行政書士
ぎょうせいしょし
飲食店や建設業などの開業に必要な許認可を調べ、役所へ提出する申請書類を作り、手続きを代理する法律専門職。事業者の希望を聞き、施設や事業の実態が法令上の条件に合うか確認し、契約書や事実を証明する書類の作成にも携わる。

はじめに
新しくお店や会社を始める人が、役所に出す書類を正しく作るお手伝いをする仕事です。たとえばカフェを開くなら、どんな設備が必要で、どんな許可を取るのかを調べます。書類を作るだけでなく、開きたいお店の中身を聞き、決まりに合わないところがないか確かめます。
2050年の見通し
2050年の収入が、この職業の今の収入と比べてどう変わりそうかを示します。物価の上昇を差し引いた実質の変化です。
- 収入
- 電子申請で定型書類の報酬が下がる可能性が高い。専門的な許認可相談は価値が残るが、独立開業者の競争と地域差を踏まえ、実質収入を小幅減と見た。
- 需要
- 日本行政書士会連合会が扱う許認可・登録手続は幅広く続く一方、手続のオンライン化が代理作業を減らし得る。地域の開業件数の変化も加え、需要は小幅減を中心に置いた。
- 人による差
- 人による差が広がる
今の行政書士の仕事
- 飲食店の営業許可申請食品衛生法に基づく営業許可について保健所の施設基準を調べ、厨房の図面や申請内容を依頼者と確認する。
- 建設業許可の申請支援建設業の許可要件と提出資料を確かめ、会社の体制や工事の経歴に関する証明書類をそろえる。
- 自動車の登録・変更手続所有者や使用者の変更に必要な書類を整え、運輸支局などへの登録申請を支援する。
- 契約書・定款などの作成委任契約書や会社設立に必要な定款など、他の法律で制限されない権利義務に関する文書を作る。
- 在留資格申請書類の支援在留資格の更新・変更に関する資料を整理し、届出済みの申請取次行政書士は申請書類の提出を取り次ぐ。
2050年、仕事はどう分担される?
業務ごとに、2050年にだれが主に担いそうかを3つに分けました。職業そのものが「なくなる確率」ではありません。
AI・ロボットが中心
- 申請フォームの転記と様式チェック 確からしさ:高 定型項目の記入、書式の更新確認、添付漏れの検知は電子申請と自動照合に適している。
- 許認可要件の初期検索 確からしさ:中 業種や所在地から該当条例の候補を集められるが、細かな例外や行政の運用を誤読する危険がある。
AIと協働
- 施設図面と実態のすり合わせ 確からしさ:中 図面から機器配置を検査する仕組みが進んでも、予定する営業と実際の設備が一致するか現地で確認する必要が残る。
人が中心
- 依頼者から事業計画を聞き出す 確からしさ:中 予定する商品、営業形態、将来の事業変更を聞き取らなければ必要な許可を誤るため、質問の組み立ては重要だ。
- 行政との解釈確認と手続判断 確からしさ:中 新しい営業形態や法令改正時の判断には行政庁への確認と専門家としての説明責任が伴う。
2050年の一日
2050年、行政書士の一日(架空)
使われなくなった商店街の写真館を、午後だけ営業する喫茶店に変えたい。50代の行政書士・修一は、依頼者が送ってきた店内図面を広げた。古い暗室は厨房になる予定だ。申請支援システムは食品営業の許可に必要な書類を一覧にしたが、図面に描かれた手洗い設備の位置があいまいだった。修一は画面の印をそのまま信じず、改装前の写真と工事の計画を見比べた。
昼前、店主になる女性と現地を訪ねた。棚を外した壁の向こうに、予定図面にない配管が見つかった。女性は「小さな焼き菓子も作って売りたい」と話す。飲み物を出すだけの場合と、店内で食品を製造して販売する場合では、確認すべき営業の種類が変わり得る。修一は商品と調理工程を書き出し、必要な許可の範囲を保健所へ事前に確認することにした。
午後、電子申請の画面では、設備の写真と面積の記載に不一致があると警告が出た。修一は工事業者に完成後の寸法を聞き、変更された厨房の平面図を受け取る。書類の形式がそろうことと、施設が実際に基準を満たすことは別だ。営業開始の希望日を聞きながら、確認や検査に必要な手順を伝えた。許可が下りる前に営業できると決めつけないよう、予定表にも注意書きを入れる。
