食・農

和菓子職人

わがししょくにん

あんや米粉、もち米、小麦粉などを用い、まんじゅう、羊羹、練り切りといった和菓子を作る仕事。あんの炊き具合や生地の水分を調整し、季節の色や形を手作業で表す。衛生管理や商品の保存性にも気を配る。

女性の和菓子職人が、手のひらに載せた練り切りに木べらを当て、花びらの形を丁寧に整えている。
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はじめに

おまんじゅうや、季節の花をかたどったきれいなお菓子を作る仕事です。小豆を煮てあんを作り、もちもちした生地で包んだり、竹べらで花びらの形をつけたりします。火の強さや水の量が少し違うだけで味や形が変わるので、目と手と舌を使って仕上げます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約397万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
定型菓子の機械化と価格競争、豆やエネルギーの調達費が一般的な製造賃金を圧迫し得る。季節の手細工を適正価格で売れる職人には改善の余地があるため、幅を持たせて小幅減を中心にした。
需要
人口減少の地域では店舗数と標準菓子の製造人員が減りやすく、量産工程も省力化できる。一方、茶会・贈答の細工仕事は残り、観光地や都市部では採用難になる可能性がある。
人による差
人による差が広がる

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今の和菓子職人の仕事

今
  • 小豆の選別とあん炊き小豆を水洗いして煮え方を見ながら火を調節し、砂糖を加えて粒あん・こしあんの硬さと風味を整える。
  • まんじゅうや餅生地の仕込み米粉や小麦粉の配合、水分、蒸し時間を調節し、包あんしやすい柔らかさと食感に仕上げる。
  • 練り切りなど上生菓子の細工あんに色をつけ、三角棒や竹べらを使って花びら、葉脈、季節の景色を一つずつ表現する。
  • 蒸し・焼き・冷却の品質管理せいろやオーブンの加熱状態を確認し、形崩れや生焼けを防ぎ、冷却中の乾燥や結露にも注意する。
  • 期限表示・包装と売れ行きの調整原材料とアレルゲンを確認して包装し、日持ちの短い商品の製造量を注文数や季節行事に合わせる。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 販売履歴からの仕込み数提案 確からしさ:高 曜日、天候、催事予約と商品の日持ちを組み合わせた数量計算は自動化しやすい。ただし近隣の行事の変更は職人が確認する。
  • 大量生産のあん練りと温度制御 確からしさ:中 釜の温度やかき混ぜ速度は設備で制御できるが、小豆の産地や収穫期で変わる水分と風味を小規模店まで再現するには調整が要る。

AIと協働

  • 蒸し工程の水分と火通りの確認 確からしさ:高 温度センサーが加熱記録を補助しても、生地の割れや餡とのなじみを見て時間を微調整する作業は残る。
  • 食物アレルゲンと衛生記録の点検 確からしさ:高 原材料の照合や記録の欠落検知は自動化できる一方、製造場所の共用による混入リスクや表示の最終確認は事業者が責任を負う。

人が中心

  • 季節の上生菓子の意匠づくり 確からしさ:中 機械は同じ形を繰り返し作れるが、茶席や贈る相手の季節感を受けて色、余白、手ざわりを決める価値は人に残り得る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、和菓子職人の一日(架空)

九月の夕方、商店街の小さな和菓子店で、40代の職人・千尋は菓子木型を棚から下ろした。翌日の茶会に合わせて、秋の七草を題材にした上生菓子を三十個作る。注文画面には薄紫の花の図案がいくつも示されていたが、千尋は依頼主が『派手すぎないものを』と言った声を思い出し、色の濃さを少し落とした。

奥の銅鍋では白あんがゆっくり練られている。温度制御の装置は仕上がりを知らせたが、千尋は木べらでひとすくいして皿に落とした。今朝のあんは、いつもよりわずかに水分を含んでいる。包むと花びらの角がつぶれそうだ。彼女は火を止めずにもう少し練り、冷めたときの硬さを指先で確かめた。

閉店後、淡い色をつけた練り切りの生地を小さく分け、紫の花と細い葉を一つずつ形にする。細工用の機械は均一な溝をつけるが、千尋は先端を竹べらで少し曲げ、花が風を受けているような表情を加えた。隣で手伝う若い職人には、『同じ形をそろえる前に、本物の花を見てごらん』と話した。

最後に原材料表示と注文票を照らし合わせ、冷蔵ケースへ納める。新しい包材は結露を抑えるが、菓子が乾かないかは明朝も確認するつもりだ。シャッターを下ろす頃、試作の一個だけが作業台に残った。千尋はそれを半分に割り、あんと生地の境目を見てから、ようやく小さくうなずいた。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約397万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag『和菓子製造、和菓子職人』に対応づけられたパン・菓子製造工などの職業分類の一般労働者(雇用者)。和菓子の細工職人だけの平均ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tagの2025年全国年収396.7万円を円換算した。パン・菓子製造工を含む分類で、和菓子専門の職人だけを集計した値ではない。
  • 個人店の見習い、百貨店向け製造所、大規模な菓子工場では担当工程と雇用条件が異なる。
  • 自分の店を経営する職人の売上や、材料費・家賃を差し引いた事業所得は、この雇用者の年収と別である。
  • 季節行事の注文量や都市部の立地によって忙しさと報酬が変わり、全国の個人の相場を示す値ではない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 上生菓子の手細工と地域の贈答需要上がる方向

