公務・安全

気象予報士

きしょうよほうし

気温、雨雲、風などの観測値と数値予報を読み解き、地域や利用目的に合わせて天気を予測・解説する専門職。民間の予報業務では気象予報士の資格と気象庁の許可制度が重要になる。

予報業務の席で、男性の気象予報士が天気図と雨雲画像を見比べ、指示棒で前線の位置を確認している。
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はじめに

空のようすを調べ、これから雨が降るか、風が強くなるかを考えて伝える仕事です。人工衛星やレーダーの情報、コンピューターの計算結果をくらべます。船の運航や農作業、まちのお祭りなど、それぞれの人が安全に予定を立てられるように、予報にどれくらい自信があるかも伝えます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約583万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
予報の大量生成は自動化で低価格化する一方、気象業務法の専門職制度と防災・産業向け助言の価値が残る。需要が増えても価格競争や雇用形態の差で実質賃金上昇に直結しないため、中心は横ばいとした。
需要
民間気象会社はすでに物流・電力等に予報を提供し、気象庁は2026年に気象防災アドバイザー育成と自治体とのマッチングを拡充している。定型予報担当の縮小を差し引いても用途別の助言需要が小幅増える可能性を中心とする。
人による差
人による差が広がる

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今の気象予報士の仕事

今
  • 地上・衛星・レーダー観測の点検雨雲レーダー、衛星画像、気象台の観測値を突き合わせ、局地的な変化や欠測・異常値を見つける。
  • 数値予報の比較と予報文の作成複数の数値予報モデルと過去の傾向を比較し、気温・降水・風などの地域別予報を組み立てる。
  • 顧客向け気象コンサルティング物流、電力、農業、イベントなどの利用者に、業務の判断時刻や場所に合う予報と不確実性を説明する。
  • 防災気象情報の読み解き気象庁の警報・注意報等を確認し、自治体や事業者の対応に役立つ地域の状況を説明する。
  • 予測精度の検証と改善予報した雨量や風速を実測値と比べ、地域特有の誤差を調べて次の予報へ反映する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 多数の数値予報の統合計算 確からしさ:高 大量の観測値と複数モデルの比較・確率計算は計算機が得意で、2050年には予報の候補生成を担う可能性が高い。

AIと協働

  • 局地的な降水と風の予報判断 確からしさ:中 機械が細かな雨雲を推定しても、地形による誤差や観測網の穴を見て予報を修正する判断が残る。
  • 事業者別の運航・作業への助言 確からしさ:中 作業ごとの降水閾値や時間の余裕は機械で整理できるが、予測の幅と業務上の損失を人が相談して決める。

人が中心

  • 自治体への防災気象の説明 確からしさ:中 気象庁が発表する防災情報と地域の事情を結び、判断をする自治体担当者と対話する責任が残る。
  • 予報の誤差と顧客への説明責任 確からしさ:中 予報が外れた理由を示し、どの程度の不確実性を伝えるべきだったかを検証する役割は組織と専門家が負う。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、気象予報士の一日(架空)

『午後の港で荷役作業を続けられるだろうか』。午前6時、臨海部の物流会社から届いた相談を、気象予報士の30代男性・直人は読み直した。海上の風速予報は二つの計算モデルで食い違う。片方は弱い南風、もう片方は午後から短時間の強い突風を示している。直人は沿岸の観測塔、海上ブイ、雨雲レーダーを同じ時刻にそろえ、海面温度と陸地の温まり方を確かめた。

午前9時、計算機は『強風に備える時間帯』を色分けして表示した。ただし、予想される雨雲の通り道が十数キロ変われば港の風も変わる。直人は過去の似た天気図を開き、周辺の丘で風向きが曲がる場所を重ねた。確率が高い一本の予報を答えとして選ぶより、風が急に強まる可能性のある時間帯と、観測を更新する時刻を伝える方が役に立つ。

昼のオンライン説明では、港の担当者が『作業を止める判断は誰がするのか』と尋ねた。直人は、作業中止の基準は現場の安全規則と責任者が決めるものだと確認し、風速の幅、予報が外れる場合、気象庁の警報・注意報の見方を説明した。担当者は荷役の順序を組み替え、風速計を確認する間隔を短くした。直人は自分が現場の決定を代行しないことにも気を配った。

夕方、実際に吹いた風は予報の上限より弱かった。直人は『大げさだった』と消すのでなく、観測値と計算過程を保存し、翌週の精度検証の題材にした。AIが速く計算する2050年も、予報の数字を人の行動に結びつけるには、不確かさを隠さず伝える専門家が必要なのだ。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約583万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tagの『気象予報士』に対応づけられた広い『他に分類されない法務・経営・文化芸術等の専門的職業』等の雇用労働者。気象予報士だけの集計ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag『気象予報士』ページの全国年収583.3万円(2025年統計)を円換算した。
  • 統計の職業分類には気象予報士以外の専門職が多く含まれ、放送局の気象キャスターや民間気象会社だけの平均ではない。
  • 気象庁の職員、民間企業の社員、独立して解説する人では給与体系と勤務時間が異なり、個別の年収には大きな差がある。
  • 資格を持っていても予報の仕事に就いていない人がいる。資格保有者全員の収入を示す数値ではない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 気象データとAI予報の高度化どちらにも動きうる

