食・農

林業従事者

りんぎょうじゅうじしゃ

山林で苗木を植え、下草を刈り、木の成長に応じて間伐や伐採を行う仕事。チェーンソーや高性能林業機械を使い、斜面・土壌・樹木の状態を見ながら森林の手入れと木材の搬出を担う。

女性の林業従事者が、ヘルメットと手袋を着け、立木に巻いた直径測定用のテープを確認して調査をしている。
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はじめに

森に木を植え、育ちすぎた木を間引き、大きくなった木を切って運び出す仕事です。木が倒れる向きや山の斜面を確かめ、チェーンソーや大きな機械を安全に使います。木材を届けるだけでなく、次の世代も森を利用できるよう、苗木や土の様子を見て手入れします。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約361万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し上がる幅:少し下がる〜上がる
収入
技能者の高齢化と急傾斜地の安全管理を担える人材不足は賃金を押し上げ得る。一方、伐採の機械化で浮く費用は設備投資や再造林に充てられ、丸太価格が弱ければ労働者に還元されないため、小幅上昇を中心に幅を持たせた。
需要
造林と森林整備の継続、担い手不足は現場の求人を支える。一方、林業機械と経営集約は必要人数を減らし得るため、全国の総需要は横ばいを中心とし、地域差を大きく見込む。
人による差
人による差が広がる

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今の林業従事者の仕事

今
  • 植林と苗木の配置伐採後の林地にスギやヒノキなどの苗木を植え、斜面の水の流れや苗木同士の間隔を確認する。
  • 下刈りとつる切り若い木に日光が当たるよう周囲の草やつるを除き、苗木を傷つけないよう刈払機などを扱う。
  • 間伐と立木の選木森林の込み具合や木の曲がりを見て残す木と切る木を決め、倒す方向や退避場所を確認する。
  • チェーンソーによる伐木斜面の足場と周囲の作業者を確かめて受け口・追い口を切り、安全な方向へ立木を倒す。
  • 造材・集材と木材搬出伐採木の枝払いと長さをそろえた玉切りを行い、集材機や林業用車両で土場へ運ぶ。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 航空測量による間伐候補の抽出 確からしさ:高 樹冠の高さや木の混み具合の地図化はドローン・航空レーザーと自動分析に向いている。ただし境界と倒木の危険は現場で確かめる。
  • ハーベスタによる枝払い・玉切り 確からしさ:中 機械の届く地形では寸法計測と切断を自動化しやすいが、急傾斜地や不安定な地盤での広域普及は費用と安全条件に左右される。

AIと協働

  • 伐採木の選定と作業路の計画 確からしさ:中 地形と木材価格から機械が候補を示せても、ぬかるみや沢の保全、林地の所有者との調整は現場判断が欠かせない。
  • 苗木の生育確認と再植林 確からしさ:中 画像で枯れた苗木を見つけても、獣害、土の乾燥、下草の状態を確かめて補植する現地作業が残る。

人が中心

  • 急傾斜地での伐倒の安全判断 確からしさ:高 木の傾き、風、周辺の作業者、退避場所を合わせて判断する必要があり、機械の提案だけで伐倒を始めることは想定しない。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、林業従事者の一日(架空)

山の朝は谷から先に明るくなる。四十代の真理が小型の測量機を開くと、今日の間伐区画が斜面の地図に重なった。赤い印は倒す候補の木、青い線は木材を運び出す作業路だ。前夜の雨で沢沿いの地面が緩んでいる。地図では通れるはずの近道を、真理は仲間と歩いて確かめることにした。

現場に着くと、一番太いスギの根元に土のひびが見つかった。木の傾きを映す画面は問題なしと示しているが、真理は足元の盛り上がりと風の向きが気になった。伐倒予定をいったん取り消し、作業者全員が集まって退避方向と順番を変更する。「切るかどうかを決める前に、近づけるかを決める」。新人はその言葉を手帳に書いた。

昼には、道の広い区画でハーベスタが枝を落とし、丸太を決めた長さに切っている。機械の記録から市場向けの材積はすぐ分かる。それでも真理は、近くの若木が傷ついていないか確認し、細い沢へ土砂が流れないよう集材ルートを少し曲げる。丸太を一台多く運べる案より、次の雨でも道が崩れにくい案を選んだ。

作業を終える前に、一年前に植えた苗木の区画を見に寄った。鹿よけの柵のそばで、一列だけ葉の色が薄い。記録用の写真を撮り、補植の候補として地図に残した。今日売れる木と、数十年先に育つ木。その両方を見ながら働くのが林業なのだと、真理はヘルメットを外すときに思う。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約361万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「林業作業」に対応する育林作業員などの職業分類の雇用労働者。林業従事者全員の平均ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 全国年収360.8万円はjob tagの「林業作業」掲載値であり、伐採・造林のあらゆる仕事内容を分けた専用の平均ではない。
  • 林業会社に雇用される人を中心とした賃金の指標で、山林所有者の木材売上や個人事業の利益ではない。
  • 山の地形、作業経験、保有資格、勤務日数、働く都道府県や会社規模で給与が異なる。
  • 求人賃金の月額と既存労働者の年収は別の統計であり、単純に12倍して比較しない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 森林の手入れと再造林への発注上がる方向

