専門・ビジネス

マーケティング・リサーチャー

まーけてぃんぐ・りさーちゃー

新商品や広告について、誰が何を求め、どこで迷うのかを調べる専門職。質問票や面接を設計し、集めた回答の偏りを点検し、統計分析から企業の判断材料をつくる。

女性のマーケティング・リサーチャーが、調査協力者に商品の使い方や好みを尋ね、回答を手元の用紙に記録している。
ほかの職業とくらべる

はじめに

お店に新しいお菓子を置く前に、「どんな味が好き?」「買うときに何を大切にする?」と調べる仕事です。アンケートやインタビューを考え、集めた答えにかたよりがないか確かめます。数字を数えるだけではなく、なぜそう答えたのかを探り、商品をつくる人に伝えます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約737万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
標準的な集計の外注単価が下がるため実質報酬には弱い下押しを見込む。標本設計や対面調査の技能が稀少でも、発注企業がその価値を価格に反映しなければ賃上げには直結しない。
需要
job tagにある定型的なインターネット調査・集計はAI等の道具で省人化しやすい。一方、対面観察・調査倫理・偏りの検証は残り、企業の外注方針次第で需要は変わる。
人による差
人による差が広がる

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今のマーケティング・リサーチャーの仕事

今
  • 調査課題・対象者の設計依頼主の仮説を整理し、年代・地域などの対象者条件、必要回答数、調査方法を決める。
  • 質問票の設計と事前テスト誘導的な聞き方や二つの質問が混ざる設問を直し、少人数で回答にかかる時間を試す。
  • グループインタビューの進行参加者が互いの発言に流されないよう配慮しながら、商品を選ぶ理由を深く聞く。
  • 回答の集計・標本偏りの検証重複・不自然な回答を調べ、年齢層や地域の構成を確かめたうえでクロス集計する。
  • 調査報告書と発注者への説明調査時期・方法・不確実性を明記して結果を図表にまとめ、意思決定者へ説明する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 自由回答の仮分類 確からしさ:高 大量の文章から話題や感情の候補を整理する作業は自動化しやすい。ただし文脈の読み違いは標本で検査する必要がある。
  • 統計処理とグラフ原案 確からしさ:高 集計表や検定の計算はソフトで自動化が進む。一方、標本を代表的とみなせるかは別の検討がいる。

AIと協働

  • 調査票の偏り検査 確からしさ:高 AIは誘導語や重複設問を検出できるが、調査目的に沿う問いに直すのは担当者と発注者が判断する。

人が中心

  • 対面インタビューと追加質問 確からしさ:中 言いよどみや実物を使う場面から疑問を見つけ、安心して話せるよう聞き直す過程は人間が担う可能性が高い。
  • 結論の適用範囲の説明 確からしさ:高 小規模調査から全国の購買傾向を言い切る危険を説明し、発注者が取るリスクを共に考える責任は人に残る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、マーケティング・リサーチャーの一日(架空)

試食用の小さなカップが、机の端で止まった。都市近郊の調査室で働く二十代の葵は、試作品のスープを見つめる参加者の手元を見ていた。食品会社は、一人暮らしの人向けに容器を小さくした商品を出すか迷っている。事前アンケートでは「買いたい」が多数だったが、実際に試すと反応が鈍い。葵は発言を急がせず、「開けるときに困ったことはありましたか」と尋ねた。

参加者は味ではなく、ふたの縁がつかみにくいと話した。画面の自動分析は「風味への不満」と分類していたが、録画を見直すと、参加者は容器の扱いに戸惑っていた。葵はその場で「味」「量」「開けやすさ」を分けた追加質問を用意し、事前に同意した範囲だけで回答を記録した。高齢者からの回答が多く、若者の意見が少ないことも集計画面に表示されている。

午後は小売店の棚を訪れ、実物の陳列高さと値札の見え方を確かめた。自動集計では購入希望の比率が上がっていたが、調査の参加者はすでにこの商品に関心のある人が中心だった。葵は全国の販売数を直接予測するには無理があると判断し、「小規模の店頭テストを先に行う」と提案する。企業の担当者は早い発売を望んでいたが、結論を急いで大きな在庫を抱えるより安全だ。

