都会と地方、どこで働く?

将来、都会の大きな会社で働きたいですか。それとも、生まれ育った地域や、自然の近くで暮らしたいですか。2050年には、働く場所の選び方が今と変わっているかもしれません。
今わかっていること
総務省「住民基本台帳人口移動報告」の2025年の結果では、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は日本人移動者について約11万2,738人の転入超過でした。転入超過とは、その地域へ引っ越してきた人数が、出ていった人数を上回ることです。これは、日本人の住民基本台帳上の移動を集計した数字で、外国人を含むすべての人口移動と同じではありません。
人が都会へ集まる理由には、仕事や学校の選択肢、公共交通機関、医療機関などへのアクセスがあります。しかし、人が集まる地域でも、家賃や混雑、通勤時間などの負担がある場合があります。地方にも、農業、製造業、観光、医療、教育など、多様な仕事があります。地方とひとことで呼んでも、地方都市と山あいの町では状況が異なります。
国土交通省の「令和7年度テレワーク人口実態調査」(2025年10月調査、2026年公表)では、雇われて働く人のうち、直近1年間にテレワークを実施した人の割合は全国で16.8%でした。「これまでに一度でもテレワークをしたことがある人」の割合25.2%とは定義が違います。テレワークとは、通信技術を使い、職場以外の場所で仕事をする働き方です。
この数字は、ほとんどの人が完全に自宅から働けることを意味しません。美容師や電気工事士など、現場に行く必要がある仕事もあります。事務作業だけ自宅で行う職種もあるでしょう。
2050年に向けた見通し
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、2050年の日本の総人口は約1億469万人と推計されています。2020年の国勢調査を出発点に、出生、死亡、国際人口移動に仮定を置いた、出生中位・死亡中位の条件での数字です。地域ごとの人口の変化は同じではありません。
人口が減る地域では、学校や病院、商店、バス路線などを今と同じ形で維持することが難しくなる可能性があります。一方、地域の困りごとに合わせて新しいサービスを作る機会も考えられます。都市部でも、住まいの不足、インフラの老朽化、通勤の混雑などの課題が続くでしょう。
2050年にテレワークがどれくらい広がるかを断定できる公的な推計は、ここで使った資料からは確認できません。通信環境や仕事の内容、企業の方針によって変わります。AIがオンラインでの作業を助けても、病院、工場、建設現場などで直接働く人は必要です。
見方が分かれていること
都会は働く機会が多いのか
都会には会社、学校、病院、店などが集まり、職種や転職先を比較しやすい強みがあります。同じ分野の人と出会う機会が多いこともあります。専門的な仕事の経験を積みやすい場合があるでしょう。
一方、競争が強かったり、住まいにかかるお金が高かったりすることもあります。収入が高い仕事に就けても、生活費が増えれば使えるお金は思ったほど増えないかもしれません。都会の中でも地域や暮らし方で差があります。
地方は暮らしやすいのか
地方には、家族の近くで暮らせる、自然と触れ合える、地域の人とのつながりを持ちやすいといった魅力があります。地元の困りごとを仕事にして、直接感謝されることもあるでしょう。
ただし、希望する職種の募集が少ない地域もあります。車が必要な場所では、購入費、燃料費、保険料、運転できなくなったときの移動手段も考える必要があります。住宅費だけを比べて「地方は安い」と決めるのは早いでしょう。
仕事への影響
ソフトウェアエンジニアのように、遠くの人と協力しやすい仕事では、会社の所在地と暮らす場所が別になる選択肢があります。しかし対面での打ち合わせや機密情報の管理など、出社する理由も残ります。
医師や教師など、地域に暮らす人を支える仕事では、地域ごとに必要な人数や役割が変わります。人口の少ない町では一人が複数の役割を担うこともあるでしょう。大きな病院や学校のある都市では、専門分野に分かれて働く場面が多いかもしれません。
建設や設備の仕事では、新しい建物を建てる需要だけでなく、古い家や道路、電気設備を修理する需要があります。ただし、人口や工事の予算が減る地域では、移動距離が長くなったり、仕事をまとめて進めたりする工夫が必要かもしれません。
都会と地方の収入を比べるときは、同じ仕事でも雇われ方、経験、働く時間、生活費が違うことに注意してください。年収が高い地域が、必ずしも暮らしやすい地域とは限りません。また、地域には、親しい人との距離や医療への行きやすさなど、数字だけでは測れない価値もあります。
仕事を選ぶ際には、「どこで暮らしたいか」と「どんな仕事をしたいか」を分けて書き出してみましょう。その両方を満たす道があるか、将来の変化も含めて考えられます。
考えてみよう
- 仕事の種類、家族との距離、通勤時間のうち、あなたが一番大切にしたいものは何ですか。
- 同じ給料で、都会の駅の近くと車が必要な地域に住むなら、どんな支出が違いますか。
- 自分の地域に足りないと感じるサービスを、仕事として支える方法はありますか。