医療・福祉

動物看護師

どうぶつかんごし

動物病院で犬や猫などの診療を支え、入院中の動物の世話や飼い主へのケア指導を行う。国家資格「愛玩動物看護師」を持つ人は、獣医師の指示の下で採血や投薬などの診療補助も担う。

動物病院で、男性の動物看護師が診察台の犬に穏やかに声をかけ、体を支えながら体重測定を手伝っている。
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はじめに

動物病院で犬や猫の体調を見守り、獣医さんといっしょに治療を助ける仕事です。怖がる動物を落ち着かせたり、入院中のごはんや様子を確かめたりします。飼い主さんには、おうちでの薬の飲ませ方や世話の工夫を伝えます。特別な処置をするには国の資格が必要です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約352万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜上がる
収入
国家資格者への処置の分担が賃金の追い風になる可能性はあるが、動物病院の人件費負担や飼い主の診療費負担が上昇を抑え得る。事務の自動化で生じた利益が雇用者へどれだけ回るかも不透明なため、実質では横ばいを中心とした。
需要
愛玩動物看護師法で診療補助の役割が明確化され、動物の高齢化に伴う観察や退院指導の需要が見込まれる。ペット飼育世帯の減少と費用負担は下押し要因だが、資格者への業務分担が上回るケースを中心に置いた。
人による差
人による差が広がる

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今の動物看護師の仕事

今
  • 診察時の保定と体温・脈拍の確認診察台で犬猫が急に動かないよう体を支え、体温や脈拍の変化を獣医師に伝える。
  • 獣医師の指示による採血・処置愛玩動物看護師として、個別の指示を確かめて採血や輸液など資格で認められた診療補助を行う。
  • 入院動物の食事・排せつ・状態観察ケージごとに食事量、飲水、排せつ、呼吸や行動の変化を記録し、気になる点を報告する。
  • 手術器具の洗浄・滅菌と準備手術前後に器具を洗浄・滅菌し、必要な器具を不足なくそろえる。
  • 飼い主への在宅ケアと飼育指導退院する動物の薬の与え方や食事の注意点を、飼い主が家で実行できる言葉で説明する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 診療記録の転記と投薬予定表の作成 確からしさ:高 診察音声や検査データを記録にまとめる作業は自動化しやすいが、誤記や指示の食い違いは人が確認する。

AIと協働

  • 入院動物の活動量・体温の異常検知 確からしさ:中 センサーが普段と違う数値を知らせても、食事や表情、ケージ内の行動と合わせた観察が必要になる。
  • 獣医師の指示に基づく採血や処置 確からしさ:中 器具や位置の確認は道具が支援しても、動物の動きに合わせて手を動かし、指示と安全条件を守る担当が要る。

人が中心

  • 怖がる犬猫の安全な保定とケア 確からしさ:高 知らない人を怖がる動物の反応は一頭ごとに異なり、力加減や飼い主との距離をその場で調整する。
  • 退院後の食事・投薬を飼い主と相談 確からしさ:中 飼い主が実際にできる方法を聞き取り、動物の性格や生活環境に応じたケアを一緒に決める必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、動物看護師の一日(架空)

診察台の下から、短く「くぅん」と声がした。五十代の愛玩動物看護師・直人は、診察室の床にしゃがみ、キャリーケースの扉をまだ開けずにいた。中にいるのは、通院が苦手な老犬だ。飼い主は、家では元気なのに病院に来ると震えてしまうと話す。直人はまず犬が落ち着くまで待ち、獣医師に今日の様子を伝えた。

診察室の端末には、自宅の首輪型センサーが記録した一週間の活動量が映る。昨夜から立ち上がる回数が減り、眠る時間が増えていた。機械は足の痛みを疑う印をつけたが、直人は数値だけでは決めない。飼い主に散歩道の段差や床の滑りやすさを尋ね、ケースから出てきた犬の歩き方を注意深く見る。獣医師が診察し、追加検査を決めた。

処置の前、直人は犬が向きを変える合図を見逃さないよう、もう一人の看護師と立つ位置を合わせる。獣医師の個別の指示を確認して採血を補助し、終わると呼吸と表情を確かめた。検査値は自動で記録されたが、犬が途中で強く緊張したことは自分の言葉で付け加える。

夕方、退院の説明をする。飼い主は『薬を飲ませるのが苦手で』と小さく笑った。直人は錠剤を包む食べ物の選び方と、嫌がったらいったん手を止める方法を実演した。紙の予定表より、家で続けられる世話の形を一緒に探すことが今日の仕事だった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約352万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「動物看護」に対応づけられた「その他の保健医療関係助手」等の雇用労働者。愛玩動物看護師だけを取り出した統計ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag「動物看護」2025年全国年収351.9万円を円に換算した。統計の職業分類には動物看護以外の助手職も含まれる。
  • 国家資格「愛玩動物看護師」の有資格者だけの平均年収を示す数字ではない。病院助手などとの区別が必要である。
  • 勤務先は小規模な動物病院から専門病院までさまざまで、休日診療や夜間当番の有無でも待遇が異なる。
  • 個人で請け負うケアサービスの売上や独立事業の所得を、雇用者の統計年収と直接比較できない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 愛玩動物看護師の国家資格と業務独占上がる方向