    天気の計算はもっと速くなりますが、予報を売るだけでは収入が増えにくくなります。

    大人向けの詳しい説明

    自動予報の精度と安価な供給が高まれば定型作業の単価は下押しされる。特定の地域・顧客向けに判断を解説する職能の価値と分けて考える。

  • 地域防災と気象の説明需要上がる方向

    まちの人が天気の危険を理解できるように説明する仕事は大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    2026年の気象庁による気象防災アドバイザー育成と自治体との接続は、予報の解説や助言に実際の制度的な需要があることを示す。採用・契約数は財政に左右される。

  • 産業ごとの予報利用上がる方向

    船や工場、農場では、同じ天気でも知りたいことが違います。

    大人向けの詳しい説明

    物流の運航判断や電力需要など、場所と閾値を特定した予報には継続需要があり得る。ただし顧客側の設備投資と有料化が必要。

  • 予報業務の許可と資格登録どちらにも動きうる

    予報を仕事として出す会社には、法律で決められた資格と許可の仕組みがあります。

    大人向けの詳しい説明

    気象業務法は許可事業者の気象予想を気象予報士に行わせる仕組みを置く。制度が維持されれば資格者の役割は残るが、資格だけで待遇は保証されない。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 地域防災と産業向けの専門助言が増える

    条件自治体、交通、電力・物流事業者が局所的な危険と予報の不確実性について継続的に助言を購入する。

    起きそうなこと予報の説明と意思決定支援を担う経験者の実質収入は小幅に上がり得る。

  2. 予報の大量作成は自動化し、説明力が差になる

    条件数値モデルとAIの低価格予報が普及する一方、法制度と現場での説明責任は維持される。

    起きそうなこと定型予報の単価下落と専門助言の需要増が相殺し、平均的な実質収入は横ばいに近づく。

  3. 予報サービスの価格競争が強まる

    条件高精度予報が汎用化し、顧客が追加料金を払う防災助言の市場が十分に育たない。

    起きそうなこと定型的な予報配信を中心とする仕事の実質収入は下がる可能性がある。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

日々の天気を一律に文章にする仕事は、計算モデルやAIによる自動化で人手が減り得る。他方、民間気象会社はすでに物流・農業・電力などの業務別予報を扱い、気象庁も自治体向けの気象防災アドバイザーの活用を進めている。

そのため、2050年の需要は単純な予報配信を除き、地域の防災助言や事業運営の支援へ移ると考える。気候や災害の変化に一律の人数増を結びつけず、自治体の予算、顧客が料金を払う意思、全国と都市・沿岸部の差を考慮して小幅増を中心とした。

働き方

民間の気象会社、放送局、交通・電力関連企業、研究・防災支援の現場などが勤務先となる。テレビや自治体向けの解説をする人もいれば、観測と数値予報を専門に検証する人もいる。資格を保有するだけでは気象予報の仕事に就けるわけではない。

天気は24時間変化するため、早朝や夜間の交代勤務がある職場もある。顧客との打ち合わせや講座は日中に行う一方、重大な気象変化の際は予報を更新する。働き方は民間企業の雇用、放送関連の契約、自治体の委嘱などで異なる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 理科・数学と気象観測の基礎を学ぶ中高生の段階では地学、物理、数学、地図の読み方を深める。大学の理学・工学分野や専門学校、独学でも学べるが、大学卒業自体は気象予報士試験の受験条件ではない。
  2. 気象予報士試験に合格し、気象庁長官の登録を受ける指定試験機関の一般財団法人気象業務支援センターが行う国家試験は学科と実技で構成され、年2回実施されている。合格しただけではなく登録申請が必要。
  3. 予報実務を磨き、防災・産業の分野へ進む許可を受けた民間気象会社などで数値予報や顧客向けの解説を経験する。自治体で防災支援を行いたい場合は、気象庁の気象防災アドバイザー育成研修なども選択肢になる。

今から伸ばしたい力

  • 天気図と大気の上下の構造を読み、雨雲が発達する条件を説明する力
  • レーダー・衛星・地上観測の誤差や欠測を見抜く力
  • 複数の数値予報を比較して予測の幅を扱う統計的な力
  • 気象庁の警報・注意報と事業者向け予報の役割を区別する力
  • 船の運航や地域防災など、相手の意思決定に合わせて不確実性を伝える力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 2050年も許可を受けた民間予報事業と気象予報士の責任を定める制度の骨格が維持される。
  • 数値予報とAIの性能は向上するが局地的な誤差や予測の不確実性は残る。
  • 自治体と民間企業が気象リスク助言へ投じる費用は地域・業種によって異なる。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。