家電修理
かでんしゅうり
洗濯機や冷蔵庫、エアコンなどの故障の原因を調べ、部品交換や調整で使える状態に戻す仕事。販売店の修理窓口やメーカーのサービス部門で働き、家庭を訪ねて診断することもある。

はじめに
冷蔵庫が冷えない、洗濯機が動かない、そんなときに直しに来る人です。電気の流れを測る道具や、故障を調べる画面を使って、どこが悪いかを探します。必要な部品を取りかえ、ちゃんと動くことを確かめます。家に来て修理することもあります。
2050年の見通し
2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。
- 収入
- 難しい修理の対面技能には価値が残るが、訪問費と部品費を利用者へ転嫁しにくく、遠隔診断による省力化の利益が賃金に回るとは限らない。
- 需要
- 生活家電の故障対応は残るが、新品との価格差と遠隔診断が作業量を減らす可能性がある。長く使える製品の普及状況で増減が分かれる。
- 人による差
- 人による差が広がる
今の家電修理の仕事
- 症状の聞き取りと故障履歴の照合冷えない、脱水が止まるなどの現象と発生時刻を聞き、製品の自己診断表示や修理履歴と突き合わせる。
- テスターによる電源・回路測定安全に電源を遮断し、テスターや必要に応じた測定器で配線と電子回路を調べて故障箇所を絞る。
- 家電部品の交換と組付け機種に合ったポンプ、センサー、基板などを交換し、配線やねじの固定を確認して組み戻す。
- 試運転と漏水・動作確認洗濯機なら給排水、冷蔵庫なら庫内温度などを測り、修理後の状態を使用者と一緒に確認する。
- 修理履歴と製品不具合の報告使用した部品番号や症状を記録し、繰り返し発生する不具合をメーカーの品質部門へ知らせる。
2050年、仕事はどう分担される?
業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。
AI・ロボットが中心
- エラー履歴の一次診断 確からしさ:高 通信できる家電の自己診断データと既知の故障例を照合する処理は自動化しやすい。ただし記録に残らない物理的な不具合は別だ。
AIと協働
- 交換部品の適合確認 確からしさ:高 型番と製造時期から候補を探す作業は機械が助けられるが、現物の仕様変更や接続状態は修理担当者が確かめる。
- 試運転時の異音・漏水確認 確からしさ:中 センサーは変化を見つけられるが、家具の振動や排水経路の状態を現場で確かめる作業が必要だ。
人が中心
- 家庭内での分解・再組立 確からしさ:中 狭い台所や洗濯機置き場では製品の設置状況が一軒ごとに違い、汎用ロボットの導入費もかかる。
- 修理か買替えかの費用説明 確からしさ:高 部品費、設置費、家族の使い方を聞き、利用者が納得する選択を支える役割が残る。
2050年の一日
2050年、家電修理の一日(架空)
木曜日の午後二時、家電修理担当の由佳(四十代)は古い集合住宅の台所で、冷蔵庫の扉を静かに閉めた。住人が困っているのは『冷えたり冷えなかったりする』という症状だ。遠隔診断の履歴には温度センサーの異常候補が並ぶが、昨夜の停電による記録の途切れもあった。由佳は食品を別の保冷箱に移してもらい、コンセントを抜いてから作業に入る。
背面の通風口には細かなほこりが詰まり、放熱の妨げになっていた。清掃後、テスターで回路の電圧を確かめると、センサーの数値だけが時折大きく跳ねる。診断端末は基板の一式交換を勧めるが、製造年と部品番号を照合した由佳は、取り外せるセンサーだけの交換で済むと判断する。交換部品の費用と新品購入時の負担を紙に並べ、住人に選んでもらった。
作業後もすぐには帰らない。庫内の温度が安定して下がるのを確認し、扉のパッキンに隙間がないか薄い紙を挟んで試す。数年前の機種なので、通信機能の設定を初期化すると住人の保存した省エネ設定が消える可能性もある。修理対象以外の設定を変えなかったことを一緒に画面で確認し、交換した部品の番号と測定値を記録した。
夕方、作業車に戻った由佳は、同じ型の冷蔵庫で似た症状が報告されていることを知る。修理記録をメーカーの品質担当へ送り、センサーだけを交換できるようにした部品供給の効果も伝えた。今日は新品を売る仕事ではなく、今ある一台をもう少し使えるようにする仕事だった。次の予約は週末、洗濯機の排水不良の点検だ。
収入
平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。
今の年収
約571万円(年収・平均値)
- job tag家電修理の2025年全国年収571.2万円を円に換算した値で、家電修理だけの個別平均ではない。
- 電気機械器具の整備・修理を含む広い職業分類のため、メーカーのサービス担当と他機器の整備担当が混ざり得る。
- 訪問修理の出張手当や休日対応、勤務先メーカー・販売店・請負会社、経験で実際の収入は違う。
- 自営・個人請負の売上や部品代を引いた事業所得を示す統計ではない。
収入を動かすもの
AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。
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部品供給と修理可能な設計上がる方向
部品を取りかえやすい家電が増えると、直して使い続ける仕事が増えます。
大人向けの詳しい説明
メーカーが型番別の交換部品を長期間用意できるかが訪問修理の採算を左右し、修理しやすさを重視する製品選びも需要を支え得る。
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遠隔自己診断の高度化どちらにも動きうる
故障を調べる画面が賢くなり、直す人は部品交換や難しい故障に集中できます。
大人向けの詳しい説明
一次判定の工数は減るが、現場の漏水・振動・接触不良を確かめる物理作業は残る。
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買替え価格と訪問料金の差下がる方向
直すより買う方が安い家電では、修理を選ぶ人が少なくなります。
大人向けの詳しい説明
部品単価に加え訪問の移動時間が費用となるため、低価格帯製品では修理料金を転嫁しにくい。
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冷房・生活家電の地域差どちらにも動きうる
暑い地域や家電の古い家が多い地域では、修理の依頼が増えることがあります。
大人向けの詳しい説明
冷房需要は強まっても地域人口の減少で依頼件数が減る可能性があり、サービス拠点の距離が採算に影響する。
2050年の3つのシナリオ
未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。
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修理しやすい製品が普及
条件長く使える設計と交換部品の供給が広がり、家庭も修理を選びやすい。
起きそうなこと難しい故障を直せる訪問技能への注文が増え、経験者の単価が保たれやすい。
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買替えが主流のまま
条件新品の価格が低く、修理費と訪問料金が割高に感じられる。
起きそうなこと簡単な修理は減り、メーカーの拠点統合で地方の担当者の移動が長くなる。
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遠隔診断が先行
条件ネット接続した製品の故障原因を自動判定し、交換する部品を訪問前に配送できる。
起きそうなこと診断時間は短くなる一方、現地でしか直せない機構の不具合と利用者への説明が仕事の中心となる。
働き方と暮らし
人手は足りる? 余る?
