生活サービス

清掃員

せいそういん

建物の床、トイレ、階段、窓などを清掃し、ごみを回収して衛生的な状態に保つ仕事。場所に合わせてモップ、洗浄機、洗剤を使い分け、汚れの原因や床材の性質を見ながら日常清掃と定期清掃を行う。

女性の清掃員が、手袋を着けてスプレーボトルとクロスを持ち、建物のガラス面を丁寧に拭き掃除している。
ほかの職業とくらべる

はじめに

学校やビル、駅などをきれいに保つため、床をふいたり、ごみを集めたり、トイレを掃除したりする仕事です。場所によって道具や洗剤を使い分け、滑りやすい床には注意を知らせます。機械が入りにくい場所や、細かい汚れも見つけてきれいにします。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約297万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
委託価格を抑える競争で賃金上昇は難しい一方、労働力不足や専門清掃技能への評価が賃金を支える可能性もある。床洗浄の省力化による利益が従業員の給料に配分されるとは限らず、実質では横ばいを中心とする。
需要
建物の衛生維持は必要だが、床洗浄ロボットの導入と人口減少によるオフィス縮小が反対方向に働く。高齢者向け施設での清拭や複雑な現場作業が残り、地域ごとの建物需要により幅がある。
人による差
人による差が広がる

ほかの職業の見通しを見る

今の清掃員の仕事

今
  • 床の除じんと水拭きモップや床用洗浄機で砂やほこりを除き、床材に適した方法で汚れを落として乾燥と滑りやすさを確認する。
  • トイレの衛生清掃便器、洗面台、取っ手などを場所ごとの清掃用具で洗浄し、消耗品を補充して衛生状態を保つ。
  • ごみ回収と分別事務室や共用部のごみ箱を回収し、契約先の区分に従って資源物・可燃ごみ等を分けて集積する。
  • 定期的な床洗浄・ワックス管理自動床洗浄機やポリッシャーを使って床の汚れを落とし、必要に応じて床材に合う保護剤を扱う。
  • 清掃区域と安全表示の確認人の通行を妨げないよう作業区域を区切り、濡れた床の注意表示、用具の片付け、異常箇所の報告を行う。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 広い通路の定期走行清掃 確からしさ:高 位置情報と障害物検知を用いる床洗浄ロボットは平坦で広い通路を繰り返し走行しやすい。ただし通行者が多い時間帯の運行管理は必要になる。

AIと協働

  • 清掃頻度の計画と記録 確からしさ:中 人流や使用状況のデータで清掃場所を推薦できるが、季節の砂ぼこりや行事後の汚れは現場確認と組み合わせる。
  • 床材別の薬剤・洗浄方法の選択 確からしさ:高 材料データから使える洗剤を検索できても、目立たない場所での試験や変色の有無の確認は管理責任が伴う。

人が中心

  • トイレの狭い場所の清拭 確からしさ:中 段差、配管の裏、細かな接触面を衛生上適切に拭く仕事は形が複雑で、機械化の費用対効果が場所ごとに変わる。
  • 通行中の安全確保と作業区域変更 確からしさ:高 清掃中に高齢者や子どもが通る場合、滑りやすい箇所を示し、作業時間や動線を変える現場判断が必要だ。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、清掃員の一日(架空)

まだ開館前の市民図書館。二十代の清掃員・優奈が玄関の床を見下ろすと、前日の工作教室で使われた色紙の切れ端と、乾いたのりの跡が残っていた。巡回する床洗浄ロボットは広い通路のほこりを回収したが、展示台の脚の近くで止まり、小さな汚れをそのままにしていた。優奈は清掃区域を区切り、床の材質を管理表で確かめた。

まずヘラで無理に削らず、目立たない端で洗剤を薄めて試す。床を傷めないと分かってから、布を当てて少しずつのりを緩めていった。ロボットの走行記録を見ると、午後の利用者が多い時間には自動清掃を控える設定になっていた。優奈は机の下を先に手作業で拭き、ロボットには人の少ない廊下を担当させる。

開館が近づき、入口には新聞を読む常連客が集まり始めた。優奈は濡れた部分へ注意札を置き、通りたい人には乾いた側の道を案内した。そのあとトイレへ移り、清掃用のクロスを色で使い分け、手すりと洗面台を別々に拭く。洗剤の補充記録と使用した道具は端末で照合するが、臭いが残る場所や部品のぐらつきは自分の目で確認した。

作業が終わるころ、工作教室の担当者が来て、次の展示準備の時間を尋ねた。優奈は床が乾いていることを確かめ、展示台を置ける位置を伝えた。清掃報告には、ロボットが入りにくい展示台の下を日常清掃の対象へ加えるよう書き添える。人の行き来が始まる前に気持ちよく使える場所をつくれたことが、朝の手応えだった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約297万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag『ビル清掃』が属する『ビル・建物清掃員』等の雇用労働者。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 職種リストで挙げられた複数の清掃職のうち、建物清掃を代表としてjob tag『ビル清掃』の2025年全国年収297.4万円を採用した。
  • 家庭のハウスクリーニングや鉄道車両清掃だけを測った平均ではない。対象や勤務時間が異なるため清掃員全員の年収とは言えない。
  • job tagは短時間勤務が多い職場と説明しており、短時間で働く人の年収とフルタイム雇用者の年収を混同しない。
  • 建物の規模、夜間・早朝勤務、責任者業務、請負会社との契約単価によって給与が変わる。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 自動床洗浄機の普及どちらにも動きうる

