秘書
ひしょ
経営者や役員などの仕事が円滑に進むよう、日程や面会の調整、会議・出張の手配、文書の受領や来客対応を担う。機密情報を守りながら、相手と担当者の時間を整える仕事だ。

はじめに
会社の社長や役員などが大切な仕事に集中できるよう、予定や会議の準備をする仕事です。来客を案内したり、出張の切符を手配したり、急に予定が変わったときに連絡したりします。人に話してはいけない情報も扱うので、正確さと気配りの両方が大切です。
2050年の見通し
2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。
- 収入
- 予約・日程管理の自動化によって定型業務の評価と人数が下がる可能性がある。一方、重要な対外折衝と機密情報の管理を担う人の価値は残るため、実質収入は小幅減を中心に見た。
- 需要
- 会議室・旅程の自動予約と共同秘書の普及で専任秘書の必要人数は減り得る。重要な面会の連絡と機密管理は残るものの、全体では小幅減を中心にする。
- 人による差
- 人による差が広がる
今の秘書の仕事
- 役員の予定調整面談・会議の重要度と移動時間を確かめ、本人の予定表を組み直す。
- 取引先の面会予約と案内訪問目的・参加者・所要時間を確認し、受付と会議室を手配する。
- 出張行程と宿泊の手配移動手段、宿泊場所、現地の会議開始時刻を照合して行程を作る。
- 会議資料と配布権限の管理役員会などの資料を集め、見る権限のある人だけに安全に共有する。
- 緊急連絡の取次ぎと優先順位判断連絡内容の重要度を判断し、担当役員に伝える時期と方法を選ぶ。
2050年、仕事はどう分担される?
業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。
AI・ロボットが中心
- 移動時間を含む日程候補の作成 確からしさ:高 空き時間・鉄道・会議室の条件から候補を組み合わせる仕事は自動化しやすい。
- 出張予約の再手配 確からしさ:中 便や宿泊の変更は機械が処理できても、本人と面会相手への確認が必要な場合がある。
AIと協働
- 会議資料の配布先点検 確からしさ:高 閲覧権限の照合は自動で行えるが、会議の機密区分や例外的な配布は秘書が確かめる。
人が中心
- 予定変更の背景を汲んだ交渉 確からしさ:中 取引先との約束を動かす際は、単なる空き時間ではなく先方への敬意や事情を踏まえた話し方が必要だ。
- 本人に伝える情報の優先判断 確からしさ:高 すぐ伝えるべき用件か、秘匿すべき内容かを決める責任は担当役員と秘書が負う。
2050年の一日
2050年、秘書の一日(架空)
午後四時を過ぎて、五十代の晃一は翌朝の会議資料を三冊に分けていた。会社の役員が二つの取引先を訪問する予定なのに、一方の会議室が工事のため使えなくなったという連絡が来た。予定を調整する機械は、もう一つの会議を三十分ずらせば全員が参加できると示した。しかしその会議は、相手の会社が長い時間をかけて準備してきた初めての面談だった。
晃一はまず先方の担当者に電話し、会議を短くすることと、別の部屋を使うことのどちらが負担になるかを尋ねた。先方は「遠くから参加する人がいるので、時間は変えたくない」と答えた。空いている部屋を探すだけなら機械で済む。けれど予定に書かれていない準備の事情を知るには、相手に直接聞くしかなかった。晃一は訪問先の建物の別階にある会議室を予約した。
次に、参加者が閲覧できる資料の範囲を確認した。二社の会議資料は同じ端末で開けるようになっていたが、販売価格の検討表は役員と社内の担当者だけに限られていた。晃一は配布先の権限を変え、外部の参加者には製品紹介用の資料だけを共有した。手元の議事メモにも、翌日の会議では触れない数字を載せないようにした。
仕事の終わりに役員へ変更点を伝えると、「相手の時間を守れたのが一番いい」と返事があった。晃一は移動案内に玄関から会議室までの経路を添え、案内状の送り先を最後にもう一度確かめた。自動の予定表はすでに整っている。しかし相手が約束を大切にしている理由まで予定表に書いてあるわけではない。明日、会議が予定どおり始まるように、見えない準備を仕上げた。
収入
平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。
今の年収
約592万円(年収・平均値)
- 2025年の全国年収591.6万円を円換算した。役員秘書だけの給与や個人秘書の報酬を表したものではない。
- 役員秘書・部門秘書・グループ秘書で担当範囲や責任が異なる。
- 勤務先の規模、担当者の役職、語学対応、出張頻度などで賃金差が生じる。
- 個人事業として秘書業務を受託した人の売上・事業所得や外部委託料は含まない。
収入を動かすもの
AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。
-
予定表と移動予約の自動化下がる方向
会議の空き時間や出張の予約は、機械が調べやすくなります。
大人向けの詳しい説明
定型のカレンダー管理・チケット予約は秘書の作業時間を大幅に減らし得る。
-
機密文書の適切な取扱い上がる方向
見せてよい情報と秘密にする情報を分ける仕事は大切です。
大人向けの詳しい説明
役員会資料の閲覧権限や送信先を管理する技能は、情報漏えいの損失を防ぐことにつながる。
-
役員と取引先の対外折衝どちらにも動きうる
大切な約束を守るために、相手の事情を聞く場面が残ります。
大人向けの詳しい説明
重要な面会では信頼関係が求められるが、すべての企業が専任秘書を置けるわけではない。
-
複数役員の共同担当下がる方向
一人の秘書が複数の人の仕事を支える場合が増えます。
大人向けの詳しい説明
秘書の共同化と外注は総人数の削減につながる可能性がある。
2050年の3つのシナリオ
未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。
-
高度な秘書業務が残る
条件複雑な面会調整、機密文書の取扱い、対外的な連絡の質が評価される。
起きそうなこと経験豊富な役員秘書は仕事を担い続け、収入を維持できる。
-
日程管理の自動化が進む
条件出張予約と日程変更が複数の組織間で自動的に調整される。
起きそうなこと専任秘書を置かない企業が増え、定型的な秘書の求人は減る。
-
共同秘書・遠隔対応が普及する
条件複数役員を少人数の秘書チームが受け持つ仕組みが広がる。
起きそうなこと秘書職全体の雇用数は減り得る一方、対外折衝を任される人には専門性が残る。
働き方と暮らし
人手は足りる? 余る?
日程候補の計算、出張の予約、会議室の確保などは自動化される。企業が専任秘書の採用を抑え、役員数人をまとめて支える方式を採れば、必要な秘書の人数は減る。
大切な対外面会の調整や機密情報の管理には熟練が求められるが、すべての企業にその専門職が必要なわけではない。需要は小幅減を中心とし、企業規模による差が広がる可能性がある。
働き方
企業・団体の本部や役員室で働くほか、複数の担当者を支える秘書チームに所属する。予定表の操作だけでなく、来客受付、会議資料の管理、役員の移動に合わせた対面の仕事もある。
勤務時間は担当役員の予定に左右されることがあり、早朝の会議や出張に対応する場合もある。遠隔でできる予約手配が増えても、機密性と本人確認が求められる業務には出社や厳格な通信管理が必要となる。
この仕事に近づくには
進路と資格
- 高校で国語・情報と外国語を学ぶメールや会議案内を正確に書き、表計算・日程管理を扱う基礎を身につける。
- 大学・短大・専門学校または就職から進む企業の一般事務や総務に入社して秘書を担う道もある。法律で定めた必須の免許はない。
- 実務と任意資格で技能を磨く来客応対、ビジネス文書、日程調整を経験し、必要に応じて秘書検定などで知識を確認する。
今から伸ばしたい力
- 移動時間と会議の重要度を踏まえて日程を組む力
- 取引先に失礼のない連絡と受付の言葉遣い
- 秘匿すべき会議資料を権限別に管理する力
- 予定変更時に関係先の事情を聞いて代案を探す力
- 担当役員へ伝える連絡の緊急度を見極める力
関連する職業
-
専門・ビジネス 一般事務 企業や団体で書類作成、データ入力、伝票処理、問い合わせ対応、会議準備などを行い、さまざまな部署の日常業務が円滑に進むよう支える仕事。
2050年の収入少し下がる -
専門・ビジネス 広報 会社や団体の活動を取材者・利用者・地域社会に正しく伝える仕事だ。ニュースリリースや説明資料を作り、取材を受け、質問に答え、誤解が起きたときは事実確認と説明を行う。
2050年の収入ほぼ変わらない -
公務・安全 国家公務員(省庁の職員) 中央省庁や地方の出先機関で、法律や制度の案、予算要求、申請の審査、事業の実施を担う仕事。現場の事情と行政のルールを照らし合わせ、国民に公平で実行できる仕組みを整える。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- 秘書|職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年10月31日取得 日程・来客・出張・機密資料の仕事、進路、2025年全国年収591.6万円を確認
予測の前提
- 企業の予定表や予約システムは連携が進んでも、対外的な面会の調整は残る。
- 役員と取引先の関係や秘密保持を企業が重視し続ける。
- 企業の秘書職員の配置数と給与は同じ割合で変化するとは限らない。
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