物流・交通 想像の仕事
ドローン運航管理者
どろーんうんこうかんりしゃ
町の上空を飛ぶたくさんの配送・点検・撮影のドローンの飛行計画を受け付けて調整し、ぶつからないよう、立ち入れない空域に入らないよう、空の交通を見張る仕事になりそうだ。
はじめに
空を飛ぶたくさんのドローンが、ぶつからないように交通整理をする仕事です。荷物を運ぶドローン、橋やビルを点検するドローンなど、どれがいつどこを飛ぶかを画面で確かめ、時間や道すじをずらします。お祭りや救助の日には「ここは飛ばないで」と知らせ、空の安全を守ります。
今ある芽
実証や制度づくりが始まっていて、条件がそろえば広がりそうなものです。日本では2022年に、人のいる地域の上を見えないところまで飛ばす「レベル4」飛行が解禁され、操縦の国家資格も始まった。ただ、今はドローンを飛ばす会社がそれぞれ自分の機体を管理していて、町全体の空をまとめて調整する仕事はまだ少ない。多数のドローンを管理するシステムの国際規格ができ、配送や点検のドローンが日常的に飛ぶようになれば、地域の空を担当する管理者が求められるようになるかもしれない。
- 運航管理システムの国際規格多数のドローンの飛行をまとめて管理する「運航管理システム」の機能の構造が、日本企業も関わって国際規格になった。ドローン同士の空の交通整理を、共通のしくみで行う準備が進んでいる。出典:ドローンの社会実装に向けてドローン運航管理システムの機能構造を国際規格化(NEDO)
- レベル4飛行と国家資格の始まり2022年12月に操縦者の国家資格(技能証明)の制度が始まり、人のいる地域の上を目で見ずに飛ばす飛行が制度上できるようになった。2023年2月には、その飛行に必要な一等無人航空機操縦士の技能証明書が初めて交付された。町の上をドローンが行き交う時代への制度が整い始めている。出典:一等無人航空機操縦士の技能証明書を初交付しました!(国土交通省)
2050年、どんな仕事をしている?
- 飛行計画の受け付けと時間調整配送会社や点検会社から届く飛行計画を確かめ、同じ時間・同じ高さに重なるものの出発時刻や道すじをずらす。
- 一時的な飛行禁止エリアの設定祭りや火事、ヘリコプターの救助活動などに合わせて、その場所の上空を一時的に飛べない空域にして知らせる。
- 飛行中の機体のリアルタイム監視地図の上で動く機体の位置と高さを見張り、予定から外れた機体の運航者に連絡する。
- 天候の変化への対応突風や雷雨の予報が出たときに、エリア内のドローンに帰還や着陸を呼びかける。
- 地域の空のルールづくり住民や自治体、運航会社と話し合い、学校や病院の上空の飛び方や飛べる時間帯を決める。
2050年の一日
2050年、ドローン運航管理者の一日(架空)
空の地図は、夕方になると混み始める。港町の運航管理センターで働く美空は、壁の大きな画面に広がる町の地図を見上げた。小さな点の一つ一つがドローンで、青は荷物の配送、緑は橋や電線の点検、黄色は撮影だ。今日は年に一度の花火大会の日で、夜七時から河川敷の上空が飛行禁止になる。二十代の美空にとって、担当になって初めての大会だった。
昼過ぎから、飛行計画が次々に届いた。夜の会場を空から撮りたいという放送局、屋台に食材を届けたいという配送会社。美空は撮影の計画を、決められた高さと場所に限って受け付け、配送には花火が始まる三十分前までに飛び終えるよう時間を前にずらしてもらった。電話の向こうの担当者は渋ったが、禁止の空域を地図で見せると納得してくれた。
六時半、禁止の空域を有効にした。画面の河川敷に赤い枠が浮かぶと、周りの点が枠をよけて動き始める。ところが一つだけ、灰色の点が枠に向かって進んでいた。登録はされているが、個人が趣味で飛ばしている機体だ。美空は登録された連絡先に警告を送り、同時に会場の警備本部に位置を知らせた。数分後、点は向きを変え、川の向こうの公園に降りた。
花火が上がっている間、美空は画面から目を離さなかった。打ち上げが終わり、九時に禁止を解くと、止まっていた配送の点がいっせいに動き出す。帰り道、美空は夜空を見上げた。いくつかの小さな光が、決められた高さをきちんと守って、町の上を静かに渡っていった。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学数学で図形や座標を、理科で天気のしくみを学ぶ。ドローン教室などに参加して、実際に飛ばしてみるのもよい。
- 高校数学・物理・情報Iを学ぶ。無人航空機操縦士の国家資格は16歳から受験できるので、二等の資格に挑戦して安全のルールを身につける道もある。
- 大学・専門学校工学部の航空宇宙系や情報系、電気通信系の学科で学ぶ道がある。航空管制官を育てる航空保安大学校で航空交通のしくみを学ぶ道も、空の交通を管理する仕事につながる。
今から伸ばしたい力
- 地図と高さを組み合わせて、空間を立体で思い浮かべる力
- たくさんの情報を同時に見て、優先順位をつける力
- ドローンの飛び方や航空のルールについての知識
- 通信やネットワークのしくみを理解する力
- 急ぐ相手にも、理由を示して落ち着いてお願いできる交渉の力
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
-
物流・交通 航空管制官 空港の管制塔やレーダー管制室で航空機の位置・高度・進路を監視し、無線を使って離着陸や飛行経路を指示する国家公務員。天候と滑走路の状況を踏まえ、機体同士の安全な間隔を守る。
2050年の収入ほぼ変わらない -
物流・交通 ドローン操縦士 無人航空機(ドローン)を使って建物や橋などの点検、測量、農薬散布、映像撮影を行う専門職。飛行前に機体や電池、風、飛行空域を確認し、必要な許可や安全対策を整え、取得データの品質を検査する。
2050年の収入ほぼ変わらない -
IT・デジタル ネットワークエンジニア 会社や学校、通信事業者のネットワークを設計・構築し、データが安全かつ途切れにくく届くようにする技術者。ルーターやスイッチ、通信回線の設定・監視を行い、遅延や接続不良の原因を突き止めて改善する。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- ドローンの社会実装に向けてドローン運航管理システムの機能構造を国際規格化(NEDO)、2026年11月4日取得
- 一等無人航空機操縦士の技能証明書を初交付しました!(国土交通省)、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 配送や点検のドローンが、町の上空を日常的に飛ぶようになっていること。
- 多数のドローンの飛行をまとめて管理するシステムが、地域ごとに運用されていること。
- 趣味のものも含めて、ドローンの登録と位置の発信が広く守られていること。