食・農

調理師(料理人)

ちょうりし(りょうりにん)

飲食店や給食施設などで料理を作り、食材の仕入れ・下準備・加熱・盛り付け・衛生管理を行う仕事。料理の種類や店の規模により、献立の考案や厨房の管理も担う。

料理店の厨房で、白い調理服を着た60代の男性料理人が、まな板の上の野菜を包丁で切っている。添えた手の指を曲げ、手元に集中している。
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はじめに

料理人は、おいしい料理を作るだけでなく、食べる人が安全に楽しめるよう準備する仕事です。野菜や肉を選び、洗い、切り、火を通し、きれいに盛り付けます。お客さんの好みやアレルギーに気をつけることも大切です。学校の給食や病院の食事を作る人もいます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約379万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜上がる
収入
飲食の現場では人手不足が続いており、調理の担い手を確保するための賃上げ圧力がある。一方、人口減少による客数の減少や食材・光熱費の上昇、価格競争は収入を押し下げ得る。上げる力と下げる力の両方があるため、横ばいを中心に広い幅を取った。
需要
料理への需要は残る一方、人口減少と定型工程の機械化により調理に必要な人数が減る場合がある。学校・病院・観光地などでは異なる需要もあるため、仕事の総量と雇用人数を区別して小幅減少を中心に見立てた。
人による差
人による差が広がる

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今の調理師(料理人)の仕事

今
  • 献立と調理方法の検討料理の種類や季節、客の要望に合わせて献立・調理工程を決める。
  • 食材の仕入れと検品必要な食材を発注し、鮮度、数量、保存状態を確認する。
  • 下ごしらえ洗浄、切り分け、下味付けなど、料理に必要な準備をする。
  • 加熱・仕上げ・盛り付け食材の特徴や注文状況に合わせて調理し、料理を仕上げる。
  • 衛生・アレルギー対応調理器具の洗浄、温度管理、交差接触の予防などに取り組む。
  • 厨房のチーム管理調理順序や提供時間を調整し、新人の技術指導や片付けを行う。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 仕入れ量と献立候補の予測 確からしさ:高 現在も注文数や在庫に合わせて仕入れを調整しており、売上と在庫データの分析は自動化しやすい。
  • 定型的な伝票・原価記録 確からしさ:高 仕入れ伝票や原価の記録は入力形式がそろえば自動化しやすいが、異常値は確認が必要である。

AIと協働

  • 下処理・反復調理の機械化 確からしさ:中 定量の盛り付けや一部の加熱工程は機械化できても、食材のばらつきと衛生管理には人の確認が必要である。
  • 食品安全とアレルギー対応 確からしさ:高 食品衛生制度に基づく管理は記録支援が可能でも、取り違えや交差接触を防ぐ現場確認が欠かせない。
  • 調理工程と提供順の組み立て 確からしさ:高 予約や注文に応じて順番を提案できるが、火加減や厨房の混雑など実際の状況で調整が必要になる。

人が中心

  • 味・香り・食感の判断と調整 確からしさ:中 季節や産地で食材の状態が異なり、食べ手の好みを踏まえて仕上げる判断には現物の確認が求められる。
  • 料理の説明・客との対話 確からしさ:高 好みや食事制限を聞き、料理の特徴を伝える仕事には信頼と状況判断が必要である。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、調理師(料理人)の一日

午前8時半。料理人の彩人は、駅前の小さな食堂に入った。今日は雨の予報で、仕入れを決める端末は昼食の来客が少なめになると見込んでいる。けれど、近くの学校で行事がある日だ。彩人は店長と話し、料理を作る量を少し調整した。

午前9時。届いた野菜を確認する。大きさや形は箱ごとに違い、同じ時間で火が通るとは限らない。洗浄や計量は補助機械に任せるが、傷みがないかは自分でも確かめる。旬の食材の香りがよく、予定していた料理の付け合わせを変えることにした。

午前11時。開店が近づく。大鍋の温度は自動で管理され、提供する数の予測も画面に出る。ただし、味付けは最後に一口確かめる。お客さんの中には塩分を控えたい人もいる。注文を受ける端末から伝わる希望を見て、別の調味料で作る段取りを整えた。

正午。店が混み始めた。盛り付け機械が定型メニューを支える一方、焼き魚の火の入り方がいつもと違う。彩人は温度計を確かめ、焼く時間を変える。急いでも安全の確認は省かない。新人には、機械の数字だけでなく食材を観察することを教えた。

午後2時。遅い昼休みに、店長と今日の売上と食材の残りを確認する。原価計算は自動で表示された。最近は材料費が変わりやすく、値上げをすればお客さんが減る心配もある。彩人は量をむやみに減らすより、食材の使い方を工夫できないか相談した。

午後4時。明日の仕込みを終えるころ、常連のお客さんから『今日の煮物、やわらかくて食べやすかった』と声をかけられた。自動調理が進んでも、何をおいしいと感じるかは人によって違う。

