ものづくり・研究

電気・電子エンジニア

でんき・でんしえんじにあ

電気を安全に使う回路や電子機器を設計・開発する技術者。電源の制御基板、センサー、モーター駆動回路などについて、回路図を描き、試作品を測定し、発熱や電気的な雑音を抑えて製品化する。

開発室で、男性の電気・電子エンジニアが低電圧の試作基板に測定端子を当て、計測器の波形を確かめている。
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はじめに

スマートフォンや工場の機械、電気自動車などの中で、電気をうまく流したり、信号を読み取ったりする仕組みをつくる仕事です。小さな部品をつないだ回路を設計し、試作品に電気を流して温度や信号を測ります。思いどおりに動かない原因を調べ、安全に使える製品へ仕上げます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約704万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し上がる幅:少し下がる〜上がる
収入
電動化に伴う回路と信頼性設計の専門家は不足し得るため実質収入の小幅増を中心に置く。ただし標準設計は自動化され、海外調達とメーカーの利益配分が賃金に影響する。
需要
job tagが示す電子機器の用途の広がりに電動化が重なる一方、回路設計の定型部分は省力化されるため、増加幅には不確実性がある。
人による差
人による差が広がる

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今の電気・電子エンジニアの仕事

今
  • 電源・制御回路の設計電圧・電流の条件から半導体素子と抵抗・コンデンサーを選び、回路図を作成する。
  • プリント基板の配線設計信号が乱れにくく放熱しやすいよう、基板上の部品配置と銅の配線を設計する。
  • オシロスコープによる波形測定試作基板の電圧波形とスイッチング時の雑音を測り、設計値とのずれを調べる。
  • 電磁ノイズと発熱の対策電子機器から出る電磁波や部品温度を測定し、フィルターや放熱板の設計を見直す。
  • 製品の信頼性試験高温・低温、振動、繰り返し通電の条件で故障や性能低下が起きないかを評価する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 回路定数の初期計算 確からしさ:高 規格化された電源回路では仕様から候補を計算し、既存の回路例と照らす処理が自動化しやすい。
  • 基板の配線候補作成 確からしさ:中 配線の配置案は自動生成できるが、現物の熱や電磁干渉を完全に再現できるとは限らない。

AIと協働

  • 波形異常の切り分け 確からしさ:中 大量の測定波形から異常を抽出するのは機械に向くが、測定器の接続方法や部品の実装不良を現場で調べる必要がある。

人が中心

  • 高電力機器の安全余裕の設計 確からしさ:中 発熱、絶縁距離、故障時の保護動作は実物の試験を踏まえて設計者が責任を持って決める。
  • 仕様変更時の量産可否判断 確からしさ:中 部品供給、品質基準、改修費用がぶつかる際は、メーカーが保証できる条件を決める判断が必要になる。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、電気・電子エンジニアの一日(架空)

午前九時、試験室の金属机に小さな電源基板が固定された。30代のエンジニア・直樹は、絶縁手袋を点検してから試験装置のカバーを閉める。今日は地域の蓄電設備に使う電力変換器の確認日だ。太陽光発電から入る電力が急に変わっても、接続する機器には安定した電圧を届けなければならない。

電力を切り替える瞬間、オシロスコープの画面に細い山が現れた。自動診断は『正常範囲』と表示したが、直樹は以前の基板より山が高いことを見逃さない。部品を載せ替えて再測定すると、今度は山が低くなる代わりに放熱板の温度が上がった。信号のきれいさと熱の逃がしやすさは、同時には良くならないことがある。

午後の設計会議で、直樹は二つの測定波形を並べた。自動設計の候補には、基板を小さくできる配置もあった。しかし量産担当は、現行の工場ではその狭い配線間隔を安定して製造できないと話す。直樹は基板を少し大きくし、部品の間に余裕を持たせる案を選ぶ。製品が設置先で長く動くことを、図面の美しさより優先した。

夕方、改訂した回路図を製造部門へ送る。直樹のノートには『低温時に再測定』と書かれていた。机の上では正しく動いても、寒い場所で同じとは限らない。電気の流れは目に見えない。だからこそ、波形と温度の小さな違いから、まだ起きていない故障を想像するのがこの仕事だ。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約704万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag『電子機器技術者』に対応する電気・電子・電気通信開発技術者などの職業分類の一般労働者。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag『電子機器技術者』の2025年全国年収703.9万円を円に換算した。電気・電子エンジニア全体だけの専用平均ではない。
  • 電気設備、電子製品、電源回路の設計など担当範囲が広く、職場ごとの報酬に差がある。
  • 雇用された一般労働者の統計で、独立した設計請負業者の事業所得は含まない。
  • 企業規模や地域、開発から量産まで担当する経験、役職によって年収は変わる。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 蓄電設備と電力変換器の増加上がる方向