夕方、修一は店の看板になる予定の写真を見た。依頼者は、古い写真館の名前を少し残すつもりだという。申請書の欄には収まらない思いも、店を開く理由の一部だ。修一はその気持ちを大切にしながら、役所へ伝えるべき事実を正確に整える。最後に、保健所から届いた確認事項を店主に説明し、開業までにすることを一緒に書き出した。
収入
平均の年収だけでは、その仕事の収入は分かりません。働き方や経験、地域、独立しているかどうかで大きく変わります。
今の年収
約583万円(年収・平均値)
- 厚生労働省job tag「行政書士」の2025年全国年収583.3万円を5,833,000円へ換算した。
- 同ページの年収は行政書士だけを集計した数字ではなく、他の専門職を含む職業分類に対応する。
- 独立開業した行政書士の報酬売上と経費を引いた事業所得は、雇用労働者の年収統計とは別である。
- 取扱う許認可分野と地域の事業者数、案件規模、経験で収入は大きく異なる。
収入を動かすもの
AIで仕事が速くなっても、収入が上がるとは限りません。何が収入を押し上げ、何が押し下げるかを並べました。
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電子申請と書類作成の自動化下がる方向
同じ決まりの書類は、自分で手続きできる場面が増えます。
大人向けの詳しい説明
官公署の手続がオンライン化され、定型的な記載事項の転記や添付書類の点検を請け負う価格は下がりやすい。
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事業の許認可に残る現地確認上がる方向
お店の設備や仕事の内容が決まりに合うか調べる相談は残ります。
大人向けの詳しい説明
食品営業、建設業など業種ごとに施設や経営体制の要件が異なり、依頼者から事実を聞き取る作業は重要だ。
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人口減少と地域の開業件数どちらにも動きうる
お店を始める人が多い町と、閉店が増える町では仕事の量が違います。
大人向けの詳しい説明
許認可申請は事業所の新設と更新に左右されるため、都市・地方で案件数や取扱い分野が異なる。
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専門資格の境界と制度改正どちらにも動きうる
ほかの専門家しかできない仕事には手を出せないので、法律の決まりを守ります。
大人向けの詳しい説明
他士業の独占業務を除く法的制約は続く一方、申請取次や特定行政書士のような専門性が評価される余地がある。
2050年の3つのシナリオ
未来の収入はひとつの数字では言えません。条件ごとに分けて、どうなれば収入がどう動くかを考えます。
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複雑な事業許可の相談が増える
条件小規模事業者の新規参入と事業形態の多様化が続き、条例や許認可要件の確認に専門家が必要となる。
起きそうなこと現地調査や複数行政機関への申請を扱う事務所には専門報酬が残るが、対応分野により差が広がる。
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定型申請の電子化が進む
条件電子行政手続きが普及し、必要書類の入力や添付確認を事業者自身ができる。
起きそうなこと登録や届出など定型作業の単価は下がり、実質収入は緩やかに下押しされる。
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地方の事業所が減る
条件人口減少と商店の閉鎖で、新規開業や許可更新の案件数が一部の地方で減少する。
起きそうなこと許認可の相談先が減り、地域によって独立事務所の収入確保が難しくなる。
働き方と暮らし
人手は足りる? 余る?
