専門・ビジネス

経理

けいり

会社のお金の出入りを記帳し、請求書・領収書を照らし合わせ、月次・年次の決算資料を作る。取引の内容と会計記録が一致するか確かめ、会社のお金の状態を分かる形にする仕事だ。

会社の経理席で、女性の担当者が領収書と帳簿を照合し、電卓で確かめながらパソコンに入力している。
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はじめに

会社で買った物や売れた物のお金を記録し、請求書と銀行の記録が合っているか確かめる仕事です。月の終わりには帳簿をまとめ、会社にどれくらいのお金があるのか調べます。計算機が便利になっても、「本当にこの支払いで正しいか」を確かめることが大切です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約512万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
記帳と照合の自動化は必要な労働時間を減らし、定型経理の賃金には下押しが働く。内部統制や決算判断の専門家には報酬余地があるものの、収益が賃金に還元されるとは限らず、小幅減を中心にする。
需要
電子請求と会計システムの連携で伝票の転記・照合は減る一方、実物・契約と記録の一致を確認する人は必要だ。会社内の経理事務の需要は小幅減と見込む。
人による差
人による差が広がる

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今の経理の仕事

今
  • 仕訳と証憑の照合請求書・領収書と取引内容を確かめ、勘定科目ごとに帳簿へ記録する。
  • 売掛金と入金の消込み取引先の請求額と銀行口座への入金を突き合わせ、未入金を確認する。
  • 買掛金と支払予定の管理仕入先の請求書の支払期日と金額を確認し、重複支払を防ぐ。
  • 月次決算と試算表の作成各勘定の残高を点検し、利益や現預金の状況を部門に伝える。
  • 棚卸資産と帳簿残高の確認実際の在庫数量と会計上の記録の違いを調べ、理由を明らかにする。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 領収書の読み取りと仕訳候補 確からしさ:高 電子請求書の項目を読み、過去の取引に基づいて科目候補を示す処理は自動化しやすい。
  • 売掛金の入金照合 確からしさ:高 請求番号や金額の一致を探す作業は機械向きだが、差額理由の精査が必要な取引は残る。

AIと協働

  • 月次決算の差異分析 確からしさ:中 費用の急増を自動で検出できても、事業上の事情や計上時期を担当部署に確認する必要がある。

人が中心

  • 二重請求や架空取引の判断 確からしさ:高 記録が整っていても実物や契約が存在しない場合がある。支払を止める判断と説明は責任者が担う。
  • 決算方針の確認と説明 確からしさ:中 会計基準に従って見積りや処理方針を判断する際は、会社の実際の契約や資産の状態を調べる必要がある。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、経理の一日(架空)

月末の金曜日、四十代の亜希は製造会社の支払一覧を閉じずに残していた。大半の請求書はすでに機械が帳簿に記録し、銀行への送金予約まで整っている。その中に、部品の仕入先へ同じ金額を二度払う予定が見えた。番号は違うので自動検査は通っていたが、品名と納品日は同じだった。亜希は送金を一度止め、倉庫に届いた品物の記録を開いた。

午前中、亜希は調達担当と一緒に発注書を確認した。一つの注文を二回に分けて納品する契約だったが、今回届いたのは一回分だけだった。二枚目の請求書は、先に送られた修正版を古い書式で再発行したものらしい。金額が一致するという理由だけで払えば、会社のお金が余計に出ていく。亜希は仕入先へ問い合わせる担当を決め、支払予定に確認待ちの印を付けた。

昼すぎ、工場の在庫表にも目を通した。帳簿では残っているはずの部品が、試作品の組立てに使われていた。納品記録、倉庫の在庫、製造部門の作業日誌をつなげると、費用に計上する月がずれていることが分かった。機械は違いを見つけていたが、どの記録を直すべきかまでは決められなかった。

