物流・交通 想像の仕事

空飛ぶクルマ操縦士

そらとぶくるまそうじゅうし

電動で垂直に離着陸する「空飛ぶクルマ」で、都市のビルの屋上や離島、観光地の発着場の間を、乗客を乗せて短い距離ずつ何度も飛ぶ仕事になりそうだ。

はじめに

ヘリコプターのようにまっすぐ上に飛び上がれる、電気で動く小さな乗り物「空飛ぶクルマ」を操縦する仕事です。島と町の病院のあいだや、観光地のあいだを、お客さんを乗せて飛びます。風や雨の様子、電池の残りをよく確かめ、安全に飛べるかどうかを自分で判断します。

今ある芽

芽が出はじめている

実証や制度づくりが始まっていて、条件がそろえば広がりそうなものです。空飛ぶクルマは各国で試験飛行やデモ飛行が進んでいるが、乗客を乗せて毎日運航する事業はまだ始まったばかりで、専門の操縦士はほとんどいない。アメリカでは操縦士の資格と運航のルールが定められ、日本でも機体の安全を国が確かめる手続きが進んでいる。機体の安全が認められ、発着場や運航のルールが整って運航便が増えれば、ヘリコプターや飛行機とは別の操縦士の仕事として広がる可能性がある。

  • アメリカで操縦士資格のルールが決定米連邦航空局は2024年、垂直に離着陸できる新しい航空機の操縦士資格と運航のルールを正式に定めた。空飛ぶクルマを仕事として飛ばすための決まりが、形になり始めている。出典:Integration of Powered-Lift: Pilot Certification and Operations - Final Rule(Federal Aviation Administration (FAA))
  • 日本の機体の安全審査が進むSkyDriveは大阪・関西万博に向けて開発した機体を公開し、国土交通省はこの機体に向けた安全の基準を示した。国内でも乗客を乗せて飛ぶための手続きが進んでいる。出典:SkyDrive、大阪・関西万博で披露する空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」を初公開(Car Watch(インプレス))
  • ドバイでエアタクシー事業の計画米ジョビーはドバイの当局と契約し、電動エアタクシーの商業運航を目指している。都市の中を空で移動するサービスが、計画の段階に入っている。出典:Joby to Launch Air Taxi Service in UAE(Joby Aviation)

2050年、どんな仕事をしている?

2050年想像の仕事
  • 飛ぶ前の気象とバッテリーの確認発着場ごとの風の強さや雲の高さ、機体の電池の残りと温度を確かめ、その便を飛ばせるかを決める。
  • 短い距離の旅客便の操縦十数分ほどの区間を一日に何往復もし、ビルの屋上や海辺の発着場に静かに降りる。
  • 乗客への安全説明と案内シートベルトや非常時の動き方を伝え、初めて乗る人の不安にこたえる。
  • 天候急変時の行き先変更途中で風が強まったときなどに、運航管理の担当者と連絡をとり、別の発着場へ降りるかどうかを判断する。
  • 若手操縦士の訓練と遠隔運航の監視シミュレーターで若手の操縦を見て助言し、将来増えるとみられる操縦士の乗らない便を地上から見守る。

2050年の一日

2050年架空の一日

2050年、空飛ぶクルマ操縦士の一日(架空)

風速計の数字を三回見直してから、浩一は「一便、出します」と運航管理室に告げた。瀬戸内の島にある発着場は、もとは漁港の倉庫だった建物の屋上にある。朝六時半、海からの風は秒速六メートル。この機体で乗客を乗せて飛べる上限まではまだ余裕がある。五十代の浩一は、長くヘリコプターで救急患者を運んだあと、この仕事に移って十年になる。

一便の乗客は三人。本土の病院へ通う人たちだ。浩一は扉を閉める前に、ベルトの締め方と、降りたあとは回転翼が止まるまで動かないことを説明した。機体はまっすぐ上へ浮かび、島の段々畑を見下ろしながら向きを変える。電気で動く翼の音は、ヘリコプターよりずっと静かだ。十四分で、病院の隣の発着場に降りた。帰りの便までの間に、整備士と電池の温度の記録を確かめる。

昼前、空の様子が変わった。西の空に雲がわき、島の発着場で風が強まり始めたと運航管理室から連絡が入る。浩一は観光客を乗せた便の出発を三十分遅らせ、その間に雲の動きを画面で追った。客席から「まだですか」と聞かれ、理由を正直に話した。風が落ち着いたのを確かめてから飛び、予定より遅れて島に着くと、乗客の一人が「待ったかいがあった」と海を指さした。

午後は訓練センターで、来月から乗務を始める若い操縦士のシミュレーター訓練を見た。片方の電池の出力が落ちたという想定で、彼女は近くの予備の発着場を選び、落ち着いて降りた。浩一は、判断にかかった時間を画面で見せながら、「迷ったら早めに降りる場所を決めていい」と伝えた。夕方、最終便の前にもう一度、風速計の数字を見に屋上へ上がった。

この仕事に近づくには

今

今からできること

  1. 中学理科で力と運動や天気のしくみを学び、英語の基礎をしっかり固める。睡眠や食事を整え、体調を管理する習慣をつけておく。
  2. 高校物理・数学・英語を中心に学ぶ。16歳から受けられる二等無人航空機操縦士の国家資格に挑戦し、空のルールにふれる道もある。
  3. 大学・専門学校航空大学校や、東海大学・桜美林大学などの操縦士を育てるコースで学び、事業用操縦士の資格と航空身体検査証明を得るのが今の操縦士への主な道だ。空飛ぶクルマ専用の資格の形は、これから国の制度として決まっていくとみられる。

今から伸ばしたい力

  • 風や雲の動きを読み取り、天気の変化を予想する力
  • 物理や数学をもとに、機体がどう飛ぶかを理解する力
  • 体調や視力を整え、長く良い状態を保つ自己管理の力
  • 管制や運航管理の担当者と英語や日本語で正確にやりとりする力
  • 予定より安全を選び、その理由を乗客に説明できる力

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出典と前提

最終確認日
2026年11月4日

出典

この仕事が広がる前提

  • 空飛ぶクルマの機体が国の安全審査に通り、乗客を乗せた定期的な運航が認められていること。
  • 都市のビルの屋上や離島、観光地に発着場が整備されていること。
  • 電池の性能が上がり、一日に何往復もできるだけの充電と点検の体制が整っていること。

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