専門・ビジネス 想像の仕事
サーキュラーエコノミー・コーディネーター
さーきゅらーえこのみー・こーでぃねーたー
製品の素材や修理の履歴を記録したデジタル製品パスポートを手がかりに、修理・再販売・素材回収の流れを、メーカーや店、地域の修理拠点と組み立てる仕事になりそうだ。
はじめに
物を捨てずに、長く使い続けられるしくみを作る仕事です。家具や家電に「どんな材料でできていて、いつ直したか」の記録をつけて、こわれたら直し、使わなくなったら次の人にゆずり、最後は材料にもどします。作る会社やお店、町の修理屋さんをつなぐ役目です。
今ある芽
実証や制度づくりが始まっていて、条件がそろえば広がりそうなものです。いまは物を作る会社、売る店、修理する人、回収する業者がそれぞれ別に動いていて、流れ全体を設計する人は少ない。修理しやすさや製品情報の記録がルールになり、作る側にも回収の責任が求められるようになれば、間をつなぐ専門職が必要になりそうだ。
- EUの「修理する権利」指令EUは、壊れた製品を買い替えるより修理しやすくする指令を正式に採択した。修理を前提にした設計や修理の受け皿づくりを進める役が求められる。出典:Circular economy: Council gives final approval to right-to-repair directive(Council of the European Union)
- デジタル製品パスポートの登録システム欧州委員会が、製品ごとの識別番号を登録し、素材や環境の情報にたどれるようにする登録システムを2026年7月に立ち上げた。製品の情報を使って、修理や回収の流れを組む仕事の道具になりそうだ。出典:European Commission Launches the Digital Product Passport Registry(GS1 in Europe)
2050年、どんな仕事をしている?
- 製品パスポートの項目設計メーカーと一緒に、素材の種類、ねじの位置、交換部品の番号など、後で修理や回収をする人が本当に必要な情報を選んで記録の形を決める。
- 修理しやすさの設計レビュー試作品を分解して、接着剤をねじに替えられないか、壊れやすい部品だけ外せるかなどを確かめ、設計の改善を提案する。
- 回収と再販売の流れづくり使わなくなった製品をどこで引き取り、誰が点検して、どの店で次の持ち主に届けるかを、店や運送会社と決める。
- 地域の修理拠点の運営支援商店街や公民館の修理拠点に、部品や修理手順の情報が届くようにし、職人や学生の担い手を集める。
- 素材の行き先の報告回収した製品の素材がどれだけ再び使われたかをまとめ、自治体や企業が公表する報告の根拠をつくる。
2050年の一日
2050年、サーキュラーエコノミー・コーディネーターの一日(架空)
その椅子は、これから四人目の持ち主のところへ行く。二十代のあかりは、商店街の修理拠点で、座面の裏にある小さなタグに端末をかざした。二〇三一年に地元の家具工房で作られ、脚を二回、布を一回張り替えた記録が出てくる。今日、新しい布に替えた分を書き足して、記録は完成した。
あかりは市と地元企業が共同でつくった循環推進の事務所で働いている。午前中は、その家具工房の新しい机の試作品を、職人と二人で分解した。天板と脚が接着剤で固められていて、片方が傷むと全部を替えるしかない。「ここをねじにできれば、脚だけ直せます」。職人は少し考えて、強度を試してみると言った。
昼すぎには、引っ越しの多い三月に向けた打ち合わせがあった。古い家具を引き取る運送会社、点検をする修理拠点、売り場を持つリサイクル店が集まる。引き取りの予約が一度に集中すると、点検が追いつかない。あかりは製品パスポートの情報で、修理なしで出せる物を先に選び分ける手順を提案した。
夕方、事務所に戻って、今月回収した家具の素材の行き先をまとめた。木材の多くは再び家具に使われたが、合成の布はまだ燃やす以外の行き先が少ない。報告の最後に、布の回収先を探すことを来月の課題として書いた。窓の外では、修理拠点のシャッターが下りるところだった。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学技術・家庭科や理科で、ものの素材やしくみを学ぶ。壊れた物を自分で直してみる経験を重ねる。
- 高校化学や政治・経済を学び、環境政策や国際ルールにも目を向ける。環境社会検定試験(eco検定)に挑戦するのもよい。
- 大学・専門学校工学部のデザイン工学や材料系、経営学部、環境学部などが入口になる。家具・プロダクトデザインの専門学校で、作る側の技術を身につける道もある。
今から伸ばしたい力
- 物のしくみや素材に興味を持ち、分解して確かめる力
- 作る人、売る人、直す人など立場の違う人の話を聞いて、間をつなぐ力
- 物の流れを図にして、どこで止まっているかを見つける力
- 国内外のルールや制度を調べて読み解く力
- 数字をまとめて、分かりやすく報告する力
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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クリエイティブ プロダクトデザイナー 家電、生活用品、情報機器などの製品の形や色、持ちやすさ、使い方を設計する仕事。利用者の困りごとを調べ、スケッチと3D設計、試作品の検証を重ねて、工場で安全につくれる形へ仕上げる。
2050年の収入ほぼ変わらない -
ものづくり・研究 品質管理 工場でつくる製品の品質が規格どおりに保たれるよう、検査方法と管理基準を定める仕事。不良品の発生率や測定値を調べ、原因を追跡して生産工程を改善し、製品を安心して出荷できる状態にする。
2050年の収入ほぼ変わらない -
生活サービス 家電修理 洗濯機や冷蔵庫、エアコンなどの故障の原因を調べ、部品交換や調整で使える状態に戻す仕事。販売店の修理窓口やメーカーのサービス部門で働き、家庭を訪ねて診断することもある。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- Circular economy: Council gives final approval to right-to-repair directive(Council of the European Union)、2026年11月4日取得
- European Commission Launches the Digital Product Passport Registry(GS1 in Europe)、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 製品ごとの素材や修理の情報を記録し、共有する仕組みが日本でも広く使われていること。
- メーカーに、製品の修理や回収への責任を求めるルールが広がっていること。
- 中古品や修理した製品を選ぶことが、買う人にとってふつうの選択肢になっていること。