生活サービス

家事代行スタッフ

かじだいこうすたっふ

利用者の自宅を訪問し、契約した範囲で掃除、洗濯、食事の準備、買い物などを代わりに行う。家ごとに違う生活習慣や道具を理解し、物の扱いと衛生に気を配りながら、限られた訪問時間で家事を進める仕事だ。

男性の家事代行スタッフが、家庭のテーブルで洗濯済みのタオルを丁寧にたたみ、積み重ねて片づけている。
ほかの職業とくらべる

はじめに

家に行って、そうじ、せんたく、料理の下ごしらえなどを手伝う仕事です。何をしてほしいかを最初に聞き、使ってよい道具やさわってはいけない物も確かめます。同じそうじでも、赤ちゃんがいる家と高齢の人が暮らす家では気をつけることが違います。暮らしを楽にするために、手早さとていねいさの両方が必要です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約403万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
訪問型の家事需要は増える余地があるが、価格を払える家庭の数、移動費、会社とスタッフの取り分が実質賃金を制約する。専門的な家事技術と信用を評価する契約が広がれば上振れしうる。
需要
家事支援の利用拡大を後押しする共働き・高齢世帯の事情がある一方、住宅設備の自動化や地域の人口減少が標準的な訪問需要を押し下げうる。
人による差
人による差が広がる

ほかの職業の見通しを見る

今の家事代行スタッフの仕事

今
  • 訪問前の家事範囲の確認浴室掃除、調理、洗濯物の収納など依頼の範囲と、使用禁止の洗剤・立入禁止の部屋を確かめる。
  • 水回りと居室の清掃浴室の水あか、台所の油汚れ、床のほこりを素材に応じた用具で落とし、洗剤の混合を避ける。
  • 洗濯と衣類の仕分け洗濯表示を見て色移りや縮みを防ぎ、干し方や収納場所を利用者の決まりに合わせる。
  • 食材の下ごしらえ・作り置きアレルギーや保存方法を確認して野菜の切り分けや加熱調理をし、冷蔵庫に入れる期限を伝える。
  • 買い物・作業報告指定された予算で日用品を買い、購入品、残金、破損や備品不足などを記録して報告する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 訪問予約と家事順序の提案 確からしさ:高 利用者が希望する時間帯、作業項目、過去の所要時間を組み合わせる計画は情報処理に向いている。ただし実際の汚れ方に応じて現場で順序を変える。

AIと協働

  • 洗濯物の分類と収納 確からしさ:中 衣類の識別や洗濯機への指示は機器で支援できるが、傷みやすい生地と家ごとの収納の決まりは訪問者が確かめる。
  • 食材とアレルギーに応じた調理 確からしさ:中 献立と買い物量の提案は自動化しやすいが、調理器具の衛生、実物の傷み、家庭で避ける食材の最終確認が欠かせない。

人が中心

  • 狭い水回りの洗浄 確からしさ:中 床を走る清掃機とは異なり、蛇口の裏、目地、浴室の段差などは家ごとに形が違い、洗剤選びや破損防止が必要になる。
  • 私物の扱いと家事範囲の相談 確からしさ:高 家の鍵、思い出の品、頼まれていない片付けには信頼と合意が必要で、訪問者が勝手に判断してはならない。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、家事代行スタッフの一日(架空)

玄関の前で、34歳の家事代行スタッフ・修司は靴下を履き替えた。今日は週に一度訪ねる二人暮らしの家。スマートフォンには『浴室、寝具交換、野菜の下ごしらえ』と依頼が並ぶ。電子錠の入室許可が届いても、家族の写真が置かれた棚には手を触れない。最初に確認したのは洗面台の天板だ。前回、強い洗剤を使わないよう頼まれている。

浴室では小型の清掃機が床の広い部分を洗う間、修司が蛇口の根元と排水口のふたを外して磨く。機械が濡れたマットを巻き込まないよう持ち上げると、足元の水が思ったより冷たい。次は寝具。画面の収納案内は『右側の引き出し』だが、来客用のシーツしか見つからない。勝手に別の棚を開けず、依頼者に確認の短いメッセージを送る。

台所には、買い置きの豆腐と青菜がある。提案された献立は便利だが、冷蔵庫の開封日が分からない豆腐は使わない。修司は保存容器のラベルを見直し、家族が避けている食材をもう一度照合する。作り置きは加熱して冷まし、食べる目安を記した。午後の予定まで時間が残っても、依頼のない机の書類は整理しない。

退室前、修司は清掃した場所と使わなかった食材を写真ではなく文字で報告した。生活の細かな事情が写る写真は、必要なときだけ許可を得る。帰りの電車で明日の訪問先の作業内容を確認する。家事を早く終わらせる道具は増えた。それでも『ここまでは任せたい、ここからは触れないで』という境界を守ることが、修司の仕事を支えている。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約403万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag『家政婦(夫)』に対応する『家政婦(夫)、家事手伝い』等の職業分類の雇用労働者。家事代行サービス会社のスタッフだけを抽出した集計ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag『家政婦(夫)』の2025年全国年収402.7万円を円に換算した。家事代行スタッフ専用の平均年収ではない。
  • 家政婦(夫)には家庭と直接契約する働き方がある一方、家事代行会社の雇用スタッフもおり、雇用主体と労働条件が一様ではない。
  • 時間単位・週数回の勤務やパートタイムの人も多いが、年収の数字は短時間勤務の人すべての典型的な年収を表していない。job tagには別指標として2025年度の求人賃金月額23.8万円が載っている。
  • 個人事業者の売上と、交通費・保険料などの経費を差し引いた所得は異なる。都市部と地方、契約範囲、移動時間による差も大きい。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 単身・高齢世帯と共働き世帯の家事需要上がる方向

