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プロ棋士

ぷろきし

日本将棋連盟の棋士として公式戦で対局し、順位戦やタイトル戦で勝敗を競う仕事。棋譜を研究して作戦を練り、対局では持ち時間を管理しながら手を選ぶ。将棋教室や講演などの普及活動もある。

対局の席で、女性のプロ棋士が盤上の駒の配置を見つめ、指先で一枚の駒を持って次の一手を考えている。
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はじめに

将棋の公式戦で、相手と一手ずつ考えて勝負する人です。ふだんは過去の対局の記録を読み、強い人の指し方を研究します。試合では何時間も考え、限られた時間の中で自分の一手を決めます。勝ち進むと大きな大会に出られますが、教室や解説を通じて将棋の楽しさを伝える仕事もあります。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収ほぼ0円〜約1,427万円参考値:多くの人が入るおおよその幅
2050年(物価の上昇を除いて)少し下がる幅:下がる〜少し上がる
収入
将棋の対局には人同士の競争という価値が残るが、無料解析による一般的な解説の代替と少子化で普及収入に下押しが生じ得る。棋戦スポンサーと配信の利益が棋士にどの程度配分されるか不明であり、上位者を除く実質所得は小幅減を中心に予想する。
需要
2026年に8つのタイトル戦が存在し、奨励会の昇段枠が限られるため、棋士の供給は市場任せで急増しにくい。一方、観戦者数・地域の教室需要・協賛がどう変わるかは未確定であり横ばい中心とする。
人による差
人による差が広がる

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今のプロ棋士の仕事

今
  • 公式戦の対局と持ち時間管理記録係のいる公式戦で一手ずつ着手し、持ち時間を意識しながら投了・終局まで指す。
  • 棋譜の研究と序盤作戦の準備過去の棋譜や戦型の変化を調べ、自分の得意戦法で生じやすい局面を盤と解析道具で検討する。
  • 感想戦での読み筋の検討終局後に相手と局面を並べ直し、分岐で考えた候補手や形勢判断が違った理由を確かめる。
  • 順位戦・タイトル戦への出場所属する順位戦の組や棋戦ごとの予選に参加し、昇級・昇段・本戦進出を目指して対局する。
  • 将棋の解説と指導対局対局の意味を一般の観戦者に説明したり、教室で生徒と駒を落として指す指導対局を行ったりする。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 大量の棋譜からの類似局面検索 確からしさ:高 棋譜の分類や候補手の比較は計算機が得意で、研究の入口となる局面の収集は一段と速くなる。

AIと協働

  • 対局前の独自戦型の深掘り 確からしさ:中 解析ソフトは有力手を示すが、相手が知らない変化をどこまで覚えるか、どの構想で勝負するかは棋士の選択になる。
  • 観戦者に向けた棋譜解説 確からしさ:中 形勢グラフや候補手の整理は機械が補助できるが、初めて見る人に筋の面白さを伝える解説には棋士の発想が生きる。

人が中心

  • 公式戦での着手と時間配分 確からしさ:高 人間の棋士同士が盤を挟んで選択すること自体が競技の中心で、対局中の電子機器の扱いは主催者の規則に従う。
  • 感想戦での読みの言語化 確からしさ:中 数値の評価が同じ局面でも、どの手を恐れ、何を狙ったかという経験は対局者自身の言葉で伝わる。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、プロ棋士の一日(架空)

盤に置いた銀が、どうしても重く見えた。四十代の棋士・紗良は、数日前から研究している局面を自宅で並べ直していた。相手が角道を開けたまま攻めてくると、普通の守り方では桂馬が働かない。解析用の道具は別の候補を高く評価するが、紗良はあえてその銀を引く手を確かめた。相手が安全と思って踏み込んだ先に、まだ盤上に現れていない狙いがあるからだ。