洗濯機・冷蔵庫・家庭用エアコンは生活を支える製品で、故障してもすぐに搬出できない機器には訪問修理が必要になる。電子制御や通信機能の増加は診断の難しさを高め、部品を交換して使い続ける選択が広がれば、熟練者の仕事を支える。
一方で、安い製品は買替えの方が選ばれやすい。遠隔診断で修理の訪問回数が減るほか、人口の少ない地域は移動距離が長くなる。技術者の人数が全国で一律に増えるとは見ず、全体は横ばいを中心に、地域差を大きく想定する。
働き方
家電メーカーや販売会社のサービス部門、修理専門会社などで働く。大型家電は利用者の家へ車で訪ね、機種に応じた工具や交換部品を持ち運ぶ。工場や持ち込み修理窓口で小型製品を担当する人もいる。
利用者が在宅する土日を希望するため、休日出勤や交替勤務がある職場もある。遠隔診断で予定を組みやすくなる可能性はあるが、夏のエアコン故障など依頼が集中する季節には予定が詰まりやすい。雇用と個人請負では車両費や部品費の負担も異なる。
この仕事に近づくには
進路と資格
- 工業高校・専門学校・企業研修で電気と機械を学ぶ工業高校の電気・電子系や専門学校などで回路と機械の基礎を学べるが、特定の学校卒業は一律の必須条件ではない。メーカーや修理会社の実機研修も重要だ。
- 家電製品エンジニア資格の試験を検討する家電製品協会の民間資格には「AV情報家電」「生活家電」の2区分があり、基礎技術と応用技術をCBT方式で受験する。資格自体は家電修理への法定の独占免許ではない。
- 現場で故障診断と安全作業を身につける故障履歴の聞き取り、テスター測定、交換部品の照合、試運転を先輩の確認を受けながら経験する。製品別の作業条件や必要な法令上の資格は担当業務ごとに確認する。
今から伸ばしたい力
- 電圧・抵抗・通電を安全に測る電気の基礎
- 機種別のエラー表示と回路図を読み解く力
- 冷却系・給排水・回転機構の不具合を切り分ける力
- 狭い住宅内で傷や漏水を起こさず分解・復元する技能
- 修理費と買替え費用を利用者に分かりやすく伝える力
関連する職業
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建設・設備 電気工事士 住宅やビル、工場などで電線を配線し、照明やコンセント、分電盤などの電気設備を取り付ける仕事。図面を読み、設備の点検や修理も行う。感電や火災を防ぐため、資格に応じた作業と慎重な安全確認が求められる。
2050年の収入少し上がる -
ものづくり・研究 設備保全の技術者 倉庫の搬送機や工場の生産設備が止まらず動くよう、点検、部品交換、故障診断、保全計画を行う仕事。モーター、ベルト、センサー、制御装置を扱い、設備の安全と生産を支える。
2050年の収入少し上がる -
ものづくり・研究 電気・電子エンジニア 電気を安全に使う回路や電子機器を設計・開発する技術者。電源の制御基板、センサー、モーター駆動回路などについて、回路図を描き、試作品を測定し、発熱や電気的な雑音を抑えて製品化する。
2050年の収入少し上がる
出典と前提
出典
- 家電修理|職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年11月1日取得 故障診断、測定器、交換部品、働き方、2025年全国年収571.2万円を確認
- 家電製品エンジニア|受験案内(一般財団法人家電製品協会)、2026年11月1日取得 資格の2区分、CBT方式、基礎技術・応用技術の試験内容を確認
- 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)(経済産業省)、2026年11月1日取得 家庭用冷蔵庫・洗濯機・エアコン等の対象機器と廃棄時の制度を確認
予測の前提
- 2050年も大型の家庭用冷暖房・洗濯・冷蔵機器が生活の基本設備として使われる。
- 遠隔自己診断は進むが、家庭内での物理的な部品交換がすべて無人化するとは限らない。
- 部品を長期供給する製品と短期買替えを前提とする製品が併存する。
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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。