スポーツ

調教師・厩舎スタッフ

ちょうきょうし・きゅうしゃすたっふ

競走馬の健康管理、飼料や寝わらの準備、運動・調教、馬房の清掃、競走へ向けた日々の管理を行う。厩舎スタッフは調教師の方針のもとで馬を世話し、調教師は免許を得て厩舎の管理責任を担う。馬の動きや食欲の小さな変化を読み取る力が必要な仕事。

厩舎で、男性スタッフが馬の首にブラシをかけ、落ち着いた様子を確かめながら日々の手入れをしている。
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はじめに

競走馬が元気に過ごして力を発揮できるよう、朝早くから馬の世話や運動をする仕事です。厩舎スタッフはえさ、馬房のそうじ、体調の確認を担当します。調教師は馬ごとの練習計画を考え、厩舎全体を管理します。どちらも馬の様子を毎日よく観察します。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約361万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
飼養技術の価値は残る一方、雇用スタッフの給与は厩舎の経営費と馬の成績に左右される。事業者である調教師の収入と混ぜず、スタッフの実質所得は横ばいを中心とする。
需要
馬の対面ケアは不可欠だが、給餌・運動記録の効率化と厩舎の経営条件により配置人数が減る可能性がある。競馬開催の規模次第で上振れもある。
人による差
人による差が広がる

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今の調教師・厩舎スタッフの仕事

今
  • 馬房の清掃と飼料・水の管理馬房を清潔に保ち、担当馬の飼料量と飲水、食べ残しを記録する。
  • 馬体と歩様の観察脚の動き、体温、食欲や表情の変化を確認し、異常が疑われれば調教師や獣医師に伝える。
  • 調教・運動の補助調教師の計画に従い、準備運動や馬の引き運動、運動後の手入れを行う。
  • 馬具と施設の安全点検鞍、手綱、馬房の扉や通路を点検し、馬と人が安全に動ける環境を整える。
  • 競走への準備と情報共有競走日程や移動予定に合わせて健康状態、装備、日々の調教記録を関係者と共有する。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 運動データの記録・傾向分析 確からしさ:高 センサーの数値を時系列で比較して変化を知らせる処理は機械が得意だ。

AIと協働

  • 飼料・給水の量の調整案 確からしさ:中 摂取量の記録は自動化できても、食欲や体調の変化を見て判断する必要がある。
  • 調教負荷の計画と修正 確からしさ:中 過去の運動記録を参考にしながら、調教師と獣医師が当日の状態に応じて調整する。

人が中心

  • 馬の性格に応じた日常ケア 確からしさ:高 音や接触への反応、ストレスの兆候を読み取り丁寧に扱うことが求められる。
  • 競走馬の安全と福祉の最終判断 確からしさ:高 運動の中止や健康管理の判断では馬を直接見る専門家が責任を負う。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、調教師・厩舎スタッフの一日(架空)

夜明け前の厩舎で、亮は担当する馬の飼料箱を静かに確かめた。いつもならすぐに顔を寄せてくる馬が、今日はしばらく首を上げない。体調を知らせる端末には目立つ警告がないが、亮は食べ残しの量と昨夜の飲水記録を見比べる。小さな違いを見逃したくない。調教師に連絡し、予定していた運動を始める前に様子を一緒に確認することにした。

朝の作業が始まると、ほかの馬は順番に運動へ向かう。亮は担当馬の歩き方を通路で観察し、脚の運びが普段と少し違うことを伝えた。調教師は無理に調教を続けず、獣医師に確認を依頼する。センサーの記録には細かな差しかない。それでも、触れたときの反応や立ち止まる位置には毎日見ている人だから気づく変化がある。

昼の休憩後、亮は馬房の寝わらを新しくし、馬具を洗って乾かす。端末には翌日の運動予定が届くが、今日は獣医師の確認結果を待って変更することになった。若いスタッフが「数字が正常でも休ませるのですか」と尋ねる。亮は、数値は馬の様子を知るための一つの材料であり、食欲や歩き方も合わせて考えると答える。いつでも同じメニューをこなすことがよい調教とは限らない。

