教育

家庭教師

かていきょうし

塾講師の仕事の一つです

生徒の自宅やオンラインで一対一の学習指導を行う仕事。学校の宿題、定期テスト、受験対策などの目標に合わせて教材を選び、解き方を教えるだけでなく自力で学べる手順をつくる。

30代の男性家庭教師が、色分けした四角の図を鉛筆で示し、パソコン画面の女子生徒へオンラインで割合を説明している。
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はじめに

勉強を教えてほしい子の家や、画面をつないだ教室で、一人ずつ教える仕事です。算数の文章題や英語の音読など、その子が困っているところを一緒に調べます。みんなに同じ問題を出すのではなく、分からなくなったところまで戻って練習し、家でできる宿題の量も考えます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約442万円参考値:公的な資料から計算した目安
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:大きく下がる〜少し上がる
収入
自動演習の普及とオンラインの価格競争が基本的な指導単価を押し下げる一方、個別支援に強い指導者は料金を維持し得る。生徒の確保や仲介手数料で所得差が開くため、物価を除いた実質収入は小幅な低下を中心とした。
需要
少子化による対象人数の減少と低価格の自動学習支援が一般的な補習の依頼を減らす可能性がある。一方で生徒に合う方法を探す一対一指導の需要は残るため、全体ではやや減ると見立てる。
人による差
人による差が広がる

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今の家庭教師の仕事

今
  • 初回の学力・目標の聞き取り生徒と保護者に現在の教科の成績、志望校、学習時間を聞き、つまずきの単元を確認する。
  • 一対一の解法指導と理解の確認生徒が間違えた途中式や読み違えた設問を一緒にたどり、本人の言葉で解き方を説明してもらう。
  • 学校別・志望校別の教材選び学校のワークや受験問題集から、必要な単元と問題の難度を選び直す。
  • 家庭学習の宿題と進み具合の見直し前回からの宿題で止まった箇所を記録し、次回までに無理なく続けられる課題を示す。
  • 保護者への指導報告と日程調整授業の終了後にできたことと次の課題を報告し、試験日や家庭の予定に合わせ指導回数を調整する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 反復問題の出題と採点 確からしさ:高 漢字や計算の反復練習は正答と履歴を機械で管理しやすく、低コストで提供できるようになる。

AIと協働

  • 誤答履歴からの単元の絞り込み 確からしさ:中 AIは誤答の傾向を示せるが、問題文を読み飛ばしたのか考え方が分からないのかは面談して確かめる必要がある。
  • 志望校と試験日に合わせた学習計画 確からしさ:中 問題演習の時間配分は計算できても、生徒の学校行事や睡眠・気持ちを踏まえたペース調整は人が決める。

人が中心

  • 苦手意識が強い生徒への対話 確からしさ:高 間違いを見せたくない気持ちや家庭内の緊張をくみ取って質問しやすい関係をつくる役割は、一対一の先生の中心になり得る。
  • 家庭との指導契約と学習成果の説明 確からしさ:中 授業料と頻度を合意し、効果が小さいときには課題を正直に伝える責任は契約する人と指導者に残る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、家庭教師の一日(架空)

午後七時十分、三十代の家庭教師・航は自宅の小さな机に、方眼紙と色鉛筆を並べた。最初の授業は遠くの町に住む中学二年生とのオンライン指導だ。生徒が先週の割合の問題を画面に映す。「答えは出せるけど、どうして割るのか分からない」と声が届いた。自動学習ソフトは正答までの手順を細かく表示していたが、航は一度表示を消してもらう。

「百円を何人で分ける話と、同じだと思う?」と聞くと、生徒は首を振った。航は方眼紙に四角を十個描き、そのうち三個だけ塗りつぶして見せる。生徒も自分の紙に図を描き、「全体が変わっても三割は三割だ」と口にした。AIが類題を十問すすめてきたが、航は二問だけ選び、どんな図で考えたかを説明してもらった。

次の時間までの十五分は、保護者への短い報告に使う。今日は正答数が増えたことより、問題に取りかかるときの表情が変わったことを伝える。受験が近く、家庭では演習量を増やしたいという希望もある。航は時間をむやみに増やさず、今週の学校の小テストに合わせて宿題を一枚に絞った。

夜九時、近所の別の生徒との対面授業を終えた航は、机の端に置かれた消しゴムのかすを片づける。二人が間違えた問題は違ったが、どちらも「なぜ?」を聞くまで解説を覚えようとしていた。指導記録には点数だけでなく、本人が使った言葉を残す。明日の授業は、その言葉の続きを確かめるところから始めよう。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今参考値

約442万円(年収・公的な資料から計算した目安)

資料
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag「学習塾教師」掲載の年収を比較使用)
調査年
2025年
対象
job tag「学習塾教師」に対応する学習・語学指導教師等の職業分類の雇用労働者。家庭教師専業の人や個人請負の収入の統計ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む雇用労働者の年収。個人請負の売上・所得とは別
計算方法
家庭教師だけの公的な年収統計が確認できないため、一対一指導を含む近接職種であるjob tag「学習塾教師」の令和7年全国年収442万円を比較目安として採用した。
  • 家庭教師専用の賃金構造基本統計調査の全国年収は確認できず、job tag「学習塾教師」442万円を近接職種の参考値として円換算した。
  • 塾教師のデータは集団授業・個別指導を含む雇用労働者の統計で、訪問型家庭教師の稼働時間や時給を直接示さない。
  • 学生の短時間アルバイト、授業回数が一定でない業務委託、自営業の収入がこの平均に代表されるとは限らない。
  • 個人契約では受け取る授業料が売上であり、移動時間・教材費・仲介手数料等を差し引いた所得とは異なる。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 自動問題演習の低価格化下がる方向

