生活サービス 想像の仕事
デジタル終活アドバイザー
でじたるしゅうかつあどばいざー
スマホやネット上のアカウント、写真、サブスクリプション契約、電子マネーなどを本人が元気なうちに一緒に整理し、亡くなった後に家族が困らないよう引き継ぎを手伝う仕事になりそうだ。
はじめに
スマホの中には、写真や連絡先、毎月お金がかかる契約、電子マネーなど、目に見えない大切なものがたくさん入っています。持ち主が亡くなると、家族はパスワードが分からず困ってしまうことがあります。そうならないように、元気なうちに中身を一緒に整理して、家族に何をどう引きつぐかを決めるお手伝いをする仕事です。
今ある芽
実証や制度づくりが始まっていて、条件がそろえば広がりそうなものです。今はデジタルの遺品の整理を、家族が手探りで行ったり、遺品整理や士業の人がついでに相談に乗ったりしていることが多い。ネット上の契約や資産を持つ人がさらに増え、サービスごとの引き継ぎの仕組みや法律の扱いがはっきりしてくれば、専門に相談を受ける人が必要になるかもしれない。
- 国民生活センターの「デジタル終活」の呼びかけ亡くなった人のネット契約を家族が見つけられず、解約できない相談が寄せられ、国民生活センターが元気なうちの備えを呼びかけている。困りごとがすでに起きていることが、この仕事の出発点になる。出典:今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-(国民生活センター)
- 死後にデータを託す機能アップルは、本人の死後に指定した人がデータを受け取れる「故人アカウント管理連絡先」の機能を用意している。こうした機能をサービスごとに正しく設定する手伝いが求められる。出典:How to set up Legacy Contacts in iOS 15(Tom's Guide)
2050年、どんな仕事をしている?
- デジタル資産の棚卸しスマホやパソコン、ネットのサービスを本人と一緒に確かめ、アカウント、契約、電子マネー、写真などを一覧にする。
- 引き継ぎ設定の手伝い各サービスにある死後の連絡先や引き継ぎの機能を、本人の希望に合わせて設定する。
- 残す・消すの意思確認家族に見せたいもの、消してほしいものを本人と話し合い、分かりやすい形で書き残してもらう。
- 遺族の解約・手続き支援亡くなった後、家族と一緒に契約の解約やデータの受け取りを進め、必要に応じて弁護士や司法書士につなぐ。
- 地域での講座公民館や高齢者施設で、パスワードの管理や家族への伝え方を話す講座を開く。
2050年の一日
2050年、デジタル終活アドバイザーの一日(架空)
「わたしが死んだら、この写真はどこへ行くんですか」。八十二歳の女性にそう聞かれて、石田コウジは手を止めた。午前十時、市内の古い団地の一室。テーブルには、本人のスマホと、娘さんが使わなくなったというタブレットが並んでいる。コウジは「どこへ行くかを、今日一緒に決めましょう」と答え、付箋の束を取り出した。
まずは棚卸しだ。写真のクラウド、ネット通販、動画の見放題、電気代の支払い。本人が覚えていない契約も、毎月の明細をたどると三つ見つかった。一つは何年も使っていない。解約するかどうかは本人に決めてもらい、コウジは画面の操作だけを手伝う。決めるのはいつも本人、というのが彼のやり方だ。
昼過ぎ、写真の引き継ぎ先を娘さんに設定し終えると、女性は孫の運動会の写真を見せてくれた。「これは残す。こっちの昔の旅行のは、恥ずかしいから消してちょうだい」。その希望を、手書きのノートとスマホの両方に残す。紙に書くのは、家族が真っ先に開くのがたいてい引き出しだからだ。
夕方は事務所に戻り、先月父親を亡くした男性とオンラインで話す。残っていた電子マネーの扱いは、法律の判断が要る。コウジは自分で答えを出さず、知り合いの司法書士につなぐ段取りをつけた。一日の終わりに、朝の女性のノートの写しを確かめる。最後のページには「娘へ」とだけ書かれていて、その先は本人がこれから書くことになっている。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学・高校家族にスマホやパソコンの設定を教えることから始め、情報の授業で情報セキュリティの基本を身につける。地域のお年寄りと話す機会にも参加してみる。
- 大学・専門学校法学部で相続や契約の考え方を学ぶ道、情報系で情報セキュリティを学ぶ道、福祉系で高齢者支援を学ぶ道がある。
- 社会に出てからITサポートや金融・保険、遺品整理などの仕事で経験を積む。情報セキュリティマネジメント試験やファイナンシャル・プランニング技能検定で関連する知識を確かめるのもよい。
今から伸ばしたい力
- スマホやパソコンの設定に強いこと
- お年寄りの話をせかさずに聞く力
- 情報セキュリティの基本(パスワード、詐欺の手口)の知識
- 相続などの法律に関心を持ち、専門家につなぐ判断力
- 人の気持ちに配慮した言葉えらび
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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生活サービス 遺品整理士 亡くなった人が残した家具や衣類、書類、写真などを、家族の意向に沿って仕分け、保管・返却・再利用・適法な処分へ振り分ける仕事。作業前の見積もり、貴重品の確認、廃棄物と買い取りの許可制度への配慮が必要だ。
2050年の収入ほぼ変わらない -
専門・ビジネス ファイナンシャルプランナー 家計の収支、住宅ローン、教育費、保険、老後資金などを一体で見直し、相談者の人生設計に合った資金計画を作る仕事。制度や商品の説明だけでなく、将来の支出と備えを数字で示す。
2050年の収入少し下がる -
IT・デジタル ヘルプデスク(ITサポート) 職場やサービスの利用者から、パソコン、アプリ、ネットワーク機器の使い方や不具合の問い合わせを受ける仕事。原因を切り分け、遠隔操作や現場対応で復旧を手伝い、難しい問題は専門担当へ引き継ぐ。
2050年の収入少し下がる
出典と前提
出典
- 今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-(国民生活センター)、2026年11月4日取得
- How to set up Legacy Contacts in iOS 15(Tom's Guide)、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- ネット上の契約や資産、写真などを持つ高齢者が今よりさらに増えている。
- 多くのサービスに、死後の引き継ぎや削除を本人が指定できる仕組みがある。
- デジタル資産の相続についての法律や手続きの扱いが整理されている。