ものづくり・研究

おもちゃの開発者

おもちゃのかいはつしゃ

子どもの遊び方や年齢に合わせて、新しい玩具の仕組み、形、色、素材を考え、試作品を作って改良する仕事。3D CADで設計し、金型や電子部品を調整しながら、遊びの面白さと製品の安全性を両立させる。

開発室で、女性のおもちゃ開発者が、木製の車の試作品の車輪を回し、動きや形を確かめている。
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はじめに

新しいおもちゃの遊び方を考え、紙や模型で試して、本物の商品にしていく仕事です。小さな子が口に入れても危なくないか、部品が外れないかなども調べます。楽しく遊んでもらうために、何度も試作品を作り、子どもがどこで困るのかを見ながら直していきます。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約411万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)ほぼ変わらない幅:下がる〜少し上がる
収入
設計案の自動生成と低価格の類似品は報酬に下押し圧力をかける。他方、遊びの観察、安全試験、金型調整の経験は代替が難しく、少人数の専門職には交渉余地が残るため、実質収入は横ばいを中心に置く。
需要
人口減少で子ども向け量産玩具の市場が縮みやすく、3D設計の省力化も進む。学習玩具や大人向けの市場拡大が補う可能性はあるが、開発職の人数はやや減る見立てとした。
人による差
人による差が広がる

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今のおもちゃの開発者の仕事

今
  • 年齢別の遊びの企画遊ぶ対象の年齢と遊び方を決め、子どもの手の大きさや動きに合わせて仕掛けを考える。
  • 3D CADによる形状設計部品の寸法、回転する軸、はめ込み部分を3D CADで設計し、図面に落とし込む。
  • 試作品の組立と遊びの観察模型や3Dプリント部品を組み立て、遊び方を観察して操作しにくい箇所を直す。
  • 玩具安全基準への適合確認部品の外れやすさ、角の形、燃えやすさ、材料の安全性などを検査項目に照らして確認する。
  • 量産用金型と部品の調整試作品を生産できるよう金型業者や成形担当と、肉厚、合わせ目、組立順を詰める。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 形状案の大量生成 確からしさ:高 寸法や価格の制約を指定して複数の形を出すことは設計支援技術と相性がよく、最初の案の作成は省力化しやすい。

AIと協働

  • 部品の干渉・組立性の検証 確からしさ:中 仮想の組立検査は自動化できても、素材のしなりや子どもの力で起きる不具合は現物確認が必要になる。
  • 安全検査の事前シミュレーション 確からしさ:中 破損しそうな構造の候補は機械が絞り込めるが、法令への適合や第三者検査は現物と手続きで確かめる。

人が中心

  • 遊びの楽しさの観察 確からしさ:中 子どもが説明なしでどう触るか、どこで笑いどこで飽きるかは、実際の観察と解釈が欠かせない。
  • 遊び方と価格の最終決定 確からしさ:中 安全性だけでなく、家庭での使われ方や購入者が支払える価格を比較して製品の方向を決める責任は開発側に残る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、おもちゃの開発者の一日(架空)

机の上をころがった木製の車輪が、厚い紙の迷路の角で止まった。朝十時。四十代の紗希は、開発中の『触って道を探す遊具』を裏返し、指先で溝をたどった。画面上では滑らかに動くはずだったが、実物は角の出っ張りに小さな手が引っかかる。設計支援システムが提案した曲線を、今日はあえて一度使わずに考えることにした。

午前中は試作品を持って、社内の遊びの観察室へ移る。許可を得て参加した子どもたちは、説明書を読む前に車輪を外そうとした。紗希が想定したのは迷路の完成だったが、子どもたちは外した部品を並べて別の遊びを始めている。記録係の同僚が『取れる仕組みが楽しいのかも』とつぶやく。紗希は、外れないようにする案と、外れても小さな部品にならない案を紙に書き分けた。

昼すぎ、安全試験の担当者とオンラインで図面を見比べる。小さな部品が飲み込める大きさにならないか、接合部が強く引かれても割れないか。形状の自動検査は合格候補を示しているが、実物を曲げてみると材料の端が白く変色した。紗希は金型の角度を変え、溝の深さも少し浅くする修正を頼んだ。部品点数が増える案は、価格が上がりすぎるため採用しない。

夕方、改良前の試作品を棚に戻すと、子どもが車輪を一直線に並べた写真が目に入った。迷路を解くという当初の正解を押しつけず、並べても転がしても遊べる形にしよう。紗希は新しい図面の横に『遊び方を一つに決めない』と書き、次の観察会のために木の模型をもう一つ削り始めた。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約411万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「玩具(おもちゃ)製作」に対応する製品製造関係の広い職業分類に属する雇用労働者。企画開発専任者のみの平均ではない。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tagの2025年全国年収410.6万円を円に換算した値で、玩具開発者だけの平均給与ではない。
  • 玩具の企画開発、製造装置の操作、手作業での組立を含む職業紹介に対応する広い分類の統計である。
  • 雇用される開発者の給与と、独立した玩具作家の売上・経費控除後の所得は異なる。
  • 企業規模、設計や電子部品に関する技能、国内開発か海外量産かによって収入や職務が異なる。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 出生数と玩具の購入者下がる方向

