ものづくり・研究

建具職人

たてぐしょくにん

住宅や店舗の引き戸、開き戸、障子、ふすまなどを木材から製作し、建物に取り付ける仕事。採寸から木取り、ほぞ加工、組み立て、金物の調整まで担い、開閉の軽さやすき間を整える。

建具工房で、男性の建具職人が、作業台に固定した木製の格子枠に鉋をかけ、部材の合わせ面を整えている。
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はじめに

部屋の入口の引き戸や開き戸、障子、ふすまを作って取り付ける仕事です。木の板を切り、かんなで削り、組み合わせて戸を作ります。でも、戸は作っただけでは完成しません。建物の入口に合わせて少しずつ調整し、軽く開いてきちんと閉まるようにするのも大事な仕事です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約434万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
規格建具の量産加工は自動化で価格が下がりやすい一方、古い建物の現場採寸と建て付け調整には技能への対価が残る。材料費と独立工房の交渉力によって差が開き、実質収入は横ばいを中心とする。
需要
新築の戸数と規格品の加工人数は減る可能性があるが、既存住宅の修理・建具交換は残る。地域の和室と建物の改修需要で差が出る。
人による差
人による差が広がる

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今の建具職人の仕事

今
  • 開口部の現場採寸戸を取り替える場所の幅、高さ、柱の傾きを測り、建具の寸法と納まり方を決める。
  • 木取りと木工機械加工木材の反りや木目を見て材料を切り出し、機械やのみで戸の枠の溝、穴、接合部を加工する。
  • 框(かまち)と組子の組み立て引き戸の外枠である框や障子の細い組子を合わせ、接着や組み継ぎで形にする。
  • 表面仕上げと建具金物の取り付けかんながけや塗装で表面を整え、丁番、引き手、戸車などを取り付ける。
  • 現場での建て付け調整・補修取り付け後に戸の当たりとすき間を確かめ、かんなや調整ねじで開閉の重さを直す。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 戸の設計寸法と加工図の作成 確からしさ:中 採寸データから枠の寸法や加工図を作る処理は自動化に向く。ただし古い家の柱の傾きは現物で確かめる必要がある。

AIと協働

  • NC木工機での溝と穴の加工 確からしさ:高 木工機械の数値制御は既に使われているが、木目や反りに応じた固定方法と仕上がりの確認が欠かせない。
  • 丁番・戸車の交換候補の特定 確からしさ:中 形状写真と部品台帳から交換候補を選ぶ道具は助けになるが、現物の摩耗と互換性は作業者が確かめる。

人が中心

  • 障子の組子と木の表情の選別 確からしさ:中 細い部材の組み合わせでは、木目をそろえる感覚と傷を避ける判断が製品の印象を左右する。
  • 古い家の引き戸の建て付け直し 確からしさ:高 柱や敷居が少し傾いた現場で、戸車と戸の当たりを調整するには、その場で動きを確かめる必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、建具職人の一日(架空)

「閉めると、最後のところで引っかかるんです」。改修中の古い家で、住人が一枚の引き戸を押してみせた。五十代の建具職人、隆志は敷居に細い定規を当て、戸を外して戸車の摩耗を確かめる。採寸端末は新しい戸への交換を勧めているが、枠の木目はまだ美しく、住人もできれば使い続けたいという。

工房に戻ると、隆志は戸を作業台へ寝かせた。下框の一部をかんなで少しずつ削り、同じ寸法の戸車が手に入るか部品台帳を調べる。画面に候補が三つ出たが、軸の位置が微妙に違う。現物を並べ、敷居との高さを測ってから一つを選んだ。夕方の取り付けまでに間に合わせるため、木屑を掃きながら黙々と手を動かす。

昼過ぎには、新築住宅用の障子の組子を確認する仕事もあった。切り出した細い材の木目が一部分だけ濃く、機械は問題なしと記録していた。隆志は光の当たる面をそろえて組む位置を入れ替える。障子紙を張れば分からないかもしれない。それでも、長く使うものを開け閉めする人の目には違って見えると思った。

改修現場で直した戸を敷居に戻し、静かに引く。最初は少し重かったが、戸車の高さを調整するとすっと滑った。住人がもう一度自分で開け、「これなら毎日使えそう」と笑う。帰り道、隆志は工房の若い職人に、古い建物は図面の直角どおりにならないことを伝えようと考えた。設計図ではなく、最後の数ミリを手で見つける仕事が今日もあった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約434万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「建具製造」が属する「木製品製造工」等に対応する雇用労働者。建具職人だけの平均ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 建具製造のjob tagに掲載された2025年全国年収434.2万円を円にした。
  • 同じ木製品製造工の分類には製材なども含まれるため、建具職人専用の平均値ではない。
  • 工場内の量産加工と現場での建て付け調整、独立工房では収入の仕組みが異なる。
  • 独立した建具店の売上には材料費・設備費が含まれ、会社員の額面年収とそのまま比較できない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 既存住宅の引き戸・障子の改修上がる方向

