専門・ビジネス

社会保険労務士

しゃかいほけんろうむし

企業の雇用保険・健康保険・厚生年金の手続きを代行し、就業規則、労働時間、賃金、育児休業など働く人に関わる制度を助言する国家資格の専門家。労働・社会保険の法律を読み、会社と従業員が適切に手続きを進められるよう支える。

企業との打ち合わせで、女性の社会保険労務士が社会保険の手続き資料を示し、人事担当者に説明している。
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はじめに

会社で働く人が安心して給料をもらい、病気や育児などのときに必要な制度を使えるように支える仕事です。保険の手続きをしたり、休みの決まりを確認したりします。会社が新しい働き方を始めるとき、法律に合っているかを調べ、社長にも従業員にも分かる言葉で説明します。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約1,135万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
保険の定型届出の電子化は代行報酬を下押しする一方、育児・介護を含む労務制度の設計には専門性が残る。相談に移れない事務所の価格競争を重く見て、実質収入は小幅減を中心とした。
需要
少子高齢化や働き方の多様化は労務管理の相談を支えるが、資格届出の自動化と中小企業の顧問料負担は必要人数を抑える。相談増と書類代行減の相殺で需要は横ばいとみる。
人による差
人による差が広がる

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今の社会保険労務士の仕事

今
  • 雇用保険の資格取得・喪失手続入退社の届出に必要な情報を確認し、事業主に代わってハローワークへの雇用保険関係手続きを進める。
  • 健康保険・厚生年金の手続被保険者の資格取得や標準報酬月額の変更など、年金事務所等へ提出する資料を整える。
  • 就業規則と労使協定の点検労働時間・休日・賃金規程と36協定(時間外労働の約束)を確認し、制度に合う文書へ整える。
  • 育児休業・介護休業の相談休業取得時の手続きと保険料・給付の扱いを調べ、従業員が制度を利用しやすいよう企業に助言する。
  • 労務管理と労働相談の支援採用・配置・退職や勤怠記録の問題について、労働法令と就業規則に沿う対応を整理する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 保険資格の届出書作成と転記 確からしさ:高 入退社の台帳と給与システムを連携すれば、定型届出の入力や書式検査は自動化しやすい。

AIと協働

  • 勤怠記録と36協定の照合 確からしさ:中 シフトや残業時間の違反候補は検出できるが、実労働時間の実態と例外を確認する必要がある。
  • 就業規則の法改正対応と改訂案 確からしさ:高 法改正の差分や条文候補は提示できるが、事業所の働き方に合うかは顧問社労士が確かめる。

人が中心

  • 育児休業と復職計画の個別相談 確からしさ:中 給付の条件は自動照会できても、本人の希望と職場の業務を両立させる提案には対話が必要だ。
  • 労使間の紛争予防と協議支援 確からしさ:中 当事者の受け止め方や信頼関係を考慮し、関係者へ説明する責任は専門家の仕事として残る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、社会保険労務士の一日(架空)

市内で小さな花の配送会社を営む社長から、早朝にメッセージが届いた。配達員の一人が育児休業に入りたいという。20代の社会保険労務士・由衣は、その人の加入記録と勤務予定を確認した。申請の仕組みは給付金の必要資料を一覧にしてくれたが、会社が相談したいのは書類の作り方だけではない。朝の配達を誰が担当し、復職後はどんな時間で働けるのか。由衣は社長と面談する約束を入れた。

午前中、配送拠点では、花を積み込む短時間勤務の人たちが交代で働いていた。由衣は勤怠記録と就業規則を比べ、時差出勤の扱いが曖昧な部分に気づく。自動点検は残業時間に警告を出していなかったが、荷物の引き渡しを待つ時間が記録に入っているかは別の問題だった。現場の責任者に実際の一日の流れを聞き、どこからが仕事の時間なのかを一緒に確かめる。

昼過ぎ、由衣は社長と休業予定者を別々に迎えた。給付制度の説明に続けて、休業前の引き継ぎ、復職した後の勤務時間、ほかの配達員への負担をどう減らすかを整理する。社長が「制度は分かったが、現場が回るか心配だ」と言うと、由衣は短時間勤務に対応したシフト案を広げた。会社が決めることと、本人と相談すべきことを区別して伝える。

