ものづくり・研究 想像の仕事
CO2直接回収プラントオペレーター
しーおーつーちょくせつかいしゅうぷらんとおぺれーたー
空気から二酸化炭素をこし取る大型装置(DAC)を、気温や湿度に合わせて運転・点検し、集めたCO2を地下への貯留や燃料づくりへ送り出す仕事になりそうだ。
はじめに
空気の中には、地球をあたためる二酸化炭素がふくまれています。この仕事は、大きな扇風機のような機械で空気をすいこみ、二酸化炭素だけを取り出す工場を動かす仕事です。天気によって機械の調子が変わるので、毎日ようすを見ながら運転し、集めた二酸化炭素を地下にしまう所や燃料を作る所へ送ります。
今ある芽
実証や制度づくりが始まっていて、条件がそろえば広がりそうなものです。空気中のCO2はとても薄く、取り出すには多くのエネルギーと費用がかかるため、今は世界でも大きな装置がいくつか動き始めた段階だ。回収したCO2を誰がどの値段で引き取るかという仕組みも育ちきっていない。装置の効率が上がり、回収したCO2に値段がつく制度が広がれば、化学プラントのように交代で運転する現場が各地にできるかもしれない。
- 世界最大級の回収プラントスイスのクライムワークスが、空気中のCO2を回収する大型プラントをアイスランドで動かし始めた。装置が大きくなるほど、日々の運転と点検を受け持つ人が欠かせなくなる。出典:Climeworks' Mammoth taking final shape in Iceland(Climeworks)
- 回収したCO2を都市ガスに大阪・関西万博で、空気から集めたCO2をその場で都市ガス(e-メタン)に変えて使う実証が行われた。回収と利用がつながれば、送り先に合わせて運転を調整する役割が生まれる。出典:世界初 関西万博で大気中のCO2を回収しその場で都市ガスに変換して利用(MONOist(アイティメディア))
2050年、どんな仕事をしている?
- 吸収材の状態管理CO2をくっつけて取りこむ材料の働きが落ちていないか、回収量と温度の記録から判断し、入れ替えの時期を決める。
- 気象に合わせた運転調整気温や湿度、再生可能エネルギーの電気が使える時間を見て、送風機と加熱の強さを切り替える。
- 回収CO2の純度検査集めたCO2に空気や水分がどれだけ混ざっているかを測り、送り先の基準に合うかを確かめる。
- 送り出し先との出荷調整地下貯留の施設や燃料工場と連絡を取り、受け入れられる量と時間に合わせて送り出す。
- 回収量の記録と報告一日にどれだけCO2を取りのぞいたかを計測し、第三者の確認を受けるための記録を整える。
2050年の一日
2050年、CO2直接回収プラントオペレーターの一日(架空)
夜勤明けの若手が、引き継ぎの紙を差し出した。「三号列、明け方から回収量が一割落ちてます」。北海道の海沿いにあるCO2回収プラントの運転室で、五十代の班長、義男は湯飲みを置いて画面をのぞきこんだ。外は霧だった。湿った空気が続くと、吸収材の働きが鈍ることがある。去年の秋にも似たことがあった。
午前中、義男は若手の拓海を連れて三号列へ歩いた。高さ十メートルほどの送風機の壁が、低い音を立てて空気を吸いこんでいる。点検口を開け、吸収材の入った箱の温度を携帯の計器で測った。「数字だけじゃなくて、においと音も覚えておけ」。拓海は首をかしげたが、義男がここで二十年かけて覚えたのは、結局そういう感覚だった。原因は霧と判断し、加熱の時間を少し延ばす設定に切り替えた。
昼過ぎ、隣町の燃料工場から連絡が入った。メタンを作る装置の点検が早まり、今日の受け入れを半分にしてほしいという。義男は、残りを地下貯留の施設へ回せるかをパイプラインの管理会社に問い合わせ、送り出しの順番を組み替えた。CO2は取って終わりではない。行き先が決まって、はじめて意味がある。
夕方、霧が晴れると三号列の回収量はもとに戻った。義男は一日の回収量を記録にまとめ、月に一度の第三者の確認に出す資料に加えた。帰り際、拓海が「明日、吸収材の箱をもう一度見てもいいですか」と言った。義男は点検表を一枚、多めに渡した。
この仕事に近づくには
今からできること
- 中学理科の化学分野と、気候変動のしくみに関心を持つ。空気や水の性質を調べる自由研究なども手がかりになる。
- 高校化学と物理を中心に学ぶ。工業高校の化学系や高専の物質工学系に進む道がある。危険物取扱者(乙種第4類など)は高校生でも受験できる。
- 大学大学の化学工学科、環境工学、応用化学などで、ものを分ける技術や反応のしくみを学ぶ。化学プラントで運転の経験を積み、高圧ガス製造保安責任者などの資格を取る人もいる。
今から伸ばしたい力
- 化学反応と気体の性質の理解
- 計器の数字と現場の音やにおいを結びつける観察力
- 天気やエネルギーの状況から先を読む段取り力
- 取引先と量や時間を調整する交渉力
- 後輩に経験を伝える指導力
近い「今の仕事」
この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。
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ものづくり・研究 化学プラントのオペレーター(石油精製など) 製油所や化学工場の蒸留塔、反応装置、配管などを運転し、温度・圧力・流量を監視して原料を燃料や化学製品に変える仕事。中央制御室の操作と現場の巡回を分担し、装置の状態を確かめながら安定した生産を支える。
2050年の収入少し下がる -
ものづくり・研究 化学技術者 原料を反応させて樹脂、化学繊維、洗剤などをつくる工程を開発・改良する技術者。試作品の性質を測り、量産設備で安定して同じ品質に仕上げられる温度や配合、製造条件を決める。
2050年の収入ほぼ変わらない -
ものづくり・研究 環境技術者 川や湖、大気、土壌などを調査し、汚染物質の濃度や水質の変化を測る技術者。採水や分析結果をもとに発生源を調べ、工場の排水処理、自治体の環境保全、地域の監視計画などを支える。
2050年の収入ほぼ変わらない
出典と前提
出典
- Climeworks' Mammoth taking final shape in Iceland(Climeworks)、2026年11月4日取得
- 世界初 関西万博で大気中のCO2を回収しその場で都市ガスに変換して利用(MONOist(アイティメディア))、2026年11月4日取得
この仕事が広がる前提
- 空気からCO2を回収する装置の効率が上がり、使うエネルギーと費用が下がる。
- 取りのぞいたCO2の量に値段がつく仕組みが広がり、回収が事業として成り立つ。
- 装置を動かす再生可能エネルギーの電気が、十分に安く手に入る。