IT・デジタル

電気通信の技術者

でんきつうしんのぎじゅつしゃ

携帯電話基地局、光ファイバー、通信ネットワークなどを設計・構築し、通信品質を測定して改善する技術者。電波の届き方、回線容量、機器の故障や工事の安全を考えて通信をつなぐ。

通信設備室で、男性の電気通信技術者が、測定器を使って光回線の状態を確かめ、接続部分を点検している。
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はじめに

スマートフォンや家のインターネットが、遠くの人や機械とつながる道を作る仕事です。電波を出すアンテナの向きや、光ファイバーの通り道を考え、電波が弱い場所や回線が混んでいる場所を調べます。通信が切れたときは、どこで問題が起きたかを探して直します。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約610万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:少し下がる〜上がる
収入
回線更新と故障対応の専門性が報酬を支えるが、監視自動化と通信料金の競争で成果が賃金に配分されるとは限らない。物価を除いた収入は横ばいを中心に考える。
需要
job tagにある基地局設計、回線構築、性能測定の業務は通信網の維持に必要である。地域の投資停滞と運用省人化が逆方向に働くため、小幅増を中心として広めの幅を置いた。
人による差
人による差が広がる

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今の電気通信の技術者の仕事

今
  • 基地局の電波エリア設計地形、建物、利用者数を調べ、アンテナ位置、向き、送信電力を検討する。
  • 光ファイバー・伝送経路の設計拠点間の距離と必要帯域から回線経路や中継機器を選び、冗長経路を構成する。
  • 通信トラフィックと品質の測定接続失敗率、遅延、データ量、電波強度を測り、混雑地点を探す。
  • ネットワーク装置の工事・試験基地局やルーターの構成を確認し、切替前に疎通・障害時切戻しの試験をする。
  • 障害時の経路切替と復旧通信ログと現場の機器状態を照合し、影響範囲を狭めて復旧手順を実行する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 通信トラフィックの予測と容量配置 確からしさ:高 基地局ごとの通信量の変化や混雑の予兆を大量のログから分析し、設定候補を示せる。
  • 装置障害の一次切り分け 確からしさ:中 通信ログの相関分析は自動化しやすいが、現場の断線や設備不良と一致するか確かめる必要がある。

AIと協働

  • アンテナ方向の最適化案 確からしさ:中 電波伝搬モデルと実測結果を組み合わせられるが、建物・樹木・設置条件の違いは現地確認が必要だ。
  • 光回線の冗長構成設計 確からしさ:中 経路候補の計算を支援しても、土地、工事契約、停電時の耐性まで考えて採用するのは人が担う。

人が中心

  • 大規模な通信切替の最終承認 確からしさ:高 回線を切り替えると地域や利用者に影響する。事前試験と復旧手段を確認し、実施の責任を負う。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、電気通信の技術者の一日(架空)

夕方六時、通信会社の運用室で三十代の航平は、海沿いの町を示す地図を拡大した。駅前の小さな広場だけ、夕方になると動画が途切れやすい。自動監視は「アンテナの角度を変える」と提案しているが、変更すると住宅地の電波が弱まるかもしれない。航平は地形図と利用者の移動記録を重ね、駅から住宅街へ向かう細い道に印を付けた。

現地の試験担当と通話をつなぐ。測定車から届く電波強度は十分なのに、駅前では接続先の切替が多い。航平は基地局のアンテナが向く方向だけでなく、二つの基地局が重なる範囲を調べた。建物の新しい屋根が反射に影響している可能性もある。機械が作った改善案を三つ比べ、一つは住宅街の通信品質を落とすため候補から外した。

夜八時、利用の少ない時間を選んで設定を小さく変える。実施前に元の設定を保存し、戻せることを試験した。監視画面に数字が並ぶ一方、現地の担当者は広場の端から駅入口まで歩き、接続の途切れを一か所ずつ確かめた。改善は見られたが、坂の途中にまだ弱い地点があった。航平は一晩で全部を直そうとはせず、その地点を翌日の測定項目に加えた。

帰る前、航平は設定を変えた理由と、変えなかった場所を記録した。地図の色が良くなっても、画面の向こうには家で学ぶ人や店で決済する人がいる。通信を速くすることと、どこでもつながることは同じではない。地図を閉じると、現地担当から「駅の待合室は切れなくなった」と短い報告が届いた。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約610万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「電気通信技術者」に対応する「通信ネットワーク技術者」等の職業分類の一般労働者。基地局設計だけの平均ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag「電気通信技術者」掲載の2025年全国年収609.8万円を円へ換算した。
  • 統計は通信ネットワーク技術者等の広い職業分類で、無線基地局の設計専業に限らない。
  • 通信事業者の正社員、設備施工会社、保守委託先では賃金と待機・夜間手当が異なる。
  • 地域の設備投資規模、専門性、無線と光伝送の担当範囲によって給与差が出る。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 基地局と光回線の更新投資上がる方向

