建設・設備

造園設計(ランドスケープデザイナー)

ぞうえんせっけい(らんどすけーぷでざいなー)

公園、校庭、街路、建物の外構などの緑と人が過ごす場所を設計する仕事。現地の地形、日当たり、土の状態、雨水の流れを調べ、樹木や園路、ベンチの配置を図面と仕様書にまとめる。

設計机で、女性の造園設計者が庭の模型と植栽図を見比べ、木や園路の配置を指して確かめている。
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はじめに

公園の木をどこに植えるか、どんな道なら車いすでも通りやすいかを考える仕事です。地面の高さや雨の水の流れを調べて、植物と人が一緒に気持ちよく過ごせる場所をつくります。絵を描くだけでなく、土や木の性質も勉強します。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約625万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜少し上がる
収入
暑さ対策・雨水対策で複雑な設計への支出は増え得る一方、定型図面の自動化による価格競争と自治体の維持管理予算が賃金を抑える。実質の収入は横ばいを中心に、現地調整の専門性を持つ人との差が広がるとみる。
需要
国土交通省の戦略2030は緑と雨水機能を都市整備に取り入れる方向を示している。新設より既存公園の更新需要を中心に増える可能性があるが、人口減少地域では案件減少もあり得る。
人による差
人による差が広がる

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今の造園設計(ランドスケープデザイナー)の仕事

今
  • 敷地の踏査と高低差の確認現地で地形図と測量結果を照合し、斜面、既存樹木、日照や排水方向を把握する。
  • 植栽計画と樹種選定土壌、根の広がり、成長後の樹冠、維持管理費を踏まえて樹木と草花の種類・本数を決める。
  • 園路・広場・休憩施設の配置設計歩行者と車いすの動線、木陰、舗装の滑りやすさを検討し、利用しやすい空間を図面化する。
  • 雨水浸透・貯留の設計雨庭や透水性舗装の配置を検討し、敷地の浸水を抑える設備の設計条件を整理する。
  • 数量計算・設計図書の作成CADで平面図と詳細図を仕上げ、植栽数量・材料費・施工仕様・維持管理条件を見積書にまとめる。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 複数の植栽配置案の自動試作 確からしさ:高 日照、樹冠の大きさ、予算を与えて数案を描き比べる計算はソフトウェアに向く。ただし現地で育つかは別の確認が要る。

AIと協働

  • 雨庭の浸透能力の予測 確からしさ:中 雨量と地形の模擬計算は自動化できるが、土の透水試験や詰まりやすい場所の観察は現場で必要になる。
  • 園路の幅と利用者動線の検証 確からしさ:中 混雑の模擬計算に加え、ベビーカーや杖を使う人に現地を歩いてもらい、数字で表せない不便さを確かめる。

人が中心

  • 既存樹木の残し方の判断 確からしさ:高 根の状態や近隣の思い入れ、工事中の保護費用を見比べ、残す木を決める責任は設計者が担う。
  • 地域住民への設計案の説明 確からしさ:中 遊び場の広さと静けさの希望がぶつかる場面では、理由を示しながら合意できる案を考える必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、造園設計(ランドスケープデザイナー)の一日(架空)

真夏の午前六時、彩花は閉園中の小さな都市公園に入った。足元の舗装はまだ熱くない。数年前に植えた木が予想よりも大きく影を落としている一方、北側の雨庭は土が固くなり、雨水が地面へ染み込む速度が遅くなっていた。彩花は水を少し流し、浸透する時間を記録する。図面では正常に見えた場所の弱点が、目の前では分かる。

今日の仕事は、公園の改修計画を仕上げることだ。端末が提案した案では、日陰を増やすために古いケヤキを切り、成長の速い別の木を並べていた。確かに二十年後の木陰面積は広がる。しかし木の幹には子どもたちが卒業記念に測った印が残っている。彩花は植木職人に根の状態を調べてもらい、枝を整えながら残せる可能性を確かめた。

昼前、模型を持って近くの集会室へ。公園を横切って通学する子、歩行器を使う人、広場で体操する人が集まる。雨庭を広げると通路が狭くなると説明すると、車いすの利用者が曲がり角を指さした。彩花はその場で通路を広げた案を表示し、植える草の種類も踏まれて傷みにくいものへ替えると伝えた。