夕方、調教師から無理のない運動に切り替える指示が出た。亮は飼料の記録と観察した内容を共有し、次の担当者へ注意点を引き継ぐ。今日の仕事は速く走らせることではなく、いつもと違う様子に早く気づくことだった。厩舎の戸を閉める前に馬が静かにえさを食べ始めたのを見て、亮は明朝も同じように一頭ずつ確かめようと思った。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約361万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「厩舎スタッフ」に対応する「動物飼育員(家畜・家きんを除く)」等の一般労働者。調教師の事業所得は含まない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 本記事は「調教師・厩舎スタッフ」の複合職種だが、年収は雇用職である厩舎スタッフに近いjob tag全国360.8万円を代表値として採用した。
  • これは厩舎スタッフだけでなく動物飼育員なども含む広い分類の統計である。実際の厩務員の給与水準を直接示すものではない。
  • 調教師は調教師免許を持って厩舎を経営する立場となる場合があり、賞金に連動する報酬・事業経費があるため雇用年収とは比較できない。
  • job tag「調教師」には別の広い分類の583.3万円が載るが、これを調教師の利益や経営所得として採用しなかった。
  • 中央競馬の厩務員には担当馬の成績による身上金の制度もあり、勤務先と馬の成績によって支給が異なる。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 飼料・設備費と厩舎経営どちらにも動きうる

    馬を育てるえさや設備のお金が、厩舎の仕事に関係します。

    大人向けの詳しい説明

    給餌・設備費と預託料・賞金収入のバランスが、厩舎スタッフの雇用と調教師の経営所得を左右する。

  • 健康状態の計測技術どちらにも動きうる

    機械は馬の運動を測れますが、いつもと違う様子を見る人も必要です。

    大人向けの詳しい説明

    センサーで負荷や歩様の変化を検知できても、手入れと診察の判断には対面の観察が残る。

  • 動物福祉と安全管理上がる方向

    馬が安心して過ごせるよう、よく観察してお世話をします。

    大人向けの詳しい説明

    日々の健康管理と無理のない調教への関心が高まるほど、飼養管理の技能が重要になる。

  • 競馬の産業構造どちらにも動きうる

    競馬の人気や厩舎の数が、働く人の数に関係します。

    大人向けの詳しい説明

    競馬開催や馬主からの預託需要、厩舎数の変化が労働需要を左右する。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 熟練した飼養・福祉技術を評価

    条件馬の健康管理と福祉基準に投資が進み、経験者の雇用条件が改善する。

    起きそうなことスタッフの実質給与がやや改善する余地がある。

  2. データと人の観察が共存

    条件運動・給餌の記録は自動化しても、日常ケアと馬体観察は人が続ける。

    起きそうなこと中心的な実質収入は大きく変わらず、役割の専門性が高まる。

  3. 厩舎運営費が増加

    条件飼料、施設、人件費が高くなり、競走馬を預かる厩舎の採算が厳しくなる。

    起きそうなこと経営者もスタッフも実質収入が下がる可能性がある。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

馬房の清掃、馬体のケア、歩様の観察、調教中の安全確認は現場で行う必要がある。データ分析や給餌補助の技術が進んでも、馬の個体差や福祉に合わせる熟練技能は残る。

ただし競馬の開催規模や預託頭数、厩舎の運営費が職員の配置を決める。調教師の人数と厩舎スタッフの人数も同じではないため、需要は小幅減から横ばいの範囲を中心にした。

働き方

中央競馬では調教師のもと、トレーニングセンターの厩舎で働くスタッフが馬の手入れと運動補助を担当する。調教師は免許を得て調教方針、厩舎の管理、スタッフの指揮を担う。

馬の生活に合わせて早朝から作業が始まり、午前・午後に分かれる勤務や競走日に伴う出張がある。地方競馬の厩舎や育成牧場では勤務条件や仕事の分担が異なる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 乗馬・牧場で馬の扱いを学ぶ馬の性質、飼養、乗馬や牧場作業を経験し、安全な取扱いと体力を身につける。
  2. 中央競馬の厩務員課程を調べる競馬学校の厩務員課程などでは受験資格、騎乗経験、訓練期間などが指定されるため、年度ごとの募集要項を確認する。
  3. 調教師になるには免許試験が必要厩舎で経験を積む道はあるが、中央競馬の調教師には日本中央競馬会の調教師免許試験に合格する必要がある。

今から伸ばしたい力

  • 馬の食欲・歩様・表情など日々の変化を見分ける観察力
  • 馬を落ち着かせて扱う安全な引き運動と手入れ
  • 飼料・飲水・馬房衛生の継続的な記録
  • 運動負荷と休養の調整を調教師・獣医師へ相談する力
  • 馬具・通路・馬房の状態を確かめる安全点検

出典と前提

最終確認日
2026年11月2日

出典

予測の前提

  • 競馬の運営が続き、馬の安全と福祉を確かめる人の仕事が残ると仮定する。
  • 運動と給餌の記録は高度に自動化しても、健康状態の総合観察を人が続けると仮定する。
  • スタッフの雇用給与と調教師の事業所得は別の経済構造として扱う。

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