夕方には、電子申請の下書きを点検した。入力漏れは自動で見つかる時代だが、本人が本当に望む働き方は数字だけでは分からない。由衣は翌週の社内説明会に向け、育児休業の案内と労働時間の記録方法を短い資料にまとめた。帰り際、花の箱が積まれた作業台を見て、決まりを守ることが人の生活と仕事の両方を守るのだと改めて感じた。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約1,135万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「社会保険労務士」に対応する「社会保険労務士」等の職業分類の雇用労働者。独立事務所の事業主所得を含まない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag「社会保険労務士」職業詳細に掲載された2025年全国年収1,134.6万円を11,346,000円に換算した。
  • 対象は賃金構造基本統計調査の対応職業分類に属する一般労働者であり、すべての資格登録者の平均ではない。
  • 独立開業者の顧問契約の売上・事務所経費を差し引いた所得は、この賃金データには含まれない。
  • 求人の月額賃金、開業直後の収入、企業勤務者の賃金と同一視できず、勤務先・役割による差が大きい。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 保険・労務手続の電子化下がる方向

    入社や退職の届出を機械でできると、書類だけの仕事は減ります。

    大人向けの詳しい説明

    雇用保険・社会保険の届出と勤怠の連携が進むと、代行業務の作業時間と価格は下がりやすい。

  • 育児介護と多様な勤務時間上がる方向

    一人ひとりに合った休みや働き方を考える相談は続きます。

    大人向けの詳しい説明

    高齢化と育児・介護による就業調整は、労働時間制度、休業給付、復職支援など複合的な助言を求める。

  • 中小企業の顧問料負担どちらにも動きうる

    小さな会社は相談したくても、お金の使い方を考えなければなりません。

    大人向けの詳しい説明

    中小事業者の経営余力と地域の事業所数が顧問契約の件数・単価を左右する。

  • 労働法改正と専門資格上がる方向

    働く時間や保険の決まりが変われば、新しく学んで説明する人が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    労働・社会保険諸法令と資格制度が継続する限り、法改正への対応、制度の解釈、事業所ごとの助言には需要が残る。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 働き方の複雑化で相談が増える

    条件育児介護、短時間勤務、複数就業などの制度調整に専門相談が必要で、会社が労務管理への投資を続ける。

    起きそうなこと高度な就業規則の設計や個別の相談を扱う事務所は専門報酬を確保しやすい。

  2. 定型届出が自動化される

    条件企業の給与・勤怠情報と行政手続が連携し、保険資格の届出を自動で済ませられる。

    起きそうなこと書類代行だけの契約は価格が下がり、制度設計や対話の仕事へ移る。

  3. 中小企業の支出余力が縮む

    条件地方の事業者数が減少し、顧問料の値下げや契約の集約が進む。

    起きそうなこと定型業務を主にする小規模事務所の収入は下がり得る。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

社会保険労務士は、労働・社会保険の届出だけでなく、就業規則、36協定、休業・復職や賃金制度について企業を支援する。高齢化や多様な勤務形態は、人によって異なる制度を実際の職場で使うための相談を増やす可能性がある。

ただし、保険の資格取得・喪失などは電子化が進むほど自動処理しやすくなる。小さな会社の顧問料負担や地域の事業所数も需要に影響するため、専門相談の増加と定型届出の縮小が相殺され、人員需要は横ばいを中心と判断した。

働き方

社会保険労務士事務所の勤務者、企業の人事労務担当、独立開業の顧問社労士など働き方が分かれる。顧問先の入退社や年度更新時期には書類が集中し、就業規則の改訂では経営者や従業員から話を聞く必要がある。

給与・勤怠データの点検や電子申請は遠隔で進められる一方、職場の実態を知る面談は訪問する場合もある。独立事務所では契約先の数、担当する専門分野、法改正への対応力により収入が変わる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 試験の受験資格を確認して法律を学ぶ大学・短大・高専などの学歴、所定の実務経験、他の国家資格などによる受験資格を確認し、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、年金法を学ぶ。
  2. 社会保険労務士試験と登録要件を満たす年1回の社会保険労務士試験に合格し、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事するか、事務指定講習を修了した上で連合会の名簿登録と都道府県会への入会を行う。
  3. 就業規則と社会保険の実務を経験する企業の人事部門や社労士事務所で勤怠点検、電子申請、制度説明を担当し、必要に応じて紛争解決手続代理業務に関する研修・試験などの専門分野を深める。

今から伸ばしたい力

  • 雇用保険・健康保険・厚生年金の加入要件を読み取る力
  • 就業規則や36協定と実際の勤怠の違いを確認する力
  • 育児休業給付や復職時の制度を本人に分かりやすく説明する力
  • 労働者と経営者の意見が異なるとき双方の話を聴く力
  • 法改正と行政の電子申請に合わせて実務を更新し続ける力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 2050年も社会保険労務士資格と労働・社会保険に関する事業者の義務が継続すると仮定する。
  • 定型的な行政手続は電子化が進む一方、職場ごとの制度の設計と対話は残ると仮定する。
  • 中小企業の数と経営余力の地域差により、顧問契約の単価や仕事量の差が大きいと仮定する。

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