    森の木を切るだけでなく、次の木を植える仕事にも人手が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    収穫後の再造林、下刈り、獣害対策の継続的な発注が仕事量を支えるが、所有者や公的事業の予算制約を受ける。

  • 林業機械が入れる地形と路網どちらにも動きうる

    道がある場所では大きな機械が働けますが、急な斜面には入りにくいです。

    大人向けの詳しい説明

    高性能林業機械は素材生産の効率を上げる一方、地形、機械価格、道路整備費が普及を左右する。

  • 伐木作業の安全と技能検定上がる方向

    木の倒れ方を見極める技術や、安全に働く力が大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    林業技能検定は2024年に創設された国家検定。技能の可視化と労働安全対策は専門人材の育成と待遇交渉の材料となり得る。

  • 丸太価格と木材輸入の競争どちらにも動きうる

    木の売れる値段が変わると、森で働く人に払えるお金も変わります。

    大人向けの詳しい説明

    国産材の需要と輸入材価格、運搬費により採算が変わる。森林を整備する社会的必要性と事業者の支払能力を同一視しない。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 森林整備の継続受注と技能者不足

    条件所有者との集約契約と再造林費用の確保が進み、斜面で働ける熟練者が不足する。

    起きそうなこと伐木の安全管理や機械操作の技能を持つ人の待遇が改善する余地がある。ただし国・自治体の支援と木材の取引価格にも左右される。

  2. 高性能林業機械が使える山が増える

    条件道路網の整備と機械の更新費用を賄える事業体で、集材と造材の自動化が進む。

    起きそうなこと単位材積当たりの作業時間は短くなるが、利益が人件費より設備償却や木材価格の引下げに使われる可能性もある。

  3. 急傾斜地と伐採後の再造林費が重い

    条件木材価格が弱く、植林・獣害対策・路網補修への費用を十分に回収できない。

    起きそうなこと仕事が必要でも事業者の採算が厳しく、地域ごとの給与と受注の差が広がり得る。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

植林、下刈り、間伐、木材搬出は、森林を利用し続けるために必要な仕事だ。林野庁は林業従事者の高齢化と担い手確保を課題として扱い、林業技能検定の創設や安全対策を進めている。技能者の供給が細る地域では、求人の必要性が高まる可能性がある。

一方、平らな地形では高性能林業機械による集材・造材が進み、一つの作業に必要な人数が減る可能性もある。地域ごとの森林所有、作業道、再造林の予算と木材販売の採算が異なるため、全国の需要は横ばいを中心とし、担い手不足と雇用の伸び悩みが併存すると予測する。

働き方

森林組合や林業会社、造林・伐採を請け負う事業者に入り、山間部の現場に移動して働く。若木を育てる班と木材を伐採・搬出する班に分かれることがあり、早朝に出発し日が落ちる前に現場作業を終えることが多い。天候や積雪で予定が変わる。

チェーンソーの音、防護服、斜面での足場、機械との距離など、体力だけでなく安全手順が欠かせない。仕事先が遠い地域では通勤時間も長く、技能を重ねて班長や機械オペレーター、森林施業の計画担当へ進む道もある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校や林業系の学校で森林の基礎を学ぶ農林高校や森林・林業の専門校で樹木、植林、測量、伐採の安全を学べる。就業に一律の大学卒業資格は必要なく、未経験者を採用する事業者もある。
  2. 森林組合・林業会社で安全教育と実技を受ける現場で下刈りや造林から経験を積み、伐木等の業務で必要なチェーンソー特別教育など、担当作業に応じた法定の安全教育を受ける。
  3. 林業技能検定や現場責任者研修で専門性を高める2024年創設の林業技能検定には実技・学科試験がある。経験を重ねて林業技能士を目指すほか、林野庁の現場管理責任者研修などで安全管理を学ぶ。

今から伸ばしたい力

  • 立木の傾き・枝の重さ・風向きから倒れる方向を読む力
  • 斜面の地盤と退避場所を確かめて伐木の段取りを作る力
  • 苗木の成長と獣害・下草の状態を見分ける力
  • ハーベスタや集材機の能力と作業路の制約を理解する力
  • 木材の長さや径と作業コストを照らして造材を判断する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

  • 林業作業|職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年10月31日取得 植林・下刈り・伐倒と搬出の仕事内容、現場の働き方、2025年の全国年収360.8万円を確認
  • 林業技能検定(林野庁)、2026年10月31日取得 2024年創設の林業技能検定、実技・学科による国家検定制度を確認
  • 林業労働安全衛生対策の推進(林野庁)、2026年10月31日取得 森林現場の労働安全課題と現場管理責任者研修を確認
  • 林業労働力の動向(林野庁)、2026年10月31日取得 林業就業者の高齢化と新規就業者の確保に関する背景を確認

予測の前提

  • 2050年にも造林・間伐と木材利用が続き、森林の更新費用が一定程度確保される。
  • 機械化は地形と路網の条件によって進み方が異なり、急傾斜地まで一斉に無人化されない。
  • 林業従事者数と木材価格は地域ごとの差が大きく、全国一律の採算改善を置かない。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。