IT・デジタル

テストエンジニア

てすとえんじにあ

アプリや業務システムが仕様どおりに動き、使う人が困る不具合を起こさないかを検証する仕事。確認項目を設計し、操作を再現して問題の条件を記録し、修正後にも別の部分が壊れていないかを確かめる。

女性のテストエンジニアが、タブレットの画面を操作し、ノートパソコンに並ぶ確認項目と見比べながら動作の検証を進めている。
ほかの職業とくらべる

はじめに

スマホアプリや機械の中のプログラムに、まちがった動きがないか調べる仕事です。何度もボタンを押すだけではなく、「通信が切れたら」「文字を大きくしたら」など、いろいろな使い方を考えて試します。見つけた不具合を開発した人に伝え、直ったあとも安心して使えるか確かめます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約579万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
自動検査が定型的な操作確認の作業単価を引き下げやすい。一方、品質保証の設計や説明責任を担う専門家には対価が残るため、実質収入は小幅低下中心で幅を広く見る。
需要
IPAは2026年時点でAIによるテスト生成・実施をソフトウェア開発の利用場面に挙げる。検査するサービスの増加と、一件あたりに必要な人手の削減が拮抗するとみて横ばい中心とした。
人による差
人による差が広がる

ほかの職業の見通しを見る

今のテストエンジニアの仕事

今
  • テスト条件と優先順位の設計仕様書から正常な操作と失敗する条件を書き出し、決済、本人確認、データ保存など影響の大きい機能を先に試す。
  • 境界値・例外操作の確認入力文字数の上限、空欄、通信切断、二重送信など通常と違う条件を組み合わせて不具合を探す。
  • 自動テストと回帰テスト修正前後の機能を試験スクリプトで繰り返し、直した箇所の近くに別の問題が出ていないか確認する。
  • 不具合の再現手順の記録発生した端末・OS・操作手順・期待結果・実際の表示を記録し、開発担当が同じ現象を再現できるようにする。
  • 使いやすさと公開判定の支援読み上げ機能や大きな文字での操作を試し、残る不具合の重大さを開発責任者と整理する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 定型テストケースと試験データ生成 確からしさ:高 入力条件から多数のテストを作り、同じ処理を繰り返す作業は自動化が進む。
  • 画面変更後の回帰テスト 確からしさ:高 過去の操作記録と自動試験から、改修で変わった箇所の検査を継続実行しやすい。

AIと協働

  • 不具合の発生条件の探索 確からしさ:中 AIは異常な振る舞いを見つけるが、複数の端末や通信状況でなぜ再現するかを確かめる必要がある。
  • リスクに基づく公開判断の材料整理 確からしさ:中 AIは失敗頻度と影響範囲を見積もれるが、残った不具合を受け入れるかは責任者が決定する。

人が中心

  • アクセシビリティと利用者の検証 確からしさ:高 読み上げの順序や手間が実際の利用者にとって負担かどうかは、利用場面を聞いて評価する必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、テストエンジニアの一日(架空)

地域バスの定期券を更新するアプリに、新しい音声案内機能が加わった。公開前の検証室で、二十代のテストエンジニア理奈は、小さな文字が苦手な利用者を想定してスマートフォンの表示を最大にする。画面の文字は大きくなったが、「次へ」のボタンが画面の下へ隠れた。AIが行った通常の動作試験では見つからなかった問題だ。

理奈は操作画面を記録し、端末の種類、文字サイズ、押した順番を不具合票に書く。さらに読み上げ機能を使うと、定期券の有効期限より先に購入ボタンが読まれた。音声だけで操作する人には、期限を確認する前に手続きが進んでしまう。彼女はどちらも再現できる短い手順を作り、開発者へ送った。

午後、修正された版が届く。自動テストは全件成功と表示した。それでも理奈は通信が弱い場所を模した装置につなぎ、更新ボタンを二度押す。画面は一瞬止まったが、購入記録は一件だけ残った。担当者が前夜に直した重複処理が、別の不具合を生んでいないことも確かめた。

夕方の判定会議では、不具合票に「重大」「軽微」という二つの印を付けるだけでは終わらない。理奈は音声操作の実演を見せて、何が不便なのかを説明する。公開を決めるのは担当責任者だが、その判断の前に、誰のどんな使い方を試したかを伝える。画面が動くことと、安心して使えることは同じではない。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約579万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
厚生労働省job tag『デバッグ作業』に対応づけられた『その他の情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)』等の職業分類に属する雇用労働者。QAエンジニアだけの集計ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 578.5万円はjob tag『デバッグ作業』の2025年全国年収で、ページの職業別名にQAエンジニアも含まれるが、専業テストエンジニアだけの平均ではない。
  • 統計の分類にはソフトウェア開発に関わる他の技術者も含まれ、ゲームの短期テストアルバイトの典型年収を示すものでもない。
  • 同ページの令和7年度ハローワーク求人賃金月額34.4万円は求人時の額で、年収の平均とは母集団と算定方法が違う。
  • 設計・自動化・品質保証に責任を持つ社員と、確認操作を中心に担当する有期雇用者では仕事内容・待遇に差がある。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 自動試験と生成AI下がる方向

