建設・設備 想像の仕事

CO2地下貯留エンジニア

しーおーつーちかちょりゅうえんじにあ

工場や発電所で集めたCO2を地下深くの地層に送りこみ、圧力や地層の変化を長い年月にわたって見守って、漏れがないことを確かめ続ける仕事になりそうだ。

はじめに

工場から出る二酸化炭素を空気にもどさないように、地面のずっと深いところにある岩のすき間にしまいこむ方法があります。この仕事は、二酸化炭素を地下へ送りこむ井戸や管を管理し、しまった二酸化炭素がもれていないか、何十年も見守る仕事です。近くに住む人に、調べた結果を説明することもあります。

今ある芽

芽が育ってきている

今ある技術や制度から見て、2050年には仕事として広がっている見込みが高いものです。日本ではCO2を地下に貯める事業のための法律ができたばかりで、本格的な事業はこれから始まる。これまでは試験的な圧入にとどまり、専門の技術者は石油や天然ガスの開発に関わる人がほとんどだった。事業が各地で始まれば、貯める量の計画と長期の監視を受け持つ技術者が、まとまった数で必要になる見込みが高い。

2050年、どんな仕事をしている?

2050年想像の仕事
  • 貯留層の選定と容量評価地下の地層を調べたデータから、CO2をどれだけ安全に貯められるか、ふたになる岩の層があるかを評価する。
  • 圧入井の運転管理CO2を地下へ送りこむ井戸の圧力と流量を見守り、地層を傷めない範囲に保つ。
  • 地下のCO2の広がりの監視地面や海底に置いた計器の記録から、貯めたCO2が地下でどう広がっているかを図にする。
  • 漏えい監視と異常時の対応計画地表や海水のCO2濃度を定期的に測り、変化があったときに誰が何をするかの手順を整えておく。
  • 地元や行政への説明監視の結果を、漁業や農業を営む人や役所にわかりやすく報告し、質問に答える。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、CO2地下貯留エンジニアの一日(架空)

海底の地層の断面図が、色の帯になって画面いっぱいに広がっていた。地下千メートル余りの砂岩の層に、この十年で送りこんだCO2が赤い染みのように見える。新潟の沖合で貯留事業を行う会社で、入社三年目の千尋はこの図の更新を任されていた。先月の調査船の観測データを取りこむと、染みの端がわずかに北へ伸びていた。

午前十時、千尋は先輩の地質技術者に図を見せた。北側には、ふたの役目をする泥岩の層が薄くなっている場所がある。二人は過去の計算と照らし合わせ、今の広がり方は予測の範囲内だと確かめた。それでも、北側の海底に置いた計器の測定回数を増やすことにした。「範囲内だから安心、で終わらせない」というのが、この職場の決まり文句だ。

午後は陸上の圧入基地へ向かった。パイプラインで運ばれてきたCO2を井戸へ押しこむ設備で、千尋は圧力計の記録を確かめ、運転員と来月の点検日程を詰めた。その足で、地元の漁業協同組合の会議室へ行く。半年に一度の報告会だ。千尋は海水のCO2濃度の測定結果を一枚の図にまとめて配った。年配の組合員から「何十年先まで見てくれるのか」と聞かれ、千尋は監視の計画が貯留をやめた後も続くことを、法律の決まりとあわせて説明した。

事務所に戻ると、報告会で出た質問を一つずつ記録に残した。次の報告会では、北側の計器の結果も見せられるはずだ。千尋は測定回数を増やす依頼書を書き上げ、送信した。

この仕事に近づくには

今

今からできること

  1. 中学理科の地学分野(地層、岩石、火山・地震)と化学の基礎をしっかり学ぶ。地層が見える崖や博物館を訪ねるのもよい。
  2. 高校地学と化学、物理を学ぶ。地学を開講していない学校もあるので、物理と化学を軸に、地学は本や講座で補う方法もある。
  3. 大学資源工学、地球科学、土木工学などが近い分野になる。大学院で地下の流体や地層の研究を深め、資源開発やエンジニアリングの会社に進む道がある。

今から伸ばしたい力

  • 地層や岩石についての地学の知識
  • 圧力や流れを数式で考える物理の力
  • データを図にして変化を読み取る力
  • 地元の人の不安に向き合い、わかりやすく説明する力
  • 何十年も続く仕事を記録に残し、引き継ぐ丁寧さ

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出典と前提

最終確認日
2026年11月4日

出典

この仕事が広がる前提

  • CCS事業法のもとで、国内の貯留事業が計画どおり2030年ごろから動き出す。
  • 工場や発電所からCO2を集めて運ぶパイプラインや船の仕組みが整う。
  • 地下に貯めることへの地元の理解が、長期の監視と情報公開によって得られる。

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