    古いアンテナや通信の道を新しくすると、設計と工事の仕事が生まれます。

    大人向けの詳しい説明

    通信容量だけでなく冗長性と電力・工事用地への投資が需要を左右する。

  • ネットワークの自動制御どちらにも動きうる

    混んでいる場所を見つける計算は機械が得意になり、人は切り替えの影響を考えます。

    大人向けの詳しい説明

    監視や設定の反復作業は省人化するが、障害時に戻せる構成を決める責任が残る。

  • 地域人口と採算の差下がる方向

    人が少ない地域では、新しい設備を置くお金を集めにくいことがあります。

    大人向けの詳しい説明

    地方の基地局更新の採算と都市部の大容量需要の違いが雇用先を偏らせる。

  • 通信停止時の復旧技術上がる方向

    一本の回線が切れても別の道につなぐ仕組みを作れる人が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    冗長経路の設計、切戻し試験、現地機器とログの照合は信頼性投資の中心となる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 通信の信頼性投資が続く

    条件遠隔操作や産業機器の接続が広がり、利用者が途切れにくい通信に対価を払う。

    起きそうなこと電波設計と障害復旧を兼ねる技術者の待遇が改善する可能性がある。

  2. 運用設定の自動化が進む

    条件基地局のパラメータ調整やトラフィック解析を自動化し、少人数で広い地域を管理する。

    起きそうなこと定型監視の人数は減るが、重要な設計変更と現地施工は残り、職務の差が広がる。

  3. 地方の回線更新が遅れる

    条件人口減少で採算の取れない地域の設備更新が遅れ、通信事業者の投資余力が弱まる。

    起きそうなこと保守の必要性は残る一方、事業者の予算と料金競争が賃金上昇を抑える。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

通信回線はスマートフォンだけでなく、企業や工場、地域のサービスをつなぐ。job tagは基地局の設計、無線・有線のネットワーク構築、性能測定、障害対応などを挙げている。通信品質と安定性が重要になるほど設計・更新を担う技術者が必要となる。

ただし人口が減る地域では基地局増設の採算が厳しくなり、監視・最適化の自動化も常駐人数を減らす可能性がある。回線の整備と保守が続くため需要は小幅増を中心にするが、都市部に集中する幅を考慮する。

働き方

通信事業者、設備メーカー、ネットワーク構築会社、通信工事の関連企業などに勤める。仕事は基地局の設計、光伝送、運用監視、障害復旧、工事の監督で分かれる。CADやネットワーク設計ツールを使う机上業務と、基地局や工事現場での測定を行き来する。

設備切替は利用者の少ない夜間に行う場合があり、担当によっては交代勤務や緊急の呼出しもある。重要な変更では、影響範囲を調べ、設定を戻す手順を確認してから実施する。通信方式が変わっても、一度学んで終わりではなく測定器と制度の知識を更新する。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校・高専で数学、物理、情報の基礎を学ぶ波、電気回路、情報通信、プログラミング、統計を学ぶと無線とネットワークの理解に役立つ。
  2. 大学・高専等で通信工学を学び就職する電気電子、情報通信、ネットワーク系の学科から通信事業者や設備企業に進む。職種全体に共通の必須国家資格はない。
  3. 担当分野に応じた資格・実務経験を積む通信設備の監督等では電気通信主任技術者(伝送交換・線路)などの資格が関係する。資格の対象業務と実際の配置要件を確認しながら学ぶ。

今から伸ばしたい力

  • アンテナと電波伝搬の基礎を理解する力
  • 光ファイバーとルーターの構成を図に描く力
  • 通信量・遅延・接続失敗率の数値を読み解く力
  • 回線切替の前に試験と切戻し手順を設計する力
  • 基地局現地測定と運用ログの食い違いを確かめる力

出典と前提

最終確認日
2026年11月1日

出典

予測の前提

  • 通信網の利用が続き、基地局と光回線の更新が必要となる。
  • 通信制御の自動化が進んでも現地測定と責任を伴う切替判断が残る。
  • 地域人口と通信事業者の設備投資余力には差がある。

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