道具を選ぶ相談が増えるかもしれません。

    大人向けの詳しい説明

    在宅介護の拡大と家屋の段差・狭さが個別調整の需要を支える。

  • 製品の選定と住宅測定の自動化下がる方向

    家の広さに合う道具を探す仕事は、機械が手伝います。

    大人向けの詳しい説明

    商品データと住宅寸法の照合は標準製品の提案時間を短縮する。

  • 介護保険の貸与・販売制度どちらにも動きうる

    どの道具を借りられるかという決まりが、利用する人と働く人に影響します。

    大人向けの詳しい説明

    貸与品目・自己負担・報酬と価格上限の改定が事業者の収益性を左右する。

  • 現場での試用と安全確認上がる方向

    体に合うか実際に試して、使い方を教える役割は残ります。

    大人向けの詳しい説明

    使用時の動作、転倒リスク、器具の調整は個人差が大きく現場サービスの価値を支える。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 在宅介護と個別調整が拡大

    条件高齢者の自宅生活を支える政策と用具の改良が進む。

    起きそうなこと体と住まいに合う器具を選ぶ相談員の需要が高まる。

  2. 標準器具の自動選定が普及

    条件身体測定、住宅寸法、製品データが共有され、候補提案が自動化する。

    起きそうなこと定型商品説明は減るが、現場での試用と安全確認には人が残る。

  3. 介護保険財政が厳しくなる

    条件貸与対象品目や価格上限の制度が見直され、利用者負担も変わる。

    起きそうなこと利用需要があっても事業者の収益と給与に制約がかかる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

高齢化が進む地域では、車いすや歩行器、介護ベッドなどを安全に使うための相談が増えうる。本人の体格や住まいの構造に合わせた試用・調整は、製品カタログを見るだけでは終わらない。

一方、製品の適合候補の検索と貸与計画の定型部分は自動化しやすい。介護保険制度で貸与対象や価格が変わるため、利用者の数だけ求人が増えるわけではない。需要は小幅増を中心に見る。

働き方

福祉用具の貸与・販売事業所に勤務し、店舗・倉庫で用具を点検したり、利用者の自宅へ訪問して用具を選び調整したりする。ケアマネジャーとの会議にも参加する。

日勤中心で訪問予定に沿って移動する仕事が多く、器具の搬入を担当する場合は身体を動かす。使用後の点検や交換にも関わるため、販売した時点で仕事が終わるわけではない。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校で保健・物理・家庭科を学ぶ体の動き、器具の仕組み、高齢者が暮らす住宅の環境を学ぶ。
  2. 福祉用具専門相談員指定講習などを修了する2026年度の新カリキュラムは53時間以上。介護福祉士、看護師、理学療法士等の所定の資格者は指定講習修了者以外にも法令上の対象となる。
  3. 貸与・販売事業所で選定と点検を学ぶ利用者の身体状況を確認し、用具の試用、貸与計画、使用後のモニタリングの経験を積む。

今から伸ばしたい力

  • 車いす・歩行器・特殊寝台の構造と安全な操作を知る力
  • 利用者の立ち上がりや歩行動作を観察する力
  • 廊下幅・段差・家具配置を測り用具の寸法と合わせる力
  • 福祉用具貸与計画と介護保険の対象品目を説明する力
  • 利用後の点検結果を記録してケアマネジャーと共有する力

出典と前提

最終確認日
2026年11月2日

出典

予測の前提

  • 2050年も在宅介護に歩行器・車いす等の福祉用具と安全な選定が必要になる。
  • 製品選定の自動化が進んでも身体動作と住環境の現物確認が残る。
  • 貸与・販売に関する介護保険の対象と価格制度は将来改定されうる。

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  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。