対局場では記録係が一手ずつ棋譜を残す。電子機器は所定の場所へ預け、盤と時計だけに集中する。午前中は互いに駒組みが続き、午後に相手が飛車先の歩を突いた。事前に調べた形になったが、すぐに用意した手を指すわけにはいかない。相手が角を一つ引いたことで、こちらの歩の枚数が変わっていた。紗良は水を一口飲み、残り時間と終盤に必要な読みを頭の中で分けた。

夕方、対局室に駒の音が一つ響いた。紗良が銀を引くと、相手は長考に入った。狙いは詰みを急ぐことではない。相手の桂馬の進路をふさぎ、こちらの玉が逃げる場所を確保する手だ。相手が別の攻め筋を選んだため、準備していた変化は使えなかった。紗良は歩を一枚渡す判断をし、数手先で角を利かせて局面を落ち着かせた。やがて相手が投了を告げ、長い一局が終わった。

感想戦では、勝った手より途中の歩の使い方が話題になった。相手は『ここで別の歩を突けばどうだったか』と盤に置く。二人で駒を動かすと、予想外の逃げ道が見つかった。帰宅後、紗良は研究ノートの一行を消し、新しい変化を書き足した。便利な解析道具がある時代でも、実際に迷い、自分の一手を選んだ記憶は、次の対局に持っていきたいと思った。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今参考値

ほぼ0円〜約1,427万円(年収・多くの人が入るおおよその幅)

上位10人は年1427万円以上で、2025年の1位は2億1361万円でした。

資料
日本将棋連盟発表「2025年 獲得賞金・対局料ベスト10」と現役棋士の人数からの推定
調査年
2025年
対象
日本将棋連盟の現役棋士(四段以上、約174名)。別の制度で活動する女流棋士は含まない
税・賞与
税金・必要経費を引く前の賞金・対局料。解説・指導・執筆などの収入は含まない
計算方法
金額が公表されているのは上位10人だけのため、10位の1427万円を上限とした。現役棋士約174名のうち11位以下の約164名(約94%)は、賞金・対局料が1427万円以下になる。下側の金額は公表されていないため、下限は0円とした。
  • 上位10人の金額は、日本将棋連盟が2026年2月3日に発表した2025年のベスト10による(1位2億1361万円、10位1427万円)。11位以下の金額や、平均・中央値は公表されていない。
  • この幅は「11位以下の棋士は1427万円以下」という計算から出したもので、実際の分布を調べた数字ではない。多くの棋士は上限よりかなり低い可能性がある。
  • 下限の0円は、収入がほとんどない棋士が多いという意味ではなく、対局の少ない棋士の金額がわからないため下限を決めていないもの。解説記事にある平均年収650万〜800万円や、下位の棋士は年300万〜400万円程度という見方は、調べ方が示されていないため使っていない。
  • 順位戦のクラス、勝ち上がり、参加する棋戦の数で金額は大きく変わる。解説・指導・執筆などの収入は別にあり、会社員の給与と単純には比べられない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 棋戦主催とスポンサー契約どちらにも動きうる

    大会を支える人や会社が増えると、対局する機会を保ちやすくなります。

    大人向けの詳しい説明

    タイトル戦や一般棋戦の開催規模は協賛・放映契約に影響される。棋戦の増加が全棋士の所得増になるとは限らない。

  • 将棋解析ソフトの普及どちらにも動きうる

    研究はしやすくなりますが、機械に勝つことより人同士の勝負が大切になります。

    大人向けの詳しい説明

    棋譜分析の負担が減っても、対局と解説の固有価値は残り得る。無料の解説サービスが増えれば一部の有料仕事には競争が生じる。

  • 昇段・順位戦と限られた参加枠どちらにも動きうる

    プロになるには厳しい試験やリーグ戦があり、だれでも同じ大会に出られるわけではありません。

    大人向けの詳しい説明

    奨励会三段リーグからの昇段は原則半年に上位2人であり、供給が制度によって制限される一方、実績による収入差は大きい。

  • 教室・指導対局と地域の人口変化下がる方向

    子どもの数や教室に通える人の数が変わると、教える仕事も変わります。

    大人向けの詳しい説明

    少子化は子ども向け教室の顧客数に影響し得るが、高齢者や海外観戦者への普及が補う場合もある。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 対局観戦の定額配信が広がる