行政書士は食品営業、建設業、自動車登録など、官公署へ出す許認可・登録書類の相談と作成を扱う。新しく事業を始める人が複数の制度を調べる負担は残り、施設や営業形態に応じた専門相談は一定程度求められる。
一方、電子申請が普及すれば転記や添付チェックは自動化され、小規模な定型案件の代理需要は縮む。地方では人口減少に伴う事業所の減少も起こり得るため、仕事の必要人数は小幅減を中心とした。
働き方
行政書士事務所で勤めるか、名簿登録と行政書士会への入会を経て独立開業する。個人の開業支援を専門にする人もいれば、建設業許可や自動車登録など特定分野を継続的に扱う人もいる。
依頼者の店舗や事務所を訪ねて事実を確認し、保健所・役所などと相談する機会がある。書類作成はオンラインでできても、申請期限や行政庁の受付日程に合わせる必要があり、営業先を自分で開拓する独立事務所では案件数が収入に影響する。
この仕事に近づくには
進路と資格
- 法律と行政手続の基礎を学ぶ高校卒業後、大学や専門講座、独学などで憲法・民法・行政法や文章作成を学ぶ。行政書士試験は年齢・学歴・国籍にかかわらず受験できる。
- 行政書士試験に合格して登録する行政書士試験研究センターの国家試験に合格するなど所定の資格を得て、日本行政書士会連合会の名簿へ登録し、都道府県の行政書士会へ入会する。
- 許認可分野の実務を身につける行政書士事務所などで申請書と設備図面の照合、行政庁との事前相談を経験し、食品衛生法や建設業法の改正、電子申請に対応する。
今から伸ばしたい力
- 許認可ごとの要件と行政手続法を読み解く力
- 店の設備図面や事業の実態から不足条件を見つける力
- 事業者に営業方法を具体的に質問して申請種類を定める力
- 行政庁との事前相談で確認内容を正確に記録する力
- 弁護士・司法書士など他士業の独占業務との境界を守る倫理観
関連する職業
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専門・ビジネス 司法書士 不動産の売買・相続や会社の設立で必要な登記を代理し、法務局や裁判所に提出する書類を作る法律専門職。認定を受ければ簡易裁判所で一定の民事事件の代理もでき、高齢者の権利や財産を守る成年後見に携わることもある。
2050年の収入ほぼ変わらない -
専門・ビジネス 税理士 個人や企業に税金の申告・納付を助言し、税務代理、申告書などの税務書類作成、税務相談を担う国家資格の専門職。法人税や所得税、相続税の制度を確認し、税務調査の立会いや経営者への説明も行う。
2050年の収入少し下がる -
建設・設備 施工管理技士 建築や土木の工事現場で、工程・費用・品質・安全を管理する技術者。施工図を確かめ、職人や資材の手配を調整し、検査記録を残しながら建物や施設を設計どおりに完成させる。
2050年の収入少し上がる
出典と前提
出典
- 行政書士 - 職業詳細(job tag)(厚生労働省)、2026年10月31日取得 官公署への許認可書類の作成、仕事内容、試験・登録、2025年の対応職業分類の年収583.3万円を確認
- 行政書士の業務(日本行政書士会連合会)、2026年10月31日取得 許認可・権利義務・事実証明書類の業務範囲と他士業業務の制限、申請取次の条件
- 行政書士になるには(日本行政書士会連合会)、2026年10月31日取得 資格取得後の名簿登録と行政書士会入会の要件
- 新規営業許可申請手続(固定店舗)(千葉県)、2026年10月31日取得 飲食店の食品営業許可に関する事前相談、設備図面、施設基準の確認
予測の前提
- 2050年も食品営業や建設業などの許認可制度が存在し、業種ごとに申請要件の確認が必要だと仮定する。
- 官公署の電子申請は進むが、申請内容が実態と一致するかの判断を完全に不要にはしないと仮定する。
- 地域の事業所数と行政書士の専門分野が異なり、案件数や報酬の差が広がると仮定する。
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