物流・交通 想像の仕事

自動運転遠隔オペレーター

じどううんてんえんかくおぺれーたー

運転手のいない自動運転バスやタクシーを管制センターから何台も同時に見守り、車が判断に迷ったときに進み方を指示したり、乗客と話したり、現場へ人を向かわせたりする仕事になりそうだ。

はじめに

運転手さんが乗っていない自動運転のバスやタクシーを、遠くの部屋からカメラの映像で見守る仕事です。工事中の道や急な雪など、車だけでは決めにくい場面で「この道を通って」と教えたり、乗っているお客さんとマイクで話したりします。一人で何台もの車を同時に見るので、落ち着いて判断する力が大切です。

今ある芽

芽が育ってきている

今ある技術や制度から見て、2050年には仕事として広がっている見込みが高いものです。日本では運転者がいない「特定自動運行」の許可制度が2023年に始まり、地域を限った運行が少しずつ増えている。ただ、遠隔で見守る担当者は今のところ運行会社や実証の中の役割にとどまり、仕事として独立しているとは言いにくい。無人のバスやタクシーが多くの町で走るようになり、一人で何台を見るか、どこまで遠隔で判断するかのルールが固まれば、専門の職業として育つかもしれない。

  • 国内初のレベル4運行許可福井県永平寺町で、運転手が乗らない「レベル4」の自動運転サービスが国内で初めて許可された。車内に人がいない分、遠くから見守る人の役割が重要になる。出典:国内初「レベル4自動運転」での運行許可(Impress Watch)
  • 遠隔監視だけで走る「特定自動運行」の制度2023年4月の改正道路交通法で、運転者がいない車を遠隔で監視して走らせる許可制度が始まった。見守る担当者の役割が、法律の上で位置づけられた。出典:特定自動運行に係る許可について(滋賀県警察)
  • 無人タクシーを遠くから助ける担当者米ウェイモは、無人タクシーが判断に迷う場面で遠隔地の担当者が助言する体制をとっていると説明した。車が自分で走りつつ、人が要所で手助けする形がすでに動いている。出典:Waymo Says Its Robotaxis Get Help From Workers Overseas(GovTech)

2050年、どんな仕事をしている?

2050年想像の仕事
  • 複数台の走行状況の同時監視担当する十数台のバスやタクシーの位置、速度、車内カメラを画面で見守り、ふだんと違う動きがないか確かめる。
  • 判断に迷う車への進路の指示工事の誘導員や道をふさぐ落下物など、車が自分で決めにくい場面で、映像を確かめてから進み方を許可する。
  • 乗客との通話対応車内の呼び出しボタンに応え、行き先の変更や体調不良、忘れ物などの相談にのる。
  • 現場への駆けつけの手配車が止まって動けないときや乗客の手助けが必要なとき、近くの巡回スタッフや救急、警察に連絡する。
  • 運行記録の振り返りと改善提案その日に車が迷った場所をまとめ、地図データや走るルートの見直しを技術チームに伝える。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、自動運転遠隔オペレーターの一日(架空)

画面の右上に「担当 14台」と表示が出た。北陸の地方都市にある交通会社の運行センターで、遠隔オペレーターとして働く真理子は、ヘッドセットを耳にかけた。目の前の大きな画面には、市内を走る無人バス九台と無人タクシー五台の位置が地図の上に光り、それぞれの車の前方カメラの映像が小さく並んでいる。朝七時、通学の時間が始まる。

七時四十分、川沿いを走るバスの枠が黄色く光った。夜のうちに降った雪で、道の端の白線が見えなくなっている。車は速度を落として止まり、「進路の確認を求めます」と知らせてきた。真理子は前方と側方のカメラを切り替え、対向車がいないこと、雪の下が歩道ではなく車道であることを確かめてから、時速二十キロでの通過を許可した。乗っていた高校生たちに向けて、車内放送で遅れのおわびを伝える。

昼前には、無人タクシーの車内から呼び出しが入った。九十代の男性が、病院に着いたのに降り方が分からないという。真理子は画面越しにゆっくり話しかけ、扉のボタンの位置を伝えたが、足元がふらついている様子が見えた。病院の受付に連絡すると、職員が車いすを押して迎えに出てきてくれた。男性が建物に入るまで、真理子はカメラから目を離さなかった。

夕方の交代の前、真理子は今日の記録をまとめた。雪で止まった場所が三か所、工事で迷った場所が一か所。技術チームへのメモに「川沿いの区間は、冬だけ別の走り方の設定が必要かもしれない」と書き添える。次の担当者に引き継ぐと、画面の右上の数字が、次の人の名前に変わった。

この仕事に近づくには

今

今からできること

  1. 中学技術・家庭科の情報の学習でプログラミングにふれ、社会科で地域の交通の課題を調べる。部活動などでチームの中の役割を担い、落ち着いて判断する経験を積む。
  2. 高校情報Iや数学、物理を学び、車やセンサーが周りを認識するしくみに関心を持つ。地域で自動運転バスの実証運行があれば、乗ってみるのもよい。
  3. 大学・専門学校情報系や交通工学、機械工学系の学部、または自動車整備の専門学校で学ぶ道がある。バス会社などで経験を積み、運行管理者(旅客)の資格を取る道や、事業者が行う教育を受けて「特定自動運行主任者」を務める道も考えられる。

今から伸ばしたい力

  • たくさんの画面を見ながら、いつもと違うところにすぐ気づく注意力
  • あわてずに状況を確かめてから決める判断力
  • 交通ルールや道路のしくみについての知識
  • お年寄りや子どもにも伝わるように、声だけで説明する力
  • 気づいたことを記録して、しくみの改善につなげる力

この仕事に近いのは、今ある次の仕事です。今の年収や進路は、それぞれのページで見られます。

出典と前提

最終確認日
2026年11月4日

出典

この仕事が広がる前提

  • 運転者のいないバスやタクシーが、多くの地域で日常の交通として走っていること。
  • 一人の担当者が見守る台数や、遠隔でどこまで判断してよいかのルールが整っていること。
  • 車と運行センターをつなぐ通信が、山間部や雪の日でも安定して使えること。

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