    古い家の戸を直して使い続ける人がいれば、建具職人の技が役に立ちます。

    大人向けの詳しい説明

    建て付けの調整は建物のゆがみに合わせた現場作業が必要で、規格建具の製造とは別の需要を生む。

  • 規格品のNC加工と量産下がる方向

    同じ形の戸をたくさん作る作業は、機械が担当する部分が増えます。

    大人向けの詳しい説明

    工場の生産性向上が量産担当者の人数を抑え、加工単価を押し下げる可能性がある。

  • 戸車・丁番と木材の仕入れどちらにも動きうる

    部品が手に入りやすければ直せますが、古い部品がなくなると工夫が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    調達コストの上昇は利益を圧迫する一方、互換部品の選定や修理技能の価値を押し上げる場合もある。

  • 採寸から取り付けまでの一貫対応上がる方向

    家の入口に合わせ、作るだけでなく最後まで取り付けられる人は頼られます。

    大人向けの詳しい説明

    製造と施工調整を一人で担える職人は、現場の手戻りを減らせるため価格交渉の材料を持ちやすい。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 修理・改修需要が技能を支える

    条件古い住宅の引き戸や障子を取り替えずに使う需要が続き、現場採寸と建て付け調整を依頼する人がいる。

    起きそうなこと現場で仕上げられる熟練職人の価値は高まり得るが、注文の単価が十分に上がるかは別問題となる。

  2. 規格建具の工場製造が進む

    条件新築住宅の建具が規格品へ集約され、工場のNC木工機が加工を担う。

    起きそうなこと同じ戸を大量に作る作業の人員は減り、個別注文と施工調整へ仕事の重心が移る。

  3. 木材と金物の調達が難しくなる

    条件特殊寸法の戸車や木材が入手しにくくなり、交換部品と材料費が上がる。

    起きそうなこと修理の技術があっても原価と納期が負担になり、独立工房の利益を圧迫する可能性がある。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

人口減少で新築の戸数が伸びにくくなっても、既存住宅や店舗の引き戸、障子、ふすまの修理と交換は続く。ゆがんだ開口部の採寸と建て付け調整は、規格寸法の戸を量産する仕事と異なる。

ただし新築向けの規格建具は工場加工に集まりやすく、加工機械の自動化は必要人数を減らす。地域の住宅の古さ、和室の需要、工房の後継者数で仕事量は大きく異なるため、全国ではおおむね横ばいを中心とし、修理中心の地域には上向く余地がある。

働き方

木製建具の工房や建具メーカーで木材を切断・組み立て、改修中の家や建築現場へ赴いて取り付ける。工房では木くずや騒音への対策が必要で、現場では採寸と運搬を行う。

正社員として製造を担当する人のほか、家族経営や独立工房で注文を受ける人もいる。修理の依頼と新築の納期が重なる時期には予定が変わりやすい。地方では和室の修理が中心になり、都市部では店舗や住宅の特注建具の注文が多い場合もある。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 学校や職業訓練で木工を学ぶ建具職人になるための学歴や免許は必須ではない。高校の木工分野や建具の職業訓練で、材料、刃物、図面、安全を学べる。
  2. 建具工房で加工と取り付けを覚える木材の切断・組み立てから始め、現場での戸車や丁番の調整、障子の組子、修理へ仕事の範囲を広げる。
  3. 技能検定「建具製作技能士」を目指す厚生労働省の技能検定には1級・2級の建具製作技能士があり、受検資格に応じて技能を証明できる。入職に必須ではない。

今から伸ばしたい力

  • 開口部の傾きとすき間を測る採寸力
  • 木目・反りを読んで木取りする観察力
  • のみ・かんな・木工機械を使い分ける加工技能
  • 丁番・戸車・引き手を調整する建て付け技能
  • 戸を使う人から不具合を聞き取り、改修方法を説明する力

出典と前提

最終確認日
2026年11月1日

出典

  • 建具製造|職業詳細(厚生労働省 job tag)、2026年11月1日取得 建具の加工・据付・調整、技能検定と2025年年収434.2万円を確認

予測の前提

  • 2050年にも戸や障子を修理して使う住宅・店舗が残る。
  • 規格建具の加工は自動化が進むが、既存建物には採寸・取り付けの差が残る。
  • 木材や建具金物の調達費と、職人の技術への支払いは地域・注文によって異なる。

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