    家の仕事を手伝ってほしい人が増えると、訪問する仕事も増えます。

    大人向けの詳しい説明

    世帯の小規模化や就労との両立により外部サービスを使う理由が生まれるが、実際の契約数は利用料金と地域の供給に左右される。

  • 住宅の清掃・洗濯設備の自動化下がる方向

    機械がそうじをしてくれる家が増えると、頼まれる作業が変わります。

    大人向けの詳しい説明

    床掃除や洗濯の反復工程は省力化されうる一方、水回りの細部や家ごとの作業制約まで一律に代替できるとは限らない。

  • 訪問距離と交通費どちらにも動きうる

    家と家が遠いと移動の時間が増え、働ける時間が減ります。

    大人向けの詳しい説明

    サービス料金とスタッフ賃金の間には移動・保険・管理費がある。住宅密集地と地方では一日の訪問可能件数が異なる。

  • 家の鍵と私物を預かる信用上がる方向

    安心して家を任せてもらえる人の仕事は大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    第三者認証が安全・品質・接遇を評価していることは、私宅訪問型サービスの信用と価格形成の難しさを示す。信用が賃金に分配されるかは契約による。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 高齢世帯と共働き家庭の利用が広がる

    条件家事支援を定期利用する家庭が増え、移動時間を抑えた訪問ルートと品質管理が整う。

    起きそうなこと訪問時間を安定的に確保でき、信頼されるスタッフの実質収入が維持・上昇する余地がある。

  2. 家事ロボットが標準作業を引き受ける

    条件床掃除や洗濯物の整理が住宅設備として普及し、利用者が訪問を減らす。

    起きそうなこと単純な清掃だけを請け負う人の仕事量は減り、特殊な家事や訪問型の見守りを担う人との収入差が広がる。

  3. 需要があっても人件費へ回りにくい

    条件顧客の家計が厳しく、事業者間の値下げ競争とスタッフの移動費負担が続く。

    起きそうなこと利用者数が増えても時給や年間の働ける時間は伸びず、実質収入は低下しうる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

高齢者の一人暮らしや共働き家庭では、掃除・調理を定期的に外へ頼む需要が増える可能性がある。鍵を預かり、家ごとの生活習慣に合わせて作業するサービスは、道具だけでは置き換えにくい。

ただし、需要が増える地域は一様ではない。人口の少ない地域では移動費が高く、都市部では事業者間の競争が強い。家事ロボットが普及して定型掃除の訪問回数が減る場合もあるため、全体の人手需要は小幅増を中心に幅を持たせる。

働き方

家事代行会社の雇用スタッフ、パート勤務、個人で受託する人、家政婦紹介所を通して家庭と直接契約する人がいる。利用者の自宅を複数軒訪ねる働き方では、掃除時間とは別に移動、道具の準備、訪問記録が発生する。朝夕や土日の依頼が多い地域もある。

家庭と直接雇用契約を結ぶ家事使用人には一般的な企業雇用と異なる労働法上の扱いがあり、2024年に厚生労働省が雇用ガイドラインを公表した。家事支援会社の従業員と制度を混同せず、契約先、補償、作業範囲、緊急時の連絡方法を確認して働く必要がある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校などで家庭科・衛生と生活管理の基礎を学ぶ必須の学校・国家資格はない。調理の衛生、洗剤の安全な使い方、衣類の扱いを普段の生活や実習で学べる。
  2. 家事代行会社・家政婦紹介所などで現場に入る企業研修や同行訪問で作業範囲の聞き取り、清掃手順、利用者の私物の扱いを学ぶ。家庭との直接契約と会社雇用では労働条件が異なる。
  3. 家政士検定試験や専門研修で技術を磨く家政士検定試験は厚生労働大臣認定の制度としてjob tagに掲載されているが、家事代行の必須国家資格ではない。整理収納や衛生の研修も仕事の幅に応じて選ぶ。

今から伸ばしたい力

  • 素材に合わせて洗剤と用具を選び、浴室やキッチンを傷つけずに清掃する力
  • 食品の温度管理やアレルギーを確認し、作り置きを安全に仕上げる力
  • 洗濯表示と衣類の傷みを読み、適切に洗う・干す・しまう力
  • 家の鍵、書類、写真などの私物を守り、契約範囲を越えない判断力
  • 作業の優先順位と移動時間を見積もり、訪問先ごとに正確に報告する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 2050年も住宅の間取りと家族の生活習慣は多様で、すべての家事を無人設備に任せられるとは限らない。
  • 共働きと高齢者の家事外部化は進みうるが、利用料金を払える世帯の割合には地域差が残る。
  • 家事支援の規制や雇用制度の将来改正は未確定であり、現在の制度がそのまま残るとは仮定しない。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。