塾講師
じゅくこうし
学習塾で小中高校生に教科を教え、定期試験や入学試験に向けて学習を支える仕事。集団授業や個別指導を担当し、理解度に応じた問題選び、答案分析、進路面談などを行う。

はじめに
学校の授業でわからなかったところを一緒に考えたり、志望校の入学試験に向けて勉強の進め方を教えたりする仕事です。何人かをまとめて教える塾も、一人ずつ教える塾もあります。テストの間違い方を見て、どこから学び直せばよいかを考え、家での勉強方法も伝えます。
2050年の見通し
2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。
- 収入
- 少子化と教材・採点の自動化は一般授業の価格競争を強める。個別指導に強い講師の単価上昇はあり得るが、短時間雇用の多さと教室の採算から、実質報酬は小幅低下を中心に見た。
- 需要
- 2026年の15歳未満人口の減少により受験年齢の母数が縮小する。AI教材が反復演習を代替しても対人指導の需要は残るため、大幅減ではなく小幅減を中心とする。
- 人による差
- 人による差が広がる
今の塾講師の仕事
- 単元別の授業と板書数学なら一次関数のグラフなど、習う順序に沿って例題を解説し、生徒に途中の考え方を板書させる。
- 模擬試験の答案分析正答率と途中式を照らし、計算力の不足か問題文の読み違いかを見分けて補習課題を選ぶ。
- 志望校別の受験対策過去問の出題分野や時間配分を調べ、学校ごとに演習と解き直しの計画を組む。
- 定期テスト前の補習在籍校の試験範囲に合わせて弱い単元の小テストを作り、その場で理解を確かめる。
- 三者面談と進路相談本人と保護者に模試結果の読み方を説明し、希望と学力を踏まえた受験校の組み合わせを相談する。
2050年、仕事はどう分担される?
業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。
AI・ロボットが中心
- 理解度別の練習問題配信 確からしさ:高 解答履歴から誤答の型を分類し、難易度を変えた問題を繰り返し出す処理は自動化しやすい。
- 答案の一次採点と解説候補作成 確からしさ:高 選択式・数式の採点や典型的な誤答への解説案は自動生成できるが、独特な解法の扱いには人の確認が要る。
AIと協働
- 理解が止まった場面での教え直し 確からしさ:中 道具がつまずきの候補を示しても、どの言葉ならその生徒に通じるかは対話で確かめる必要がある。
人が中心
- 志望校と学習負担の相談 確からしさ:中 家庭の通学条件や本人の希望を聞き、試験の結果だけでは決められない進路選択を支える仕事が残る。
- 教室内の授業運営と質問を引き出す指導 確からしさ:中 緊張して質問できない生徒に気づき、安心して間違えられる空気をつくるには対面の観察が役立つ。
2050年の一日
2050年、塾講師の一日(架空)
夕方五時半。三十代の塾講師・航平は、小さな教室の机に、解き直し用の白い用紙を並べた。今夜は中学三年生の数学。生徒の練習履歴は端末に届いているが、航平が気にしているのは、正解率ではなく、同じ箇所に何度も引かれた消し跡だった。
最初の生徒は、一次関数の文章題だけ急に手が止まる。学習用AIは計算ミスを疑い、似た問題を十問用意していた。航平が「どの数字をグラフに置いた?」と聞くと、生徒は問題文の『毎分』と『合計』を混同していた。式を教える代わりに、机の上に小さな積み木を並べ、時間と量の増え方を一緒に確かめた。
夜七時、別の生徒が模擬試験の結果を持ってきた。志望校の判定は前回より下がっている。それでも、長い文章を最後まで読めるようになった点は伸びていた。航平は点数を先に見せず、以前は白紙だった設問に途中式が書けたことを伝えた。次の週は計算練習を増やすか、文章の読み取りを続けるか、本人に選んでもらう。
授業後、航平はAIが作った課題を見直した。解ける問題を速く増やすだけでは、目の前の子が『なぜ』を言えるようになるとは限らない。保護者に送る学習報告には、単元名と正答率だけでなく、今日は生徒が初めて自分の言葉で間違いの理由を説明できたことを書いた。教室の明かりを消すころ、机の上には明日の授業で使う積み木が残っていた。
収入
平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。
今の年収
約442万円(年収・平均値)
- job tag「学習塾教師」の2025年全国年収442.0万円を円換算した。複数の近接する教員分類に基づく統計で、すべての塾講師を直接集計したものではない。
- 常勤講師と授業単位で働くアルバイト・非常勤講師では年間労働時間が大きく異なる。統計の額を時間講師の標準収入と解釈できない。
- 全国値であり、大手進学塾、地域の補習塾、担当学年や授業形態による差がある。
- 個人塾の経営者の売上や事業所得、家庭教師の報酬はこの雇用者統計と直接比較できない。
収入を動かすもの
AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。
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受験年代の子どもの減少下がる方向
塾に通う年齢の子どもが減ると、同じ地域で必要な授業数が少なくなります。
大人向けの詳しい説明
総務省の2026年人口推計では15歳未満人口が前年から減少した。受験市場の母数が縮むことは教室数と講師採用の下押し要因となる。
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問題演習・採点の自動化どちらにも動きうる
くり返し解く問題は機械が用意し、先生はどこで迷ったかを見つけやすくなります。
大人向けの詳しい説明
練習と解説の一部が低価格化すれば、授業時間単位の仕事は減り得る。一方、誤答の意味を読み取り、教え方を変える講師の価値は残る。
