医療・福祉 想像の仕事
介護テクノロジー・コーディネーター
かいごてくのろじー・こーでぃねーたー
介護施設や在宅で、見守りセンサーや移乗を助けるロボット、記録を手伝うAIなどを組み合わせて入れ、職員と利用者が無理なく使い続けられるよう運用を整える仕事になりそうだ。
はじめに
おじいさんやおばあさんのお世話をする場所では、夜に部屋の様子を知らせる機械や、ベッドから車いすへ移るのを助けるロボットが使われ始めています。どの機械をどう組み合わせるとよいかを考え、働く人が使い方に慣れるまで教え、困ったことがあれば直していく仕事です。
今ある芽
今ある技術や制度から見て、2050年には仕事として広がっている見込みが高いものです。介護の機器は種類が増えている一方、選び方や設定、職員への教え方は、施設の誰かが本来の仕事の合間に担っていることが多い。機器の活用が介護報酬などで評価され、導入する施設が増えるにつれて、現場と機器の両方がわかる専門の担い手が求められそうだ。
- 介護テクノロジーの重点分野が広がった国は介護に役立つ機器の重点分野を9分野16項目に広げ、2025年度から「介護テクノロジー利用の重点分野」として適用している。対象が増えるほど、施設ごとに何をどう組み合わせるかを考える人が必要になりそうだ。出典:「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました(厚生労働省)
- 生産性向上の取り組みが報酬で評価される2024年度の介護報酬改定で生産性向上の取り組みが評価されるようになり、国が全国の事業所で機器導入の効果を調べている。入れるだけでなく、効果を確かめて運用を直す役割がはっきりしてきた。出典:介護現場における生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくりに資する調査研究事業 報告書(案)(厚生労働省(社会保障審議会 介護給付費分科会))
2050年、どんな仕事をしている?
- 現場の困りごとの聞き取りと機器選び夜勤の負担や腰痛、記録にかかる時間など、施設の困りごとを職員から聞き、合う機器の組み合わせを提案する。
- 通知と設定の見直し見守りセンサーの知らせが多すぎたり少なすぎたりしないか、利用者一人ひとりの眠り方や動き方に合わせて設定を調整する。
- 職員向けの練習会移乗支援ロボットや記録アプリの使い方を、勤務の合間に短い時間で練習できるよう組み立てて教える。
- 利用者と家族への説明と同意センサーやカメラで何がわかり、何は記録しないのかを本人と家族に説明し、使いたくないという希望も聞き取る。
- 効果の振り返り導入前後の夜間の巡回回数や職員の声をまとめ、続けるか、やめるか、使い方を変えるかを施設と話し合う。
2050年の一日
2050年、介護テクノロジー・コーディネーターの一日(架空)
「昨夜だけで四十回鳴りました」。夜勤明けの介護職員が差し出した端末には、見守りセンサーの通知がずらりと並んでいた。地域の介護事業所を回って機器の運用を手伝う和夫は、この特別養護老人ホームに月二回通っている。五十六歳。もとは介護福祉士として二十年、施設で働いていた。
通知の半分以上は、二階の山口さんの部屋からだった。夜中に何度も寝返りを打つ人で、センサーはそのたびに「起き上がりの可能性」と判定していた。和夫は職員と一緒に一週間分の記録をさかのぼり、山口さんが実際にベッドを離れるのは明け方の一回だけだと確かめた。判定の感度を山口さん向けに下げ、明け方の時間帯だけは早めに知らせる設定に変えた。
昼過ぎは、移乗を助けるロボットの練習会だった。参加したのは六人。ベテランの職員ほど「自分で抱えたほうが早い」と言う。和夫は否定せず、まず自分が利用者役になってロボットで移ってもらい、腰をかがめる回数がどれだけ減るかを一緒に数えた。三回目には、いちばん渋っていた職員が、ベルトの締め方の工夫を自分から提案した。
夕方、ある利用者の家族から相談を受けた。母親が「機械に持ち上げられるのは怖い」と言っているという。和夫は無理に使わない方針を施設長と確かめ、その人には職員二人で介助する時間を確保する計画を立てた。機器を増やすことより、使う人と使わない人の両方が安心できる形を探すことが、自分の役目だと考えている。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学校福祉体験やボランティアで介護の現場を知る。技術の授業でセンサーや計測のしくみにふれ、家族や友だちにスマートフォンの使い方を教えてみるのもよい経験になる。
- 高校情報と家庭科(高齢者の暮らしや福祉)を学ぶ。福祉科のある高校では介護福祉士の受験資格につながる学び方もある。
- 大学・専門学校介護福祉士の養成校や社会福祉系の大学で介護を学ぶ道と、工学部などでロボットや情報を学ぶ道がある。福祉用具専門相談員の指定講習や福祉住環境コーディネーター検定試験も、機器や住まいの知識を広げる助けになる。
今から伸ばしたい力
- 介護の現場の流れと利用者の気持ちを知ろうとする姿勢
- 新しい機器やアプリを自分で試して仕組みを理解する力
- 機械が苦手な人にも伝わる教え方
- 記録や数字から効果を確かめる力
- 本人の「使いたくない」を尊重し、代わりの方法を考える力
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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医療・福祉 介護福祉士 高齢者や障害のある人が自分らしく暮らせるよう、食事、入浴、移動などの支援と生活上の相談を行う専門職。施設や在宅で働き、家族や医療職と協力して安全と尊厳を守る。
2050年の収入少し上がる -
医療・福祉 福祉用具専門相談員 車いす、歩行器、介護ベッドなどを使う人の身体状況と住まいを確かめ、適切な福祉用具の選定、使い方の説明、利用後の点検を行う。介護保険の貸与・販売事業所で働く。
2050年の収入ほぼ変わらない -
ものづくり・研究 産業用ロボットの設置・保守 工場の溶接・搬送・組立などに使う産業用ロボットを据え付け、動作範囲と安全装置を設定し、故障や精度のずれを点検・修理する仕事。電気配線、制御装置、機械の動きを理解する。
2050年の収入少し上がる
出典と前提
出典
- 「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました(厚生労働省)、2026年11月4日取得
- 介護現場における生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくりに資する調査研究事業 報告書(案)(厚生労働省(社会保障審議会 介護給付費分科会))、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 介護を必要とする人が多い状態が続き、限られた職員で支える工夫が求められ続ける。
- 機器の導入や活用が、介護報酬や補助のしくみで引き続き後押しされる。
- 見守りで集める情報の扱い方について、利用者と家族が納得できるルールが整う。