    条件複数の棋戦が継続し、観戦者が有料で解説や棋譜を楽しむ仕組みが定着する。

    起きそうなこと棋戦の放映権や解説の仕事が収入源を支え、上位棋士以外にも報酬が届く可能性があるが、分配方法次第で格差は残る。

  2. 解析が一般化し解説の単価が下がる

    条件誰でも無料の解析と自動解説を使える一方、棋戦スポンサーの広告効果が弱まる。

    起きそうなこと棋士の人間的な読みや対局は評価されても、一般的な解説の仕事の単価が下がり、少数の人気棋士に収入が寄る可能性がある。

  3. 地域の指導と学校での普及が続く

    条件地域の教室や学校で対面の指導対局を求める人がいて、棋士への派遣・指導の契約が広がる。

    起きそうなこと地方に活動の場が増えるが、授業料を支払える家庭の数や移動費で収入は左右される。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

将棋は勝敗が公開される人同士の競技であり、解析ソフトが強くなっても、盤を挟む棋士の判断を見たい観客は存在し得る。日本将棋連盟は2026年時点で8つのタイトル戦を案内しており、複数の棋戦があることは対局機会を支える。

一方で、人口構成や観戦方法が変われば、棋戦のスポンサー予算と指導対局の依頼数が揺れる。プロ棋士になる人数は奨励会の制度で限られており、仕事の依頼数と新たに入る人の数を別に考える必要がある。2050年は需要横ばいを中心に、地域と棋戦による違いを見込む。

働き方

公式戦は将棋会館などの対局場で行われ、長時間座って集中する日がある。対局のない日は自宅や研究会で棋譜を並べ、将棋の定跡(序盤の考え方)や終盤の読み筋を調べる。タイトル戦やイベントでは各地に移動することもある。

一般的な会社員の定時勤務とは異なり、棋戦ごとの対局料・賞金に加えて、指導対局、講演、解説、執筆などの依頼が働き方を左右する。勝敗や順位が翌年の参加機会と報酬に影響するため、対局の合間の準備と体調管理も欠かせない。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. 将棋教室・大会で実力を磨く将棋道場や公式アマチュア大会などで経験を積む。プロへの一般的な入口は日本将棋連盟の奨励会で、受験には年齢条件や棋士による推薦などの規定がある。
  2. 奨励会で級位から三段リーグへ進む奨励会は6級から三段までで、半期ごとの三段リーグ上位2名が原則として四段に昇段し、正式な棋士になる。通常の学校の卒業年数で決まる資格ではない。
  3. 例外的な編入試験と棋戦での経験日本将棋連盟はアマチュアや女流棋士が所定の公式戦成績を満たした場合の編入試験制度も定める。棋士になった後は順位戦と各棋戦で実績を積み、対局のほか指導・解説も担う。

今から伸ばしたい力

  • 序盤の定跡から外れた局面でも読み筋を組み立てる力
  • 駒の利きと持ち駒から詰みや受けを見つける力
  • 持ち時間を序盤・中盤・終盤へ配分する力
  • 負けた棋譜から自分の形勢判断の癖を見直す力
  • 感想戦や指導対局で一手の狙いを言葉にする力

出典と前提

最終確認日
2026年11月2日

出典

予測の前提

  • 2050年にも棋士同士の公式対局を観戦する文化が残るが、2026年と同じ棋戦数や賞金制度が続くとは限らない。
  • 将棋解析ソフトは研究に使われても、対局中の機器使用はその時点の公式戦規則に従う。
  • 架空の主人公は2050年に通常の棋士として活動する女性であり、2026年時点で女性の通常棋士がいることを意味しない。

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ラベルの意味や予測の限界は「予測の読み方」で説明しています。