    国の資格がある人にしかできない動物の診療のお手伝いがあります。

    大人向けの詳しい説明

    2022年施行の愛玩動物看護師法は獣医師の指示下の診療補助を資格者の業務とした。資格に見合う配置と報酬が広がるかが賃金を左右する。

  • 高齢動物の医療と飼い主の負担どちらにも動きうる

    長生きする犬や猫の世話が増えても、病院に払えるお金は家庭ごとに違います。

    大人向けの詳しい説明

    慢性的な病気の観察や継続通院の需要はあるが、民間の動物医療は家計の支出判断に左右される。

  • 小さな動物病院の人員・設備投資下がる方向

    少人数の病院では、給料や新しい機械に使えるお金に限りがあります。

    大人向けの詳しい説明

    高度な検査機器や記録システムの導入費が先行すると、生産性の改善がすぐに賃金へ回るとは限らない。

  • センサー・記録の自動化どちらにも動きうる

    動物の体調の数字は機械でも見られますが、こわがる気持ちは人がよく観察します。

    大人向けの詳しい説明

    計測・転記は効率化しても、保定、処置、飼い主への説明など身体的な仕事は残る。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 国家資格者への診療補助の分担が広がる

    条件獣医師と愛玩動物看護師の役割分担が進み、病院が資格者の処置能力に対して待遇を改善する。

    起きそうなこと経験と資格を持つ人の評価が高まり、一定の賃金上昇につながり得る。

  2. 高齢のペットを継続的に支える

    条件飼育頭数が大幅に増えなくても、高齢動物の通院や在宅ケア支援の回数が増える。

    起きそうなこと入院観察や飼い主への指導の仕事が増える一方、診療費を負担できる世帯との差も広がる。

  3. 記録自動化と小規模病院の費用制約

    条件カルテや受付の省力化が進むが、動物病院の診療単価や人件費負担は上げにくい。

    起きそうなこと日常事務は減るものの、賃金は上がりにくく、病院ごとの待遇差が残る。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

国家資格制度によって、獣医師の指示の下で採血などを担える愛玩動物看護師の役割が明確になった。犬猫の高齢化が進んだ場合は、慢性的な体調変化の観察や退院後のケア説明が重みを増す。動物病院が獣医師だけでなく看護師に仕事を分担するほど、資格者の需要は増え得る。

一方、人口と世帯の変化でペットを飼う家庭が減ったり、治療費の負担から通院回数が抑えられたりする可能性もある。受付や記録の自動化で事務作業の人手は減り得るが、動物の安全な保定と処置は一頭ずつの対応が必要だ。全体の需要はやや増えると見るが、地域と病院の規模による違いは大きい。

働き方

主な職場は犬や猫を診る動物病院で、診察室だけでなく入院室や処置室にも出入りする。診療の補助、入院動物の世話、手術器具の準備を行い、飼い主には食事や服薬の説明をする。国家資格を持たないスタッフも看護以外の補助業務を担えるが、法定の診療補助には資格が必要だ。

診療時間に合わせたシフト勤務があり、土日も開く病院では週末が必ず休みとは限らない。夜間救急に対応する施設では当番や交代勤務も考えられる。規模の小さい病院では一人が受付と動物のケアを兼ねることもあり、専門病院では担当業務が分かれやすい。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 指定科目を学べる大学または養成所を選ぶ愛玩動物看護師国家試験の通常ルートには、指定科目を置く大学で学ぶ方法と、指定養成所で3年以上学ぶ方法がある。大学は一般に4年間。
  2. 愛玩動物看護師国家試験に合格して登録する農林水産省と環境省が所管する国家試験に合格した後、愛玩動物看護師名簿への登録を受けて免許を取得する。合格だけでは免許にならない。
  3. 動物病院で診療補助と看護の経験を積む犬猫の扱い、術前準備、術後観察、在宅ケアの説明などを経験し、獣医師の指示の下で行える処置の範囲と安全手順を確実に身につける。

今から伸ばしたい力

  • 犬猫の呼吸・食欲・排せつから体調変化を見分ける観察力
  • 動物を怖がらせずに診察台で安全に保定する手の使い方
  • 獣医師の個別指示と診療補助の法的な範囲を理解する力
  • 器具の洗浄・滅菌と感染予防を確実に行う技術
  • 飼い主が自宅で再現できる投薬・食事の説明力

出典と前提

最終確認日
2026年10月30日

出典

予測の前提

  • 2050年も犬や猫の診療には保定と人による個体ごとの観察が必要とされる。
  • 資格者の業務範囲と獣医師による指示の仕組みは大枠で維持される。
  • 動物病院の経営と飼い主の支払能力が資格者の待遇改善を左右する。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。