    電気をためたり使いやすく変えたりする機械が増えるほど、回路を設計する人が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    電力変換やセンサー、制御の需要は用途が広いが、設備投資と電力網の整備の速さに左右される。

  • 回路と基板の自動設計どちらにも動きうる

    決まった回路は機械が考えやすくなり、人は難しい試験に集中します。

    大人向けの詳しい説明

    標準設計の工数は縮む一方、熱設計や電磁ノイズ対策、故障解析は実測と検証が要る。

  • 半導体部品の供給と価格下がる方向

    必要な部品が手に入らなければ、製品を完成させるのが難しくなります。

    大人向けの詳しい説明

    部品欠品や代替認証は開発期間とコストを押し上げ、メーカー利益と賃金の原資を圧迫する。

  • 長期信頼性を証明できる技能上がる方向

    長く安全に動くかを確かめられる技術者の力が大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    顧客が保証と故障率を重視する製品では、試験計画と評価実績が受注の競争力になる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 電動化と蓄電設備が広がる

    条件工場設備や移動機器の電動化が進み、電源制御回路や安全設計に継続投資する。

    起きそうなこと高い電力密度と信頼性を両立できる設計者に仕事が集まり、熟練者の待遇が上向き得る。

  2. 標準回路の設計が自動化する

    条件既存部品を組み合わせた回路と基板配置の大半を自動設計で作れるようになる。

    起きそうなこと初級設計の工数単価は下がり、測定・評価・故障解析に強い人と差がつく。

  3. 重要部品の調達が不安定になる

    条件半導体やパワーモジュールの供給制約が長引き、設計変更と代替評価が増える。

    起きそうなこと代替設計の技能は重宝されるが、メーカーの採算が悪化すれば賃上げを抑える可能性もある。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

電子機器技術者は、身近な端末だけでなく工場設備や制御装置など幅広い機器に関わる。電動化や蓄電設備が進めば、電源回路、モーター制御、センサーの仕事は増える可能性がある。ただし設備投資の計画が予定どおり実現するとは限らない。

一方、標準的な回路図や基板配置の案は自動化で短時間に作れるようになるだろう。設計者が全員同じように増えるのでなく、故障解析、安全設計、量産評価など現物を扱う技能へ仕事が移ると考える。需要は小幅増を中心に、拠点と専門分野で差が大きい。

働き方

電子機器メーカー、電気機械メーカー、部品メーカーの設計部門や試験室で働く。回路図の作成は机でできても、試作基板の通電、温度測定、電磁波試験は専用の設備を使う。設計した回路は製造部門へ引き継ぎ、量産不良の原因を調べることもある。

勤務は日中が中心だが、製品発売前や評価試験の集中時は作業が長引く場合がある。高電圧装置では安全手順が重要で、独断で通電しない。部品メーカーへの出張、海外工場との時差のある会議を行う職場もある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校で数学・物理を学ぶ電圧と電流、磁界、抵抗の関係を理解し、電子工作などで測定と回路づくりを経験する。
  2. 高専・大学で電気電子を専攻する高専本科5年、大学学士課程4年などで電気回路、電子回路、制御工学、電磁気学を学ぶ道がある。
  3. メーカーの設計・試験部門で経験を積む製品設計そのものに一律の国家資格は不要。試作品の評価を経験し、回路設計と安全・信頼性試験を担当する。電気工事士の免状とは別の仕事である。

今から伸ばしたい力

  • 電流・電圧・電磁気の原理を回路に結びつける力
  • 回路図と基板パターンを正確に読み描く力
  • オシロスコープの波形から異常を見つける力
  • 熱と絶縁の安全余裕を設計に組み込む力
  • 部品の仕様書を読み試作品と照合する力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 2050年も多様な製品で電力変換回路とセンサーが使われる。
  • 自動回路設計の結果は試作測定と安全評価で確かめる。
  • 半導体の調達と地域の開発拠点が維持される程度は一定ではない。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。