    同じ問題をくり返し練習するだけなら、安い学習サービスで済ませる家庭が増えるかもしれません。

    大人向けの詳しい説明

    反復演習と解説の標準化は家庭教師の基本サービスの価格に下押し圧力をかけ、教材を渡すだけの指導の差別化を難しくする。

  • 一人ひとりの学びに合わせた対話上がる方向

    分からないと言いづらい子にも、安心して質問できる先生が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    正答率だけでなく誤解の原因や学習習慣を見極める面談型の指導は、対人サービスとして料金を維持し得る。

  • 子どもの数と地域の家庭教育費下がる方向

    子どもの数や家庭が使えるお金が変わると、授業を頼む人の数も変わります。

    大人向けの詳しい説明

    少子化による潜在顧客数の縮小と、地域・世帯ごとの支払い余力の差が需要を左右する。

  • オンライン指導の全国競争どちらにも動きうる

    遠くの生徒にも教えられますが、遠くの先生とも比べられるようになります。

    大人向けの詳しい説明

    移動時間の削減は供給を広げるが、プラットフォーム手数料と広域の価格競争が個人指導の手取りを圧迫する可能性がある。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. AIの無料教材が標準になる

    条件基本的な演習・解説は安価に使え、一対一指導の依頼は苦手意識や受験計画に集中する。

    起きそうなこと単純な問題演習だけを教える仕事の単価は下がり、対話と家庭との調整に強い人の仕事が残る。

  2. 個別支援の需要が強く残る

    条件学習のつまずきを一人で立て直しにくい生徒や、発達特性に合わせて教え方を調整したい家庭が対人指導を選ぶ。

    起きそうなこと専門性のある個人指導は一定の授業料を維持し得るが、家庭の支払い能力で利用機会に差が出る。

  3. 少子化と地域格差が強まる

    条件地域の子どもの数が減り、オンライン経由で全国の家庭教師が同じ生徒を取り合う。

    起きそうなこと受講者を確保しにくい指導者は収入が減る一方、遠隔授業で通勤・移動の負担を減らせる人もいる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

家庭教師は塾の集団授業と違い、一人の理解の速さに合わせて問題を選べるのが価値だ。進路や学習習慣の相談を含めて対人指導を求める家庭は2050年にも残ると考えられる。ただし少子化による受講対象の縮小は避けられず、基本的な演習や解説の一部は自動化された学習サービスが代わる可能性がある。

訪問型では移動距離、オンライン型では通信環境と家庭の使える時間が制約となる。教え方に特色がある指導者は遠方の生徒を受け持てるが、一般的な補習では全国の指導者と競う。全体の需要はやや減る方向を中心に見るが、個別支援の制度や家庭の教育費支出次第で幅はある。

働き方

家庭教師センターに登録して生徒の紹介を受ける、個人で家庭と契約する、学習塾が運営するオンライン指導に参加するなどの形がある。生徒の自宅に訪問する場合は移動時間がかかり、オンラインなら自宅などから指導できる。塾教師に比べ、一つの学級を一斉に教えるよりも一人の教材選びと説明に時間をかける。

指導は生徒が学校から帰る夕方から夜や、土日に多くなりやすい。試験前には依頼が増え、長期休業中や受験後は授業数が変動することがある。時給が高く見えても準備、移動、保護者報告、キャンセルによる空き時間が収入に影響する。

家庭教師になるには

今
  1. 1高校を卒業し、大学などに進む
  2. 2教える教科を深く学び直す
  3. 3個別指導や紹介サービスで経験を積む
  4. 4生徒の家やオンラインで教える
学歴の目安
高校卒業から
よく通る道
大学
代表的な資格
必ず必要な資格はありません

この仕事でよく使う教科国語数学英語

高卒でなれる仕事大学に行かなくても目指せる仕事

くわしい進路と資格

  1. 中学・高校の基礎教科を深く学び直す数学・英語など教える教科の内容を正しく理解する。家庭教師になるために学校教員免許や特定の国家資格は原則必要ない。
  2. 個別指導塾や紹介サービスで実地経験を積む大学在学中などに個別指導のアルバイトから始める例がある。模擬授業や研修を通じ、説明の速さや学習記録の付け方を学ぶ。
  3. 担当学年と得意分野を定めて契約を確認する中学受験、定期テスト対策、高校・大学受験などから指導範囲を定め、契約時には授業料、キャンセル、教材費、個人情報の扱いを確認する。

今から伸ばしたい力

  • 同じ単元を図・言葉・具体例で説明し直す力
  • 誤答の途中式からつまずきを見つける力
  • 生徒が答えを自分の言葉で話すまで待てる聞き方
  • 学期予定・入試日程に合わせた宿題量の調整力
  • 保護者に成績の変化と指導の限界を誇張せず説明する力

出典と前提

最終確認日
2026年11月6日

出典

予測の前提

  • 家庭教師に対する公的な資格要件は現行と大きく変わらないが、紹介事業の規制は変わる可能性がある。
  • 基本的な反復問題や採点の多くは低価格の自動学習サービスで代替できる環境が整う。
  • 家庭による個別学習への支出余力と子どもの人口は地域によって差が残る。

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