建設・設備

とび職

とびしょく

建物や橋の工事で足場を組み、鉄骨を建て方に沿って組み立て、重い資材を安全に移動させる専門職。後の職人が作業できる足元と作業空間をつくり、工事が進めば仮設設備を解体する。

男性のとび職人が、ヘルメットと手袋を着け、地上で足場用の鋼管を固定する金具をラチェットレンチで締めている。
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はじめに

高い建物や大きな橋の工事で、職人さんが乗る足場を組んだり、建物の骨組みになる鉄骨を取り付けたりします。ボルトをしめる場所や、クレーンで運ぶ順番を考えます。作った足場は工事のあとで外すことも多く、完成した建物には見えない大切な仕事です。

2050年の見通し

2050年編集部の見立て

2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。

今の年収約415万円平均値・2025年の統計
2050年(物価の上昇を除いて)少し上がる幅:少し下がる〜上がる
収入
高所作業を安全に組み立てる熟練者の不足が続けば賃金を押し上げる。一方、規格化・機械化が単純作業の人数を減らし、下請単価や稼働日数が制約するため実質で小幅増を中心にした。
需要
補修工事の足場と複雑な鉄骨建方は残るが、標準足場の一部は機械化され、新築件数は人口減少地域で減り得る。人材供給の縮小を踏まえても全国の仕事量は横ばいが中心と考える。
人による差
人による差が広がる

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今のとび職の仕事

今
  • 足場の組立てと水平・垂直の確認建物の外壁や高い天井に作業床、建地、布材、手すりを組み付けて安定性を確認する。
  • 足場の壁つなぎと筋交いの施工足場が揺れないよう壁つなぎや斜材を配置し、支持条件に合うか確かめる。
  • 鉄骨部材の玉掛け・合図の連携有資格者がクレーンのフックに部材を掛け、合図者と動きを合わせて定位置へ誘導する。
  • 建方中の鉄骨の仮固定梁や柱を所定位置に据え、仮ボルトや控え材で本締め前の姿勢を保持する。
  • 仮設材の解体・搬出工事後に手すり・作業床・支柱を決めた順序で外し、次の現場へ運べるようまとめる。

2050年、仕事はどう分担される?

2050年編集部の見立て

業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。

AI・ロボットが中心

  • 足場材の必要数量の拾い出し 確からしさ:高 壁面形状と工程表から部材数を数え、搬入順を組む作業は計算機に向く。

AIと協働

  • 足場の組立て手順の立体確認 確からしさ:中 三次元図は干渉を示せるが、手が届く場所や地盤の状態は現場での確認が要る。
  • クレーンと玉掛けの位置合わせ 確からしさ:中 位置の案内にセンサーを使えても、風や荷振れ、視界の条件を判断しながら有資格者が連携する。

人が中心

  • 足場の壁つなぎと支持部の確認 確からしさ:高 既存壁の強さや固定位置の状態が一律でなく、見えない劣化を含め現物で確認する必要がある。
  • 狭い場所での順序変更と作業中止判断 確からしさ:中 通行人、他職種、天候の変化が同時に起きる現場では、責任者が危険を比べて作業方法を決める。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、とび職の一日(架空)

古い駅の大きな丸天井に、朝日が細い線を描いていた。五十八歳のとび職、剛は、文化財として残る駅舎の補修に使う足場の図を広げる。天井には曲面があり、一般的な四角い足場だけでは職人の手が届かない。工事中も駅の一部は使うため、客の通路を狭めないことも条件だった。作業床の下を行き交う人にも、安心して通ってもらわなければならない。

剛は足場材を一本ずつ確かめ、組み立てる場所に置いた。自動昇降台が重い部材を上げるが、壁に固定する金具の位置は古い石材の継ぎ目を避けなければならない。若い仲間が模型で示した位置に印をつけると、剛は石の表面を見て固定方法を変更した。締め付ける力を強くすればよいわけではない。

昼前、職人が天井の細工に近づけるか、作業床から実際に腕を伸ばして確かめた。わずかに遠い部分があり、短い作業床を一段足す。剛は足場の支え方をもう一度点検し、通路側に新しい部材が出ないよう組み替えた。作業手順を音声記録に残し、次の交代班にも固定位置の理由を伝える。

片付けを終えた頃、修復を担当する職人が作業床に立ち「これなら模様の奥まで届く」と言った。剛の足場は、駅の天井が直れば解体される。完成写真には映らない仕事だが、剛にとってはそれが誇りだった。

収入

平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。

今の年収

今統計

約415万円(年収・平均値)