夕方、修正済みの試算表を見た部門長が「利益が減ったのはなぜ」と尋ねた。亜希はお金が急になくなったのではなく、先月の試作品に使った材料費を正しい時期に記録したのだと説明した。次月の仕入計画も数字を合わせて更新された。亜希は最後に承認履歴を保存した。経理の成果は、帳簿の数字をきれいに見せることではない。数字の向こうにある取引を、誰でもたどれる状態にすることだ。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約512万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「経理事務」に関連づく経理事務員等の職業分類に属する雇用労働者。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • 2025年の全国年収512.2万円は経理事務員等を含む職業分類の平均で、企業の経理部長だけの年収ではない。
  • 決算・税務・資金繰りを担う職務と伝票入力中心の職務では、仕事の範囲が異なる。
  • 上場企業か中小企業か、会計システムの導入状況や地域・経験によって待遇に差がある。
  • 自営業者が自分の事業の帳簿をつけた際の利益や、税理士事務所の事業所得は含まない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 電子請求と自動仕訳下がる方向

    毎日の伝票を入力する仕事は減っていきます。

    大人向けの詳しい説明

    電子帳簿と銀行接続が普及すると、単純な転記・照合は少人数でこなせる。

  • 決算の正しさと説明責任上がる方向

    数字が本当の取引を表しているか、確かめる人が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    決算処理の判断、内部統制、修正記録の説明には事業内容への理解が欠かせない。

  • 事業所の数と外部委託下がる方向

    会社が経理を外部に頼むと、社内で働く人数が減ることがあります。

    大人向けの詳しい説明

    中小企業の共同処理や外注が進めば専任経理職の需要は減る可能性がある。

  • 会計と電子取引のルールどちらにも動きうる

    電子の領収書を守って残す決まりも仕事に関わります。

    大人向けの詳しい説明

    記録保存・税務などのルールへの対応は仕事を残すが、システム開発と保守に費用が移る。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 監査に耐える記録を求める

    条件電子取引が増えても契約の実態や取引記録の整合確認を企業が重視する。

    起きそうなこと内部統制と決算方針の判断を担う経理職に収入を維持・上昇させる余地がある。

  2. 記帳業務が集中処理される

    条件請求書の発行・受取・銀行照合が同じシステムに接続される。

    起きそうなこと入力・照合中心の職務が減り、総人数と賃金には下押しが働く。

  3. 小企業は複数業務を兼任する

    条件会計サービスの月額費用は下がるが、個別取引の確認担当を専任で置けない。

    起きそうなこと経理と総務・資金繰りを兼ねる役割が増え、専門分化したキャリアの差が広がる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

仕訳候補の作成、請求書の読み取り、銀行入金との照合は自動化しやすい。電子取引と会計システムがつながる企業ほど、伝票を入力する人の必要人数は減るだろう。

それでも月次決算のずれを発見し、契約や在庫の実態を確認する責任は残る。多くの経理職が消えるわけではないが、入力中心の職務が減る影響が大きいため、全体の需要は小幅減を中心とする。

働き方

企業の経理部・財務部、会計事務を請け負う会社などで働く。請求書の確認はパソコン中心だが、棚卸や支払の調査では倉庫・営業・製造の担当者と直接照合する。

月末・四半期末・年度末は決算の期限があり、時期によって忙しさが変わる。通常の記帳は遠隔勤務できても、支払承認や秘密情報の閲覧には厳格な権限管理が必要となる。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校で簿記と表計算を学ぶ商業科などで簿記を学べるほか、数学・情報で数値の扱いを身につける。
  2. 学校または就職後に会計の基本を学ぶ大学の商学・経営学や専門学校で学ぶ道がある。日商簿記検定は知識を示す資格だが、経理事務に必須の国家資格ではない。
  3. 伝票処理から決算・管理会計へ広げる会社で売掛金・買掛金を担当してから月次決算や予算の分析を覚えるなど、段階的に実務経験を積む。

今から伸ばしたい力

  • 借方・貸方と損益計算書・貸借対照表のつながりを読む力
  • 銀行明細と請求番号から二重支払を見つける力
  • 在庫や契約の実態を数字と照合する力
  • 金額の差を原因ごとに分けて説明する力
  • 帳簿の修正履歴と支払承認の証拠を残す力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 電子請求書と会計システムの普及には企業規模による差が残る。
  • 会計処理の正しさを保証する手続と最終承認の責任は継続する。
  • 経理業務の省力化が起きても、すべてが賃上げにつながるとは限らない。

このページの更新

  • 初稿を公開

ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。