    子どもの人数が減ると、子ども向けのおもちゃを買う家庭も少なくなりやすいです。

    大人向けの詳しい説明

    子ども向け市場の数量減少が続けば、量産品の開発費を回収しにくくなる。ただし単価や大人向け市場の変化は別に検討する必要がある。

  • 安全検査と表示制度上がる方向

    小さな部品や使う材料の安全を確かめる仕事は、これからも大切です。

    大人向けの詳しい説明

    玩具安全基準に加え、乳幼児用玩具には子供PSCマークの制度がある。検査に耐える設計と試作の責任は価格競争だけでは置き換えにくい。

  • 3D設計と型の自動化どちらにも動きうる

    機械が図面を作りやすくなっても、実際に遊んで試すことは残ります。

    大人向けの詳しい説明

    形状提案・部品配置の効率化は人員を減らす面がある一方、試作品を多く検証できるため小規模メーカーの開発機会も広がる。

  • 電子玩具と修理しやすさどちらにも動きうる

    電気で動くおもちゃや、長く使えるおもちゃには新しい工夫が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    センサー・電池・通信を使う設計では新たな専門技能が必要になる。修理や電池交換を考慮した設計への需要は制度と消費者の選択次第で変わる。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 安全性と遊びの工夫が評価される

    条件子どもの年齢や障害に合わせた触覚玩具など、試作と安全検査を重ねる商品が選ばれる。

    起きそうなこと実物検証の経験がある開発者の仕事が残り、専門性に応じて待遇が保たれやすい。

  2. 定番玩具の設計が自動化される

    条件形状設計と金型調整の多くが自動化され、低価格の類似品が増える。

    起きそうなこと初級の図面作成業務は減り、企画と試験の経験がない人には収入面の圧力が生じる。

  3. 遊びの市場が大人向けにも広がる

    条件子ども人口の減少を補う形で、大人向けの組立玩具や学習用の玩具が拡大する。

    起きそうなこと対象市場を広げられる開発チームには新しい仕事が生まれるが、企業ごとの差が大きくなる。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

国内の子ども人口が減る場合、幼児向け量産玩具の数量市場は縮小しやすい。設計案の生成や部品の配置は自動化しやすく、同じ人数でより多くの試作品を作れるようになる。従来型の図面作成だけの求人は増えにくい。

一方、子どもが予想外の遊び方をすることを観察し、形や安全基準へ反映できる開発者は必要だ。玩具安全の制度は現に存在し、年齢別の誤使用や材料の検証は重要である。大人向け趣味商品、学習用、さまざまな身体特性に合わせた玩具が広がるかにより、需要には地域・企業差が出ると見る。

働き方

玩具メーカーの企画室や設計室で、企画、試作、設計、製造調整に分かれて働く。企画と試作は国内、金型製作や量産は国内外の委託工場という体制もある。小さなメーカーでは一人が複数工程を兼ねることもある。

新製品の発売時期が近づくと、金型の修正や安全検査の再提出が重なり忙しくなる。図面の調整は離れた場所でもできるが、部品のはまり具合や子どもの遊び方は実物を触って確かめるため、試作室や検査室への出勤が残るだろう。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 高校で美術・数学・工作を試す模型を作り、寸法を測って改良する経験を積む。玩具開発者になるために必須の国家資格はない。
  2. 大学や専門学校で設計・デザインを学ぶ大学の工業デザイン・機械工学系、または玩具・プロダクトデザインを扱う専門課程などで3D CAD、材料、試作を学ぶ道がある。
  3. メーカーで試作と安全検査を経験する企画部門へは新卒採用だけでなく他部署から移る場合もある。ST基準や乳幼児用玩具の表示制度を学び、試作品と量産品の違いを現場で確かめる。

今から伸ばしたい力

  • 子どもの手の大きさと遊び方を観察して仕掛けへ変える力
  • 3D CADで部品のはめ込みと可動範囲を設計する力
  • 樹脂・木・布など素材ごとの割れ方や手触りの知識
  • 小部品の脱落や燃えやすさなど安全基準を読み解く力
  • 金型と部品点数を変えて量産価格を調整する力

出典と前提

最終確認日
2026年11月1日

出典

予測の前提

  • 国内の子ども人口は減少するが、大人向け玩具の市場規模は条件によって変わる。
  • 形状設計の支援技術は進むが実物を使った安全検査は続く。
  • 玩具の安全性に関する検査・表示制度が2050年も何らかの形で維持される。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。