公務・安全 想像の仕事
気候変動適応プランナー
きこうへんどうてきおうぷらんなー
猛暑や豪雨、海面上昇の予測データを読み解き、クーリングシェルターの配置、農作物の品種の切り替え、浸水しやすい土地の使い方などを地域ごとに計画する仕事になりそうだ。
はじめに
これから先、暑い日や大雨がふえても、まちの人が安心して暮らせるように準備を考える仕事です。暑さをしのげる場所をどこに作るか、どんな作物なら育つか、水がたまりやすい場所をどう使うかを、データを見ながら地域の人と話し合って決めていきます。
今ある芽
今ある技術や制度から見て、2050年には仕事として広がっている見込みが高いものです。いまは自治体の担当者が、防災や農業、健康などの仕事と兼ねて適応策を進めることが多く、専門の職種としてはまだ少ない。暑さや大雨への備えが自治体の大きな仕事になり、予測データが細かく使えるようになれば、分野をまたいで計画を立てる専門家が必要になりそうだ。
- 気候変動適応法の施行2018年に気候変動適応法が施行され、都道府県や市町村が地域の適応計画と地域気候変動適応センターを持てるようになった。地域ごとに計画を立てる仕事の土台になる。出典:気候変動適応法の施行について(環境省)
- 熱中症特別警戒情報とクーリングシェルター2024年4月から、熱中症特別警戒情報と、暑さをしのぐ指定暑熱避難施設の制度が始まった。施設の配置や運用を考える役が求められる。出典:改正気候変動適応法の施行に向けた取組(環境省)
2050年、どんな仕事をしている?
- 地域の気候予測の読み解き国や研究機関の将来予測を、町や集落の単位まで細かく見て、暑さや雨の変化がどこに強く出るかを整理する。
- クーリングシェルターの配置計画お年寄りの多い地区や歩いて行ける距離を考えて、図書館や店、集会所など暑さをしのげる場所を選び、開く時間を決める。
- 作物と品種の切り替え支援農業の研究機関や農家と一緒に、暑さに強い品種や新しい作物を試す畑を決め、収穫の結果を記録する。
- 浸水しやすい土地の使い方の合意づくり水がたまりやすい地区の将来の使い方について、住民の説明会を開き、意見を聞きながら長い時間をかけて方針をまとめる。
- 適応計画の見直し毎年の暑さや雨の記録と対策の結果をくらべ、うまくいかなかった点を次の計画に反映させる。
2050年の一日
2050年、気候変動適応プランナーの一日(架空)
七月の会議室で、誠は二一〇〇年の地図を広げていた。地方都市の適応推進室に勤める五十代の誠にとって、夏は一年で一番忙しい季節だ。朝の気象情報では、県内に熱中症特別警戒情報が出る見込みだという。誠はまず、市内のクーリングシェルター四十か所の開館状況を一覧で確かめた。
一か所、商店街の集会所だけが冷房の点検で午後から閉まる予定になっていた。近くには一人暮らしのお年寄りが多い地区がある。誠は町内会長に電話をかけ、近くの薬局の休憩スペースを代わりに開けてもらえないか相談した。店長はすぐに了解し、入り口に案内の札を出すと言ってくれた。
午後は郊外の農業試験の畑へ向かった。米の高温による品質低下が続く地区で、三年前から暑さに強い品種と、新しく果樹を植えた区画を比べている。農家の人たちは、品種を替えると味がどう変わるか、売り先はあるかを気にしていた。誠は収量の記録を見せながら、農協の担当者も交えて、来年はどこまで面積を広げるかを話し合った。
夜は、川沿いの低い地区で住民説明会があった。朝に広げていたのは、この地区の将来の浸水の予測図だ。誠はすぐに答えを出そうとはしなかった。何十年も住んできた人たちの話を一人ずつ聞き、次回までに調べることを三つ書き留めた。帰り道、蒸し暑い夜風の中で、誠は来年の計画の見出しを考えていた。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学社会の地理と理科の気象を学び、自分の住む地域のハザードマップや過去の気温を調べてみる。
- 高校地理と地学、数学の統計を学ぶ。気象予報士の試験は年齢に関係なく受けられるので、挑戦してみるのもよい。
- 大学地理学、環境学、都市工学、農学、防災に関わる学部・学科など入口は幅広い。卒業後に公務員として自治体に入る道や、建設コンサルタントで技術士(建設部門・環境部門など)をめざす道がある。
今から伸ばしたい力
- 地理や気象のデータを地図に重ねて読み取る力
- 防災、農業、健康など、分野をまたいで考える力
- 住民の不安や意見をていねいに聞く力
- すぐに答えが出ない問題を、長い時間をかけて進める粘り強さ
- 計画を分かりやすい言葉と図で説明する力
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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公務・安全 地方公務員(市役所などの職員) 市役所や町役場などで、住民票、福祉、子育て、税、防災、まちづくりなどの行政サービスを担う仕事。窓口対応から制度の運用、地域の課題解決まで幅広い。
2050年の収入ほぼ変わらない -
公務・安全 気象予報士 気温、雨雲、風などの観測値と数値予報を読み解き、地域や利用目的に合わせて天気を予測・解説する専門職。民間の予報業務では気象予報士の資格と気象庁の許可制度が重要になる。
2050年の収入ほぼ変わらない -
公務・安全 防災の専門職(自治体) 市区町村や都道府県の防災担当として、地域防災計画の見直し、避難所の準備、住民への避難情報の伝達、防災訓練や関係機関との連絡を担う。地形や災害リスクを把握し、地域の備えを整える仕事。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- 気候変動適応法の施行について(環境省)、2026年11月4日取得
- 改正気候変動適応法の施行に向けた取組(環境省)、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 地域ごとの細かな気候予測を、自治体がふだんの計画に使えるようになっていること。
- 暑さや大雨への備えを専門に担う部署や職員を、自治体が置くようになっていること。