    決まった操作を何度も試す仕事は、機械が得意になります。

    大人向けの詳しい説明

    IPAがAIによるテスト・テストデータ作成をソフトウェア開発の活用場面として示しており、反復検査の工数は減少し得る。

  • ソフトウェアの複雑化上がる方向

    いろいろな機械やアプリがつながるほど、確かめる条件も増えます。

    大人向けの詳しい説明

    OS更新、複数端末、機器連携などで回帰検査と組合せ検査の対象が広がる可能性がある。

  • 使う人に合わせた品質確認上がる方向

    文字の大きさや音声案内を変えても使えるか確かめます。

    大人向けの詳しい説明

    操作環境の異なる利用者によるアクセシビリティ検証は、単なる画面一致では十分に評価しきれない。

  • テスト発注方式と雇用形態どちらにも動きうる

    外注の値段や働き方が変わると、給料にも差が出ます。

    大人向けの詳しい説明

    多段階の委託や短期契約では単価が抑えられ、独立性と責任を求める高難度の品質保証には追加の予算がつく場合もある。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 自動テストが広く普及

    条件ソフトウェアの生成と同時にAIがテストケースを作り、定型的な操作検査を大部分自動実行する。

    起きそうなこと手順書に沿って操作するだけの担当者の仕事は減るが、自動試験に含まれない条件を考える役割は残る。

  2. 複雑な機器と公共サービスの品質重視

    条件医療・交通・公共サービスのソフトウェアで、利用者の多様性や障害時の説明責任が重視される。

    起きそうなこと利用者の困りごとを踏まえたテスト設計や独立した品質保証の専門家の役割は大きくなり得る。

  3. 低価格の開発サービスとの競争

    条件開発会社が世界各地の自動テストサービスを購入し、試験費用の圧縮を優先する。

    起きそうなこと検査案件が増えても単価競争が強まり、経験や責任範囲で報酬の差が拡大する。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

厚生労働省job tagは、プログラムの単体・結合・総合テストと、修正後の確認が開発に欠かせないと説明している。IPAも2026年9月更新の資料でAIによるテストとテストデータ作成を挙げており、試す方法は大きく変わると考えられる。

新しいサービスの増加は検査対象を広げる一方、定型試験の自動化で同じ量の確認を少人数で進められる。公共サービスや多様な端末に関わる品質保証は重要になるとみるが、テスト専業者全体の需要は横ばいを中心に置き、顧客の投資意欲と自動化の進み方で幅を持たせる。

働き方

ソフトウェア開発会社、デバッグ専門会社、製造業の品質部門などで働く。テストセンターで端末を並べて試すほか、許された環境で遠隔操作や自動テストを実行する。開発担当から独立した立場で品質を確認する場合もある。

通常は日勤でも、発売直前の試験やOS更新への対応は作業が集中する。機密性の高い製品は持ち出しが制限され、自宅で試せない場合がある。正社員としてテスト設計を担う仕事と、短期間の操作確認を行う仕事では経験・雇用条件が異なる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校で情報とプログラムの動きを学ぶ情報Ⅰなどで条件分岐、入力の上限、通信の仕組みを知り、小さなアプリの例外操作を考える。就業に必須の国家資格はない。
  2. 大学・専門学校・実習で開発と検査を経験する大学の情報系学科(一般に4年)や専門学校、職業訓練などでプログラミング、ソフトウェア設計、テスト手法を学ぶ。学歴だけで就業資格が決まる仕事ではない。
  3. テスト実務を重ね、任意の資格に挑戦する不具合報告や自動試験の経験を積み、必要に応じJSTQB認定テスト技術者資格Foundation Level(選択式40問、60分)などで知識を確認する。受験・合格は法的な就業条件ではない。

今から伸ばしたい力

  • 仕様書から失敗の条件や境界値を具体的に書き出す力
  • 単体・結合・総合テストの目的と違いを理解する力
  • 不具合を他人が再現できる順序と環境で記録する力
  • 自動テストの結果が示していない利用条件を見抜く力
  • 読み上げ機能や文字サイズなど利用者の環境を試す力

出典と前提

最終確認日
2026年10月30日

出典

予測の前提

  • 2050年も多様な端末と公共サービスでソフトウェアの更新と品質確認が続く。
  • AIはテストの作成や実行を支援するが、すべての利用者の状況を網羅するわけではない。
  • 品質保証の予算や雇用形態の違いが、担当者の収入と必要人数の差を生む。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。