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志望校別対策と保護者の支出どちらにも動きうる
入学試験の準備にどれだけお金をかけるかで、塾の仕事の量が変わります。
大人向けの詳しい説明
家計の教育費負担と受験の競争状況が通塾需要に影響する。受験対策に集中する地域と、補習を低価格で提供する地域で単価差が生じやすい。
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個別指導への選択上がる方向
一人ひとりの苦手をじっくり教える授業を求める家庭では、先生の役割が続きます。
大人向けの詳しい説明
教科知識だけでなく、学習習慣や不安の原因を対話で把握する指導が料金の差別化につながり得る。ただし市場全体の縮小を必ず補えるわけではない。
2050年の3つのシナリオ
未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。
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個別の教え直しに価値が集まる
条件定型演習を学習AIが安く提供し、塾はつまずきの発見や進路相談に授業料を払う家庭を中心に対応する。
起きそうなこと対面で弱点を見抜ける講師の指導単価は上がり得るが、全講師の報酬が一様に上がるわけではない。
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子どもの数の減少で教室が再編される
条件受験人口の減少が続き、各地域の教室をまとめたりオンライン授業に切り替えたりする。
起きそうなこと一般的な授業を担当する求人が減る一方、複数学年を教える教室や広域の指導には仕事が残る。
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公教育の補習と地域塾が結びつく
条件学校の放課後学習や自治体の学習支援と塾講師の連携が進む。
起きそうなこと学習支援の機会が広がっても、公費の予算や契約単価に制約され、報酬が必ず増えるとは限らない。
働き方と暮らし
人手は足りる? 余る?
学習塾は学校の復習と受験対策を担い、集団授業と個別指導の両方がある。2026年の15歳未満人口は1,329万人で、前年から35万人少ない。長期的に通塾する年齢の人数が減れば、従来型の教室を支える生徒数も減りやすい。
一方、学び直しや志望校別の指導には根強い需要がある。定型的な問題配信や採点がAIに移るほど、保護者が料金を払う理由は対面での教え直しや進路相談に絞られ得る。全体として講師需要はやや減る見立てだが、地域、担当教科、教室の特色によって差が広がる。
働き方
大手進学塾、地域の個人塾、個別指導教室などに勤務する。正社員の専任講師もいるが、大学生などが授業ごとに担当する時間講師も多い。担当は小学生の補習、中学生の受験対策、高校生の教科指導など塾の方針で分かれる。
学校が終わってから授業が始まるため、平日は午後から夜十時ごろまで働く職場がある。土日の模試や面談、夏・冬休みの講習では勤務時間が変わる。独立して教室を経営する場合は、授業だけでなく入塾相談、料金設定、教室の維持も担う。
この仕事に近づくには
進路と資格
- 担当したい教科の基礎を固める高校や大学で国語・数学・英語などを学び、教える教科の内容と入試問題に習熟する。job tagによれば、学習塾教師に一律必須の学歴や資格はない。
- 学習塾の採用と模擬授業を受ける塾の採用選考で教科試験や模擬授業などを受けることがある。教員免許は法律上必須ではなく、未経験者は研修で板書と授業運営を学ぶ。
- 個別指導から受験指導・教室運営へ進む生徒の答案分析、定期テスト対策、過去問指導を積み重ね、集団授業や進路面談を任される道がある。経験後に独立して塾を開く人もいる。
今から伸ばしたい力
- 答案の途中式からつまずいた単元を見分ける力
- 受験校の過去問を読み、時間配分を教える力
- 同じ数学の内容を図・言葉・具体物で説明し直す力
- 模擬試験の判定と本人の希望を混同せず面談する力
- 学年・学校ごとの試験範囲に合わせて演習を組む力
関連する職業
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教育 教師 小学校・中学校・高校で教科や生活について教え、生徒の成長を支える。授業の準備、学習評価、保護者との連絡、学校行事や生徒指導なども担当する。
2050年の収入少し上がる -
教育 英会話講師 英会話教室や企業向け講座で、子どもから大人までに英語での会話や聞き取りを教える仕事。会話の練習を組み立て、発音や言い回しを直すだけでなく、実際の場面で相手に伝える力を育てる。
2050年の収入少し下がる -
教育 スクールカウンセラー 小中学校や高校で、児童生徒の悩みを心理学の知識で受け止め、保護者や教職員にも助言する専門職。不登校や友人関係の相談に対応し、本人の気持ちと学校で必要な支援を整理する。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- 学習塾教師|職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年10月30日取得 授業形態、模試採点、就業ルート、勤務時間、全国年収442.0万円を確認
- 統計トピックスNo.148 我が国のこどもの数(全国)(総務省統計局)、2026年10月30日取得 2026年4月1日時点の15歳未満人口1329万人、前年比35万人減を確認
予測の前提
- 2050年も学校で学んだ内容を補う塾と受験準備の需要は一定程度存在する。
- 反復演習の自動化が普及しても、家庭が対面指導に払う料金は地域と所得で異なる。
- 出生数の減少が長期的な受験年齢人口を押し下げ、教室の統廃合を進める。
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