    広い床は機械が掃除できますが、細かい場所には人の手が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    反復作業の省力化で必要人数は減り得る一方、機械保守・薬剤選択・品質点検の業務が増える可能性がある。

  • 建物の衛生と高齢者の利用上がる方向

    たくさんの人が使う建物では、手すりやトイレを清潔に保つ人が欠かせません。

    大人向けの詳しい説明

    共用部の感染対策や滑りやすい床の管理は、利用者の年齢や建物用途に合わせた作業品質が問われる。

  • 委託契約の単価競争下がる方向

    掃除の仕事があっても、安い契約ばかりだと給料は上がりにくくなります。

    大人向けの詳しい説明

    発注価格、最低賃金、移動時間の扱い、機器購入費が会社の利益と雇用者賃金を左右する。

  • 床材別の専門洗浄と技能検定上がる方向

    床に合った洗剤や機械を選べる人は、専門的な仕事を任されやすくなります。

    大人向けの詳しい説明

    ビルクリーニング技能士などの技能と実務経験を評価する発注が増えれば、定期清掃や現場管理の担当に付加価値が生まれる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 清掃ロボットと役割を分ける

    条件広い床の機械清掃が増え、人がトイレ衛生、狭い場所、薬剤管理と検品を担当する。

    起きそうなこと人の作業時間は変わるが、省人化による利益が賃金に回るかは委託契約と雇用条件次第である。

  2. 建物の衛生基準への関心が高まる

    条件高齢者利用施設や人が集まる建物で清潔さの確認、手すりの清拭、汚れの記録が重視される。

    起きそうなこと技能を示せる清掃員や現場責任者の役割は増える可能性があるが、日常清掃と待遇に格差が残り得る。

  3. 低価格の委託競争が続く

    条件発注者が契約単価の低さを優先し、機械導入の費用や消耗品価格の上昇を清掃会社が負担する。

    起きそうなこと必要な仕事があっても人件費を抑える圧力が強く、実質収入の低下や短時間化につながり得る。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

床やトイレ、共用部の清潔さを維持する仕事は、建物が使われる限り必要になる。job tagではビル清掃の業務を床・窓・トイレの清掃とごみ回収などに分けており、短時間勤務が多い職場と説明されている。高齢者の利用する施設では衛生管理や滑りやすい場所への配慮も求められる。

2050年には広い床の清掃や作業記録が自動化される一方、階段・トイレ・展示物の周りといった狭い場所の作業は残る。人口減少でオフィス需要が縮む地域もあり、建物数だけでは仕事量を読めない。必要な清掃時間と働く人数の両方が変わるため、総需要は横ばいを中心に、地域差を大きく見込む。

働き方

ビル管理会社や清掃専門会社に雇われ、契約先のオフィス、学校、病院、商業施設などで働く。床のモップ掛けやごみ回収は日常清掃として決まった時間に行い、床洗浄・ワックス管理は定期的にまとめて行うことが多い。

建物の営業時間外の早朝・夜間勤務もあり、パートや短時間の勤務形態が多い。清掃員は建物によって複数の現場を移動する場合がある。将来はロボットの巡回計画を含む現場管理も増え得るが、機械の費用を負担する会社と働く人の賃金は別に考える必要がある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 清掃会社で基本作業を学ぶビル清掃員として働くための全国共通の必須免許はない。採用後、モップ・洗剤の種類、汚れの落とし方、感染防止と作業区域の安全表示を現場で学ぶ。
  2. 定期清掃の機器と床材を習得するポリッシャーや自動床洗浄機、床材に合った洗剤を指導者のもとで扱い、日常清掃に加えて床洗浄・ワックス管理の技能を身につける。
  3. ビルクリーニング技能士を目指す国家技能検定のビルクリーニング技能士には1級・2級・3級などの区分があり、学科・実技等の試験や級別の受検条件を確認して受検する。資格取得は入職の必須条件ではない。

今から伸ばしたい力

  • モップ・ポリッシャー・自動床洗浄機を適切に扱う技能
  • 床材ごとに洗剤・水量・清掃方法を選ぶ知識
  • トイレと共用部で用具を使い分ける衛生管理
  • 人の通路を確保し濡れた床の危険を知らせる力
  • 清掃品質と設備の不具合を点検し報告する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

  • ビル清掃|職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年10月31日取得 日常清掃、短時間雇用の特徴、2025年全国年収297.4万円と対象職業分類を確認
  • ビルクリーニング技能士(全国ビルメンテナンス協会)、2026年10月31日取得 ビルクリーニング技能検定の試験実施と級別の受検案内を確認

予測の前提

  • 2050年も人が利用する建物で衛生清掃と床の安全確認が求められる。
  • 清掃ロボットは広い平坦な場所に普及する一方、複雑な設備の間の清拭では現場作業が残る。
  • 人口構造、建物利用、清掃会社の委託契約と機械導入費用は地域と施設ごとに異なる。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。