彩人は洗い終えた包丁をしまい、翌日の献立を少し直す。機械が助けてくれる時間が増えたぶん、料理を食べる人のことを考える時間を大切にしたいと思った。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約379万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省job tag掲載の加工値)
調査年
2025年
対象
job tagに対応づけられた職業分類の雇用労働者。独立事業者の事業所得は含まない。
税・賞与
税・社会保険料控除前、賞与等を含む年収
  • 採用したjob tagページは「西洋料理調理人(コック)」。2025年全国平均年収379.1万円を円に換算した値。
  • 西洋料理調理人に対応する職業分類の統計であり、和食・中華・給食調理などを含む全ての調理師免許保有者の平均とは限らない。
  • 賃金構造基本統計調査は雇用者の賃金の集計であり、自分の飲食店を営む人の売上や事業所得を含まない。
  • 求人賃金(月額)は就業者の平均年収とは異なる集計で、直接比較できない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 地域の人口と外食需要どちらにも動きうる

    住む人が減るとお店を使う人も減ることがある。

    大人向けの詳しい説明

    人口減少は客数を下押しする一方、観光や単身世帯、持ち帰り食品などの需要は地域によって異なる。

  • 食材と光熱費下がる方向

    材料や電気が高くなると料理を作る費用が増える。

    大人向けの詳しい説明

    仕入れ費と光熱費を販売価格に反映できない店舗では利益が減り、雇用者の待遇にも影響する。

  • 厨房の自動化どちらにも動きうる

    機械で早く作れても給料が上がるとは限らない。

    大人向けの詳しい説明

    調理設備の省力化は人手不足を補うが、導入費用や付加価値の帰属によって賃金への影響が変わる。

  • 味・安全・接客の専門性上がる方向

    食べる人に合わせて作れる人は頼られやすい。

    大人向けの詳しい説明

    アレルギー配慮、衛生管理、味の調整、調理チームの指導などの技能は付加価値となり得るが、実際の賃金は業態で異なる。

  • 価格競争と店舗経営下がる方向

    お店の値段の競争が強いと収入が伸びにくい。

    大人向けの詳しい説明

    店舗数や競合、予約数、家賃などの条件が収益に影響する。独立した料理人の売上は経費を引いた所得とは違う。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 料理の価値が評価される

    条件地域の食材や食事制限、対面サービスなど差別化できる料理への需要が続き、適切な価格設定ができる。

    起きそうなこと高度な技能や顧客の信頼が賃金や工賃に反映されれば実質収入が上がる余地がある。

  2. 定型料理を省力化する

    条件中央厨房や厨房設備の自動化が進み、少人数で多くの食事を作る。

    起きそうなこと調理量が増えても賃金に還元されない場合があり、技能の評価は職場で異なる。

  3. 人口減少とコスト圧力が強まる

    条件客数が減る地域で食材・光熱費・人件費の負担が増え、価格転嫁が難しい。

    起きそうなこと小規模店の収益が圧迫されれば雇用や実質賃金が弱くなる可能性がある。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

外食や給食に対する需要は2050年も続くと考えられるが、料理人を必要とする人数が現在と同じとは限らない。人口減少で客数が減る地域がある一方、観光、介護施設、病院、学校などの食事づくりには異なる需要がある。現在のjob tagでは西洋料理調理人が飲食店の調理や仕入れ、衛生管理を担うと説明されている。

編集上の見立てでは、反復的な下処理、定量の盛り付け、厨房の発注処理は省力化しやすい。そのため調理の作業量が残っても必要な人数は減る可能性がある。一方、味の調整、アレルギー対応、献立開発、対面でのサービスなどは人の技能が評価され得る。厨房設備の導入費や店舗規模によって普及速度は異なるため、需要の変化には大きな不確実性がある。

働き方

料理人はレストラン、ホテル、給食施設、病院、食品サービスなど多様な場所で働く。早朝の仕込み、昼夜の繁忙時間、休日勤務などがあり、立ち仕事と衛生管理が重要になる。専門の料理分野、職場の規模、料理長か新人かなどによって役割と収入は異なる。

調理師免許は、指定養成施設を卒業して申請する道と、一定の調理実務経験を積んで試験に合格する道がある。ただし調理業務そのものには免許が必須でない職場もあり、免許を持つことと料理の技能は分けて考えたい。2050年には予約、原価管理、定型調理の省力化が進む一方、味の調整と食の安全、チームでの提供が大切になるだろう。独立して店舗を経営する場合、売上から仕入れ、家賃、人件費などを引いた所得を考える必要がある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 料理と食の基礎を学ぶ家庭科、理科、衛生、栄養に関心を持ち、調理の経験を積む。
  2. 指定の調理師養成施設厚生労働大臣の指定する調理師養成施設を卒業して免許を申請する道がある。
  3. 実務経験と試験のルート飲食店や給食施設などで原則2年以上の調理実務を経て、都道府県の調理師試験に合格し免許を申請する道がある。
  4. 料理の現場で技術を学ぶ仕込み、調理、衛生、接客、厨房での連携を経験し、専門分野を深める。
  5. 仕事の幅を広げる専門料理人、料理長、給食調理、商品開発、店舗経営など多様な道がある。

今から伸ばしたい力

  • 食品衛生と食物アレルギーを理解する力
  • 食材を見て味や火の入り方を判断する力
  • 道具と火を安全に扱う力
  • 献立や仕入れを計画する力
  • 仲間と協力し提供時間を守る力
  • 原価管理やデジタル機器を使う力

出典と前提

最終確認日
2026年10月29日

出典

予測の前提

  • 2050年も外食や集団給食などの食事提供が必要になる。
  • 自動調理設備の普及速度は店の規模と費用、食材の条件で異なる。
  • 店舗の生産性改善や販売価格の上昇がそのまま従業員の実質賃金に結びつくとは限らない。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。