夕方、葵は報告書に見栄えのよい円グラフを一枚減らし、回答者の構成と調査方法を先頭に置いた。「多くの人が好む」とはまだ書かず、「今回試した人では」と言葉を直す。最後に、ふたを開けるときの手元の映像を発注者に見せた。数字だけでは見逃した小さな不便が、次の試作品を変える手がかりになった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約737万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「マーケティング・リサーチャー」が属する企画・調査事務員等の職業分類に対応する雇用労働者
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tagの全国年収736.8万円を円換算したもので、マーケティング・リサーチャー単独の平均ではない。
  • 統計の対応先は企画・調査事務員等を含み、調査会社の若手職員だけの報酬を表さない。
  • 大手企業の企画部門と調査会社、役職、都市部・地方では給与水準が異なる。
  • 独立した調査コンサルタントの事業売上・経費控除後所得を示す数字ではない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 自動集計と自由回答の分類下がる方向

    たくさんの回答を数えたり分けたりする仕事は、機械が早くできるようになります。

    大人向けの詳しい説明

    定型調査の作業単価は下がりやすく、価格競争が調査会社の人件費に及ぶ可能性がある。

  • 調査対象者の偏りを検証する技能上がる方向

    本当にいろいろな人の意見を聞けたかを確かめる力が、もっと大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    AI生成回答や特定層への偏りを見抜き、結論の適用範囲を説明できる人材の希少性が高まる可能性がある。

  • 回答者の同意と個人情報管理どちらにも動きうる

    答えてくれる人の情報を守るために、ていねいな調べ方が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    2025年改訂の業界綱領ではAI・ビッグデータと個人情報への対応が強化された。遵守費用が増す一方、信頼性の差別化要因にもなる。

  • 発注企業の新商品開発予算どちらにも動きうる

    新しい商品をつくる会社が調査にお金をかけるかで、仕事の量が変わります。

    大人向けの詳しい説明

    景気が弱い局面では調査費が削られやすく、企業内製化と専門会社への外注の配分も影響する。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 生活者との調査を重視する市場

    条件商品開発企業が実利用テストと調査倫理の検証に継続費用を払う。

    起きそうなこと回答の背景まで追える経験者への依頼が残り、専門性を評価する企業では実質報酬が維持・上昇する。

  2. 自動調査が単純な集計を置き換える

    条件アンケート生成から分類・集計まで低コスト化し、簡易レポートを社内でつくる会社が増える。

    起きそうなこと定型集計の外注費が下がり、調査専業の初級業務や求人の数が減る。

  3. 個人情報保護と調査協力が壁になる

    条件回答者の同意取得が難しくなり、AI生成回答の混入や標本偏りを見抜く費用が上がる。

    起きそうなこと信頼できる調査設計の需要は残るが、実施費用増に見合う価格を請求できるかで報酬差が開く。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

簡易アンケートの集計や似た回答の分類は、自動化による人手の削減が進むと考えられる。job tagでもインターネット調査と統計ソフトの活用が基本業務とされており、定型レポートだけを提供する職場では採用数が減る可能性がある。

ただし消費者が商品を手に取ったときの反応、調査への同意、どの人に聞けていないかの判断には現場の知識が必要だ。少子高齢化や地域間の購買習慣の差もあり、偏りの少ない調査を設計できる担当者は一定数求められる。

働き方

調査会社やメーカーの企画・調査部門で、質問票づくり、表計算・統計ソフトによる分析、報告書作成を行う。オンライン調査は遠隔で進められるが、訪問面接や商品使用テストでは現地へ出向く。

調査対象者が集まれる夕方や週末に面接を実施することがあり、案件の締切前は勤務時間が延びやすい。都市部への職場集中が続く場合でも、地方の暮らしを理解する調査者には出張機会が残る。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 大学などで社会調査と統計の基礎を学ぶ法定の学歴・資格要件はないが、job tagでは大学卒が多いとされる。社会学、経済学、心理学、情報科学などで質問票の設計と統計を学べる。
  2. 社会調査士などの学習を活用する認定資格「社会調査士」は関連資格の一つで、必須ではない。大学の対応科目など所定の教育・認定条件を確認する。
  3. リサーチ会社や企業企画部門で調査を経験する調査票の予備調査、集計、面接同席などから経験を積み、発注者への報告と調査倫理まで担当範囲を広げる。

今から伸ばしたい力

  • 標本の抽出方法と偏りを理解し、集計結果を過大に一般化しない力
  • 回答を誘導しない質問票と選択肢を作る力
  • 参加者の沈黙や言いよどみを尊重して深掘りする面接技能
  • クロス集計や基本的な統計検定を検算する力
  • 調査協力者の同意と匿名性を守って情報を扱う倫理観

出典と前提

最終確認日
2026年11月2日

出典

予測の前提

  • 簡易な集計や自由回答の整理は、調査品質を担保できる範囲で自動化が進む。
  • 市場調査への参加と回答者の情報保護には引き続き同意・信頼の確保が求められる。
  • 調査予算と調査専門職の賃金配分は企業や地域によって異なる。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。