夕方、事務所で植栽数量表を修正する。残すケヤキの周りは土を掘らず、傷んだ雨庭だけ表土を入れ替える。完成予想図の美しさより、十年後も通りやすく管理できるかが設計の答えだ。彩花は翌朝の現地確認のため、新しい図面に一か所だけ赤い印をつけた。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約625万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「土木設計技術者」(職業別名に造園設計技術者を含む)に対応する職業分類の一般労働者。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag「土木設計技術者」の2025年全国年収625.0万円を円換算した。職業別名には造園設計技術者が含まれる。
  • 橋梁・道路などの土木設計技術者も含む統計であり、ランドスケープデザイナーだけの平均年収ではない。
  • 公園設計の民間事務所、自治体、総合建設コンサルタントでは給与体系が異なる。
  • 独立設計者の売上・外注費・事業所得を表す数字ではなく、経験や地域によっても差がある。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 猛暑に対応する緑陰の設計上がる方向

    暑い町でも涼しく歩ける木陰づくりが求められます。

    大人向けの詳しい説明

    樹木の成長と歩行空間を同時に設計する仕事は、単なる図面制作より現地知識を要する。

  • 雨庭・透水性舗装への投資上がる方向

    強い雨の水を地面にしみ込ませる公園づくりが広がるかもしれません。

    大人向けの詳しい説明

    国土交通省のグリーンインフラ推進戦略2030が方向性を示すが、実装は自治体の資金と維持管理体制に左右される。

  • 植栽図面と数量計算の自動作成下がる方向

    木や道の配置図をつくる作業の一部は機械が手伝えるようになります。

    大人向けの詳しい説明

    標準図面の単価下落は、個人事務所や経験の浅い設計者の収入を押し下げ得る。

  • 自治体の更新費と管理人材どちらにも動きうる

    公園を直すお金や木を世話する人が少ない町では、計画が難しくなります。

    大人向けの詳しい説明

    過疎化した地域では新設の需要が減る反面、既存公園の再設計と維持管理の効率化が課題となる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 街の暑さ対策と雨水対策が定着

    条件公園と道路の更新で木陰、雨庭、透水性舗装を組み込む発注が続く。

    起きそうなこと現地設計と維持管理の経験を持つ人は仕事が広がるが、行政の予算で賃金上昇には限度がある。

  2. 設計案の作成が広く自動化

    条件植栽案と図面数量の自動作成が一般化し、標準的な図面の単価が下がる。

    起きそうなこと若手の図面制作だけの仕事は縮む一方、樹木診断と住民協議ができる設計者に案件が集まる。

  3. 地方の公園更新が後回し

    条件人口減少と自治体財政の制約で整備費や管理費が減らされる。

    起きそうなこと新設公園の設計依頼は減り、既存樹木の保全と少ない予算での更新が中心になる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

国土交通省のグリーンインフラ推進戦略2030は、自然の機能を都市づくりに使う取り組みを進めている。夏の暑さを和らげる木陰、雨水をためて地面に戻す雨庭、歩きやすい園路など、既存の街を作り直す設計の需要は増え得る。

ただし人口が減る地域では公園の新設より集約や縮小が進む可能性もある。土地を測る、樹木を診る、地域の人と使い方を決める仕事は残るが、定型の図面制作の人数は減るとみる。全国一律の増加ではなく、都市更新と環境対策の案件が中心となる。

働き方

造園設計事務所、建設コンサルタント、総合建設会社の設計部門、自治体の公園・緑地担当などで働く。事務所で図面や数量表をつくる日と、現場で樹木・地形・排水を調べる日がある。施工そのものは造園工や土木施工会社が担うことが多い。

工事の前には利用者説明会を開くこともあり、夕方や休日に地域住民と会う場合がある。都市部では暑さ対策を含む再整備案件が増えても、地方では一人で広い区域を担当することがあり、仕事量と待遇には地域差が残る。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 大学・高専・専門学校などで造園と土木を学ぶ造園学、緑地環境学、環境デザイン、土木工学などで植物・測量・設計製図・水循環を学び、現地実習を行う。
  2. 設計事務所や建設コンサルタントで実務を学ぶ入職時に一律に必須の資格はないが、造園設計の図面、積算、植栽管理、発注者との協議を現場で学ぶ。
  3. 実務に応じた国家資格を目指す一定の学歴・実務経験等の条件を満たした上で、技術士(建設部門)や造園施工管理技士など業務に関連する資格取得を検討する。設計者全員に必須ではない。

今から伸ばしたい力

  • 地形図と測量の数値を読み、園路の勾配を確かめる力
  • 樹木の根・樹冠・日照条件から植栽を選ぶ知識
  • 雨庭や浸透施設の水の流れを現地で検証する力
  • CAD図面と植栽数量表・施工仕様を正確に作る力
  • 子どもや高齢者など利用者の異なる要望を図面に反映する力

出典と前提

最終確認日
2026年11月1日

出典

予測の前提

  • 都市部では熱環境と雨水対策を組み込む公園更新が続く。
  • 植栽案の自動作成が進んでも樹木の現地診断と利用者協議は必要とされる。
  • 新設・改修への投資は自治体ごとの財政と人口動向に左右される。

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