    茶会やお祝いに合うお菓子を作れる人は、選ばれやすくなります。

    大人向けの詳しい説明

    茶道の会や贈答の小口注文は形・季節感・納期への対応力を求める。価値が価格に反映できれば熟練職人の交渉力になる。

  • まんじゅう・羊羹の定型製造と包装の機械化下がる方向

    同じ形のお菓子をたくさん作る工程は、機械が受け持つことも増えます。

    大人向けの詳しい説明

    一定の形や重量をそろえる工程は自動化と相性がよい。規模の大きな菓子工場の設備投資が標準品の価格競争につながり得る。

  • 小豆・砂糖・加熱と冷蔵の費用どちらにも動きうる

    小豆や砂糖、火を使うためのお金が高くなると、お店の利益は変わります。

    大人向けの詳しい説明

    豆の収穫、原料調達、蒸し・練り・冷却に要するエネルギー費が原価を左右する。菓子の値上げに消費者が応じるかで所得への影響が分かれる。

  • 季節行事と日持ちの短さどちらにも動きうる

    お正月やお祝いの日には注文が増えますが、売れ残ると困るお菓子もあります。

    大人向けの詳しい説明

    彼岸や茶会などへの注文集中は短期的に労働需要を生む一方、生菓子の廃棄ロスと臨時人員の手配が利益を左右する。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 茶会や贈答の専門店が支持される

    条件地域の茶席や贈答の注文が続き、手細工の価値を販売価格に反映できる。

    起きそうなこと少量でも高付加価値の上生菓子を作れる人は報酬を維持・改善しやすいが、技術習得に時間がかかる。

  2. 普段使いの菓子が機械化と価格競争へ進む

    条件量販のまんじゅうや羊羹の製造・包装が省力化され、消費者が低価格を選ぶ。

    起きそうなこと定型工程の人手は減り、個人店も価格を引き上げにくくなる。技術者と単純工程担当で報酬差が広がり得る。

  3. 原材料費と後継者不足が同時に進む

    条件小豆や砂糖の調達費と冷蔵・加熱費が上昇し、後継者を育てる余力が不足する。

    起きそうなこと注文があっても利益が薄くなる店があり、熟練の技術を残すための価格設定や共同製造が課題になる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

季節の意匠を持つ生菓子、手土産、茶会向けの特注品などには、作り手の感覚や細工を求める人が残ると考えられる。海外の日本食人気が注文につながる可能性もあるが、地域の観光客数や販売経路に左右される。

一方、日常の標準的な和菓子は製造や包装の機械化が進み、人口の少ない地域では販売店も減り得る。製造工程全体で雇われる人数は小幅減を中心に見立てるが、熟練した細工職人の採用難が局所的に強まる可能性は残る。

働き方

働く場所は和菓子店の工房、和菓子メーカーの製造所、百貨店向けの商品を作る工場など。小さな店ではあん炊き、成形、包装、注文対応を兼ね、大きな製造所では工程ごとの分業が進む。

朝の仕込みや彼岸・正月前の繁忙、立ち仕事と熱い釜を扱う負担がある。独立開業もできるが、店舗経費と衛生管理に責任を負い、技能の高さがそのまま事業所得になるとは限らない。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校卒業後に和菓子店・製造所で見習う和菓子職人として働くこと自体に国家免許は必要ない。あん炊き、包あん、上生菓子の細工を先輩から学び、製造所の衛生管理の手順も覚える。
  2. 製菓系の専門学校などで基礎を学ぶ製菓の専門課程で材料学、食品衛生、和菓子の実習を学ぶ道もある。製菓衛生師の受験資格は指定養成施設で1年以上学ぶか、条件を満たす製菓業務に2年以上従事するなどの方法がある。
  3. 製菓衛生師や菓子製造技能士に挑戦する製菓衛生師は都道府県が行う試験に合格し免許を得る資格。菓子製造の技能検定もあるが、いずれも全員に必須の就業免許ではない。開業する場合は食品営業の許可・届出と衛生管理を確認する。

今から伸ばしたい力

  • 小豆の煮上がりとあんの水分を見極める感覚
  • 米粉や求肥の生地を包あんしやすい硬さに仕上げる技術
  • 三角棒・竹べら・菓子木型で季節の意匠を表す手の技術
  • 蒸し時間と冷却・保存温度を組み合わせて形と日持ちを守る力
  • 原材料表示とアレルゲン、器具の洗浄を扱う食品衛生の知識

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 2050年も茶会や贈答に合わせた季節の和菓子を注文する人は一定数いる。
  • 小規模店と大規模工場ではあん練り・包装の自動化を導入する費用に差がある。
  • 食品衛生と表示への責任は製造設備が進化しても事業者に求められる。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。