公務・安全 想像の仕事
野生動物共生マネージャー
やせいどうぶつきょうせいまねーじゃー
クマやシカ、イノシシが人里に出てくる理由をセンサーやデータで調べ、地域と協力して出没を防ぐ環境をつくり、緊急時には捕獲と住民の安全確保を指揮する仕事になりそうだ。
はじめに
クマやシカ、イノシシが町や畑に出てこないようにする仕事です。カメラやセンサーで動物の通り道を調べ、エサになる果物を早くとる、草をかる、電気の柵を張るなど、地域の人と一緒に対策を考えます。もし町の中に出てきたときは、みんなが安全に過ごせるよう、ほかの人たちと力を合わせて対応します。
今ある芽
今ある技術や制度から見て、2050年には仕事として広がっている見込みが高いものです。今は野生動物の対策を、狩猟免許を持つ地域の人や、ほかの仕事と兼ねる自治体の職員が担っていることが多い。出没の増加を受けて、捕獲を専門にする職員を自治体が雇う仕組みや法律の見直しが進んでおり、調査から地域づくり、緊急対応までをまとめて担う専門職が広がるかもしれない。
- 市街地での「緊急銃猟」の制度2025年9月施行の改正鳥獣保護管理法で、市街地に出たクマへの緊急の銃猟を市町村の判断で行えるようになった。判断や住民の避難誘導を担う専門の人が自治体に必要になりそうだ。出典:市街地でクマに発砲、判断は市町村頼み 改正鳥獣保護法指針 避難誘導や補償も…役割「膨大」(北海道新聞)
- 捕獲を専門にする「ガバメントハンター」環境省は、自治体が捕獲を専門にする職員を育て、雇う仕組みを進めている。野生動物の対策が、地域のボランティア頼みから職業へ移りつつある。出典:クマ対策の切り札に? 捕獲・駆除の専従職員「ガバメントハンター」環境省の狙いと効果(日刊ゲンダイDIGITAL)
- 狩猟免許を持つ人の常勤採用への後押し総務省は、狩猟免許を持つ人を自治体の常勤職員として採用できることを自治体に周知し、ガバメントハンターの人材確保などにかかる費用を特別交付税で支える方針を示している。この仕事を自治体の常勤の職として置きやすくする動きだ。出典:総務省におけるクマ被害対策の取組(資料3)(総務省(内閣官房 クマ被害対策関係閣僚会議資料))
2050年、どんな仕事をしている?
- 出没データの分析自動撮影カメラやセンサー、住民からの目撃情報を地図にまとめ、動物の通り道や出やすい時期を調べる。
- 誘いこむ原因の点検放置された果樹や生ごみ、手入れされていない草地など、動物を人里に引き寄せるものを地域の人と見て回る。
- 地域ぐるみの対策づくり農家や町内会、学校と話し合い、電気柵の設置や草刈り、収穫の時期の工夫などを計画する。
- 緊急時の対応指揮市街地に出没したとき、警察や捕獲を担う職員と連絡をとり、住民の避難誘導や通行止めの範囲を決める。
- 住民への情報発信と学習会出没情報を分かりやすく知らせ、学校や公民館で動物との距離のとり方を伝える。
2050年の一日
2050年、野生動物共生マネージャーの一日(架空)
タブレットに届いた通知は、午前五時十二分のものだった。山すその柿畑に置いた自動撮影カメラに、黒い影が二度映っている。町役場の野生動物共生室に勤める大塚リョウは、着替えながら映像を確かめた。親子のクマらしい。畑は小学校の通学路から五百メートルほどしか離れていない。
六時半、役場で警察と猟友会出身の捕獲担当の職員と短い打ち合わせを開く。今は畑の奥にとどまっていて、すぐに町に出てくる様子はない。リョウは通学路の見守りを増やすよう学校に頼み、地域の連絡アプリに注意の知らせを流した。捕獲用のおりを置くかどうかは、昼までのカメラの映像を見てから決めることにした。
昼前、柿畑の持ち主の家を訪ねる。高齢の夫婦は、収穫しきれない柿をそのままにしていた。リョウは責めずに、町の収穫ボランティアを呼べること、熟した実が残るとクマが通い続けやすいことを地図とデータで説明した。夫婦は少し考えて、週末に若い人に手伝ってもらうことを決めてくれた。その間に、電気柵を張る範囲も一緒に歩いて確かめた。
午後、カメラの映像を見ると、親子は畑を離れて山のほうへ戻っていた。おりはひとまず置かず、見回りを続けることにする。夕方、小学校で四年生に話をした。「クマを見たら、走らずに離れること」。子どもたちが描いた通学路の地図には、クマのいそうな場所に印がついていて、リョウはその地図を役場の分析に使わせてもらうことにした。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学・高校生物(動物の生態)と地理を学び、自然観察会や里山保全の活動に参加する。地域の野生動物の出没情報に目を向けてみるのもよい。
- 大学・専門学校農学部、獣医学部、森林科学系の学部などで、野生動物の生態や管理、農村のことを学ぶ。狩猟免許は、わな猟は18歳、銃猟は20歳から受験できる。
- 社会に出てから自治体職員、自然保護官、森林や農業の仕事などで経験を積む。狩猟免許をとり、地域の捕獲や調査の活動に加わる道もある。
今から伸ばしたい力
- 動物の生態や森林、農業についての知識
- データを地図にまとめて読み解く力
- 農家や住民、警察など立場のちがう人と話し合う力
- いざというときに落ち着いて判断する力
- 体力と、山や畑を歩いて現場を確かめる習慣
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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公務・安全 自然保護官(レンジャー) 環境省の職員として国立公園や野生生物の生息地を守り、登山道の管理、希少種の調査、外来生物への対策、施設整備や開発行為の審査を行う。利用者、地元住民、研究者と協力し、自然の保全と持続的な利用を両立させる仕事だ。
2050年の収入ほぼ変わらない -
公務・安全 地方公務員(市役所などの職員) 市役所や町役場などで、住民票、福祉、子育て、税、防災、まちづくりなどの行政サービスを担う仕事。窓口対応から制度の運用、地域の課題解決まで幅広い。
2050年の収入ほぼ変わらない -
食・農 林業従事者 山林で苗木を植え、下草を刈り、木の成長に応じて間伐や伐採を行う仕事。チェーンソーや高性能林業機械を使い、斜面・土壌・樹木の状態を見ながら森林の手入れと木材の搬出を担う。
2050年の収入少し上がる
出典と前提
出典
- 市街地でクマに発砲、判断は市町村頼み 改正鳥獣保護法指針 避難誘導や補償も…役割「膨大」(北海道新聞)、2026年11月4日取得
- クマ対策の切り札に? 捕獲・駆除の専従職員「ガバメントハンター」環境省の狙いと効果(日刊ゲンダイDIGITAL)、2026年11月4日取得
- 総務省におけるクマ被害対策の取組(資料3)(総務省(内閣官房 クマ被害対策関係閣僚会議資料))、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 自治体が野生動物の対策を担う専門の職員を常勤で置く仕組みが広がっている。
- センサーやカメラで出没を見張る仕組みが、地域で手ごろに使えるようになっている。
- 住民や農家が、動物を人里に引き寄せない環境づくりに協力している。