調査
令和7年賃金構造基本統計調査(job tag掲載の年収)
調査年
2025年
対象
job tag「とび」に対応する職業分類の雇用労働者。足場・鉄骨・重量物を扱う各分野が含まれ得る。
税・賞与
税・社会保険料を引く前、賞与を含む
  • job tag「とび」の2025年全国年収414.5万円を円換算した。
  • とびの中には足場、鉄骨、橋梁、重量物などの専門分野があり、同一職務の給与だけではない。
  • 天候や現場の稼働日数、請負単価、働く会社・地域で年収が変わる。
  • 一人親方の売上と経費差引後の事業所得はこの雇用者統計に含まれない。

収入を動かすもの

2050年編集部の見立て

AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。

  • 改修現場での仮設足場の必要性上がる方向

    古い建物を直す人が高い場所へ安全に近づくため、足場が必要です。

    大人向けの詳しい説明

    新築の減少を補う改修・文化財修復の仕事では、現場ごとに形の違う仮設が必要になり得る。

  • 技能者不足と安全教育上がる方向

    高いところで安全に働ける技術を身につけた人は、現場から頼られます。

    大人向けの詳しい説明

    足場の組立て等作業主任者の選任を要する作業があり、経験と講習の価値が保たれる。

  • 規格化と機械による揚重どちらにも動きうる

    重い部材を運ぶ機械が増えると、組み立てる人の負担が変わります。

    大人向けの詳しい説明

    標準部材の運搬や組立て支援は省人化し得るが、曲面や狭隘場所では人による調整が残る。

  • 悪天候や作業日数の変動下がる方向

    強い風や雨の日には、高いところの仕事ができないことがあります。

    大人向けの詳しい説明

    屋外作業の稼働日数と安全対策費が請負収支に影響し、所得の安定を難しくする場合がある。

2050年の3つのシナリオ

2050年編集部の見立て

未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。

  1. 専門の高所施工が不足する

    条件建物の改修が続き、安全な足場を組める熟練者の供給が減る。

    起きそうなこと複雑な仮設工事を任せられる技能者に発注が集まり、報酬が上がる可能性がある。

  2. 規格化した足場材と機械組立てが普及

    条件標準形状の足場の搬入・揚重・組立ての一部が機械化される。

    起きそうなこと単純な組立ての人数は減るが、足場の最終点検、支持部の判断には人が残る。

  3. 建設需要と天候制約が厳しくなる

    条件新築工事が減り、暑さや強風で作業できない日が増える地域がある。

    起きそうなこと受注の季節差が広がり、週ごとの稼働が不安定な働き方では賃金を守りにくい。

働き方と暮らし

2050年編集部の見立て

人手は足りる? 余る?

とびは足場、鉄骨、重量物など複数の専門分野に分かれる。建物の更新や補修では、後工程の職人が作業できる仮設を用意する技能は引き続き必要で、規格化しにくい場所では熟練者の価値が高い。

一方、足場材の規格化と機械による揚重で必要な人数が減り、新築工事の量も地域で差がつく。熟練者不足と効率化の両方を考え、全体需要の中心は横ばいとする。

働き方

とび工事会社や建設会社に所属し、足場組立、鉄骨建方、橋梁工事など現場ごとに班を組んで働く。屋外の早朝から作業することも多く、材料搬入とクレーンの時間が仕事のリズムを決める。

高さに伴う危険と身体負担があり、天候や工期で休工・残業の変動が起きる。週休二日や上限規制を守る現場が増えても、移動の多い専門工事では休みの確保に課題が残る。技能を持って独立する場合は受注・保険・資材費も自分で管理する。

この仕事に近づくには

今

進路と資格

  1. とび工事会社へ見習いで入る入職に必要な決まった学歴や免許はない。先輩の指導のもと足場材の名称と組立て順序、安全な資材の扱い方から覚える。
  2. 現場作業に必要な教育・技能講習を受ける作業内容に応じて足場の組立て等の特別教育や、実務経験等の受講要件を満たして足場の組立て等作業主任者技能講習などを受ける。
  3. とび技能士で技能を証明する厚生労働省の技能検定に「とび」があり、1級・2級などの区分で実技・学科を通じ技能を評価する。資格は入職の必須条件ではない。

今から伸ばしたい力

  • 足場の荷重と支え方を理解する力
  • 壁つなぎ・筋交い・手すりの位置を正確に組む手先の技能
  • クレーンや玉掛けの合図を読み取り連携する力
  • 高所で姿勢と周囲を確かめて動く身体感覚
  • 図面の形状と実際の建物の違いを見つける力

出典と前提

最終確認日
2026年10月31日

出典

予測の前提

  • 複雑な改修現場の足場組立てに必要な安全確認は2050年も人が担う。
  • 標準足場材の機械化は進むが、すべての古い建物に同じ設備を持ち込めるわけではない。
  • 新築工事の地域差と熟練技能者の不足が請負単価に影響する。

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